アルバ会社説明会





第17号  花粉症の治療(その2) 

2003/02/24

前回に引き続き、今回も「花粉症の治療」についてふれます。前回の臨時号は、花粉症の初期療法についてふれましたが、今回は最盛期からシーズン終了時までの治療について薬を中心に考察していきたいと思います。

3月から5月にかけて、本格的に花粉が飛ぶ時期です。
最近では、前回の初期治療でも強調しましたように、症状が強く出る時期にできるだけ症状を軽くすませるためには、花粉の飛散が始まる前から「抗アレルギー薬」といわれる薬を服用することが一般的になってきています。
しかし、この時期になると抗アレルギー薬だけでは十分な効果が得られない場合があります。また、今から治療を始めようとされる方もいらっしゃるでしょう。

今号では、これからの時期に使用される薬について詳しく説明していきます。


 症状や治療開始時期による使用薬品の違い

症状が強くなってから治療を始める場合

[1] 経口ステロイド薬 →症状がひどい時のみ、短期的に使用

[2] 局所ステロイド (点鼻薬)
[3] 第2世代抗ヒスタミン薬

  [2][3]のどちらか、あるいは両方を継続する。


よくなった症状を維持する

[1] 第2世代抗ヒスタミン薬

[2] 局所ステロイド (点鼻薬)
[3] ケミカルメディエーター遊離抑制薬

  どれか1つ、または複数を花粉飛散終了時まで続ける。



目の症状が強いとき
抗ヒスタミン作用あるいはステロイドの点眼薬を使用する。
ステロイドの点眼薬は、目の炎症を抑えるのに効果的ですが、連用により眼内圧を上昇させ、緑内障を悪化させることがあります。使用に関しては、医師の指示に従うことが大切です。


 花粉症に使用される薬品の作用と特徴

薬   品
作 用 ・ 特 徴
ケミカルメディエ−タ−
遊離抑制薬
抗原抗体反応が起きても、肥満細胞から化学伝達物質(ヒスタミン・ロイコトリエンなど)の放出を抑える作用があります。十分な効果が期待できるまで2週間位の期間が必要です。花粉の飛散が始まる前から服用しておくと、花粉飛散ピ−ク時の症状が軽減できます。(臨時号・花粉症の治療参照)
第一世代抗ヒスタミン薬 くしゃみ・鼻水・かゆみ・目の充血などの症状は、ヒスタミンがヒスタミンの受容体と反応することで起こります。抗ヒスタミン剤は、ヒスタミンが受容体と反応するのを防御することにより、これらの症状を抑えます。この系統のお薬は、即効性があり価格も安いのですが、眠気・のどの渇きなどの副作用が起こりやすく、尿の出にくい人・緑内障の人・喘息の人は服用できないことがあります。詳しくは、医師に相談してください。 (臨時号・花粉症の治療参照)
第二世代抗ヒスタミン薬 第一世代抗ヒスタミン薬の副作用が軽減されたものであり、一般的にケミカルメディエ−タ−遊離抑制作用も併せ持った薬品です。花粉症の初期(花粉飛散前)から終期(花粉飛散終了時期)まで継続して服用するのが一般的です。(臨時号・花粉症の治療参照)
抗トロンボキサンA2薬
抗ロイコトリエン薬
鼻づまりの症状は、ロイコトリエンやトロンボキサンが受容体と反応して、血管を刺激することにより起こります。この受容体と反応することを防御することによって鼻づまりを防ぎます。 十分な効果が期待できるまで2〜3週間位の期間が必要です。
Th2サイトカイン
阻害薬
IgEを作るもとの細胞(Th2リンパ球)に作用して、抗体を作りにくくします。(過剰な反応を抑える)
局所ステロイド薬
(点鼻)
粘膜の炎症を抑える作用があります。くしゃみ・鼻水・鼻づまりに効果がありますが、定期的に使用しないと十分な効果が期待できません。使用部位が局所ですので、ステロイドの副作用はほとんどありません。
経口ステロイド薬 炎症を抑えたり、過剰な免疫反応を抑えます。即効性があり、非常に効果的ですが、副作用が現れるのを防ぐため短期間の使用が一般的です。糖尿病や胃潰瘍がある場合には、一般に服用できません。
血管収縮薬 鼻孔に直接噴霧して血管を収縮することによって、鼻づまりを軽くします。連用することにより、慢性的な鼻づまりを起こすことがありますので、必要時にのみ使用します。
抗コリン薬 鼻孔に直接噴霧して鼻粘膜から粘液(鼻水)が出るのを抑える作用があります。即効性はありますが、持続時間が短いことが欠点です。


 妊婦の方の花粉症治療

妊娠中は、花粉症の症状が悪化することがよくあります。胎児に与える影響を考えて、治療は慎重に行う必要があります。妊娠4ヶ月半ばまでは、原則として薬物による治療は避けた方が安全といわれています。

しかし、症状がひどく日常生活に支障をきたすような場合には、少しでも症状を軽くして快適に過ごすことも大切です。局所にはたらく点眼薬・点鼻薬を症状のひどい時のみに使用したり、飲み薬でも医師の指導により服用してもよいお薬もありますので、詳しくは主治医にご相談下さい。


 症状や治療開始時期による使用薬品の違い

特異的免疫療法
原因となっている抗原を調べ、そのエキスを少量から注射し、徐々に量を増やしていきます。

ショックなどの副作用に注意しながら慎重に行い、2〜3年の治療が必要とされています。花粉症の場合は、花粉の飛んでいない時期も、注射を続けなければいけません。
唯一、長期の症状の軽快(寛解)が得られる可能性がある治療法で、約70%の人に有効といわれています。

手術療法
鼻の奥の上側にある粘膜(下鼻甲介)を切除して小さくする手術や粘膜の表面を焼く手術もあります。鼻づまりに関しては効果がありますが、くしゃみや、鼻水については効果が少ないといわれています 。

花粉症とアロマテラピー
花粉症やアレルギー性鼻炎に効果的で、最も手軽な方法は、ハ−ブのエッセンシャルオイルを直接嗅ぐ方法です。

ハ−ブのエッセンシャルオイルをハンカチやティッシュに1〜2滴落とし、その臭いを嗅ぐことで鼻がすっきりし、とおりがよくなります。
また、洗面器にお湯をはり、エッセンシャルオイルを3〜4滴たらしておくと、香りが蒸気に含まれ空気の清浄化とともに、部屋の乾燥を防ぎ風邪やインフルエンザの予防にもなります 。

花粉症・風邪の諸症状に効果的なハ−ブのエッセンシャルオイル

ユーカリ (抗菌作用・抗ウイルス作用・咽頭炎・のどの痛み)
スペアミント (去痰作用・粘液溶解作用・気管支炎・副鼻腔炎)
ティーツリー (抗ウイルス作用・強い殺菌作用・免疫賦活作用・消毒作用)
ラベンダー (穏やかな充血除去作用・殺菌作用・咳・気管支炎)

当アルバ薬局グル−プ各店でも、各種ハ−ブのエッセンシャルオイルをお取り寄せにより取り扱っておりますので、店頭にてご相談ください。


アロマテラピーのメカニズム

吸入による作用のメカニズム

エッセンシャルオイルの香りの分子が空気中をただよい鼻の奥の嗅上皮という部分に達すると、嗅細胞で電気信号に変換され神経を介して大脳辺縁系へと伝わります。 ついで、海馬(記憶を司る場所)や視床下部〜脳下垂体へと伝達されます。

脳下垂体は自律神経系や内分泌系、免疫系の3つの大きなシステムを統合する場所で、ここに香りのメッセージが伝わると生理活性物質(特定の作用を生体に引き起こす物質)が分泌されます。 たとえば、ラベンダーはセロトニンを分泌させ、神経の鎮静(リラックス)効果が得られます。


マッサージのメカニズム

マッサージ効果として

[1]血液やリンパ液の循環を高める
[2]体の緊張を解いてリラックスさせる
[3]身体に滞った水分や老廃物を取り去る


これに加えて、アロママッサージではエッセンシャルオイルの効用がプラスされます。
アロママッサージに用いられるオイルはベースオイル(植物油)でエッセンシャルオイルを希釈したものです。エッセンシャルオイルはマッサージにより皮膚表面・毛穴や汗腺・角質細胞・角質細胞間から皮膚の深部にあたる真皮へと浸透していきます。ついで毛細血管やリンパ管に入り全身循環に入ります。
体内に入ったエッセンシャルオイルは最終的に腎臓を経て尿・汗・呼気として体外に排泄されます。


アロマテラピーのメカニズム

(1) 生理作用

芳香の分子が鼻から脳下垂体へと伝えられ、さまざまな生理活性物質を介して自律神経系・内分泌系・免疫系に働きかけバランスを整えます。自律神経のバランスが崩れる代表的なものに更年期障害・不眠があります。内分泌系のバランスが崩れると生理不順や糖尿病などの原因にもなります。免疫システムが崩れるとアトピー性皮膚炎や花粉症を引き起こします。
 
(2) 抗菌作用

エッセンシャルオイルの持つ抗菌力は香りを空気中にただよわせるだけでブドウ球菌やサルモネラ菌・白癬菌やカンジダなどの発育を阻止できるくらいに強力で、抗生物質が効かないウイルスに対しても抗ウイルス作用を持つものもあります。
 
(3) 心理作用

芳香の分子が記憶を司る海馬といわれる部分に作用することで、イメージをもたらし精神的なリラックスや気分の向上が得られます。
 
(4) 生体リズムの調節作用

芳香の分子が体内時計(「生物時計」とも呼ばれ、体温やホルモン分泌・睡眠・覚醒リズムなどをコントロールする機能)に働きかけ乱れたリズムを正常に戻す働きをするといわれています。


妊娠とアロマテラピー

妊娠期間を健やかに過ごすのを助ける精油もありますが、通経作用(滞っていた月経を通じさせる作用)をもつ精油もあります。
妊娠何ヶ月目かによっては使用を避けたほうがよい精油もありますので妊娠時には十分注意して精油を選ぶ必要があります。


花粉症と漢方

漢方薬というと、どうしても長く飲まないと効かない・即効性がない・慢性疾患の薬であるというようなイメ−ジがあります。
しかし、実際には即効性のあるお薬や風邪などの急性疾患に用いられて十分な効果のあるお薬が沢山あります。花粉症については、体質を改善して花粉症にかかりにくくする治療法と対症療法的に花粉症の症状を一時的に抑える方法があります。
今回は、症状を一時的に抑える対症療法的な処方について解説していきます 。

加味逍遙散

小青竜湯


うすい鼻水の場合

[症 状] うすい鼻水とともに、くしゃみ・鼻づまり・寒けなど
[処方例] 小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
桂麻各半湯(けいまかくはんとう)
寒けや冷えが強い→→麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)


やや粘稠な鼻水の場合

[症 状] やや粘稠な鼻水とともに、比較的強い鼻づまり・口の乾燥・のどの痛みなど
[処方例] 麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
桑菊飲(そうぎくいん)
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)


精神的ストレスや緊張が関係する場合

[症 状] 季節の変わり目や朝方に鼻水・くしゃみ・鼻づまりが起こり、いらいら・ゆううつ・怒りっぽいなどの症状をともなうもの
[処方例] 神秘湯(しんぴとう)
加味逍遙散(かみしょうようさん)
四逆散(しぎゃくさん)
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)


以上のような処方を単独で用いる場合もありますし、配合して用いる場合もあります。

また、炎症が強い場合は、石膏(せっこう)などを加えることもあります。現在の症状と元来の体質にあった処方を服用すれば、眠けやのどの渇きなどの副作用もなく即効性も期待できます。西洋薬を飲むとどうしても眠けが強くて困っている人には、特におすすめです。ただし、適切な薬を選択するのは結構難しい面もありますので、専門の医師に診断していただき適切な処方と指導を受けることをおすすめします。



アルバ薬局 みてじま店 管理薬剤師 桾本 愛子

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