アルバ会社説明会



第23号  高脂血症の話し

2003/08/20


目次:
※ご覧になる項目を上の目次よりお選び下さい。


 高脂血症とは

血液中に存在する脂質には、コレステロール・トリグリセリド・リン脂質・遊離脂肪酸などがあります。これらの脂質のうち、コレステロール(Cho)値やトリグリセリド(TG:中性脂肪ともいわれます)値が異常に多い状態が続く病気を「高脂血症」といいます。

高脂血症は、高血圧や糖尿病などと同じように、偏った食事や運動不足などの生活習慣が原因となることが多く、生活習慣病の一つです。高脂血症には自覚症状はありませんが、放っておくと、血管がつまったり傷ついたりして心筋梗塞や脳梗塞・狭心症などの動脈硬化性の病気につながっていくこともあります。


 コレステロ−ルとトリグリセリドについて

まず、「高脂血症」で問題となるコレステロールとトリグリセリドについて、説明しましょう。


コレステロール(Cho)

“動脈硬化の元凶”という悪いイメージばかりが浮かびがちですが、コレステロールは体内でも作られており、細胞膜やホルモンの原料となったり、食物が消化吸収される際に必要な胆汁酸の原料となるなど、重要な役割も担っています。
コレステロールが悪いといわれるのは、体の隅々へ運ばれたコレステロールが、血管壁内に取り込まれたり沈着したりして血管の内腔を狭め、血管の壁を硬化させたり、血液の流れを悪くしたり、止めてしまったりするからです。
これを動脈硬化と呼びます。

しかし、コレステロールには、善玉コレステロール悪玉コレステロールがあります。


善玉コレステロールと悪玉コレステロールの違い
善玉コレステロール
(HDL−コレステロール)
体内の余分なコレステロールを肝臓に運ぶ働きがある
悪玉コレステロール
(LDL−コレステロール)
肝臓から末梢組織へコレステロ−ルを運び血管壁などにたまり、動脈硬化を促進する方向に働く。 最近では、悪玉コレステロール自身ではなく、酸化を受けた悪玉コレステロールが、動脈硬化の原因であることも分かってきている。

つまり、善玉コレステロールが減少し悪玉コレステロールが増加することにより、動脈硬化が引き起こされます。  

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悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やしましょう!!



トリグリセリド(TG:中性脂肪)
脂肪はエネルギー源であり、細胞やホルモンの原料となります。 皮下脂肪などの脂肪組織の大部分は、トリグリセリド(中性脂肪)です。

しかし、コレステロールと同様に、増えすぎると動脈硬化を進行させる原因になります。



 高脂血症の診断基準

高脂血症の診断は、「動脈硬化性疾患診療ガイドライン」に基づき行います。


(高脂血症の診断基準(空腹時採血))
高コレステロール血症 総コレステロール   ;≧220mg/dL
高LDLコレステロール血症 LDLコレステロール  ;≧140mg/dL
低HDLコレステロール血症 HDLコレステロール  ;<40mg /dL
高トリグリセリド血症 トリグリセリド      ;≧150mg/dL

2002年 日本動脈硬化学会総会「動脈硬化性疾患診療ガイドライン」より




 高脂血症の治療法

治療の基本は、他の生活習慣病と同じで「食事療法」と「運動療法」です。
食事療法と運動療法を行っても、効果が不十分な場合は、薬物療法も併せて行います。


もちろん、食事・運動療法は継続して行わなければなりません。



食事療法のポイント

基本は、栄養を『偏りなく、バランスよく』とることです。


多品目をバランスよく
  多品目を、バランスよくとることが大切です。
摂取カロリーにも注意を配りましょう。
脂肪のとりすぎに注意しましょう
 

脂肪の摂取目安は、総エネルギーの20〜25%です。
脂肪は、体内で脂肪酸に分解されて利用されます。脂肪酸には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。

以下に、脂肪酸の分類と特徴をまとめておきますので、バランスよく適量とることを心がけましょう。


飽和脂肪酸 コレステロールを増やす働きがあります。 
肉・卵・バター・ラード・チーズなど
不飽和脂肪酸 一価
不飽和脂肪酸
LDL−コレステロール低下作用があり、酸化を受けにくいといわれています。       
オリーブ油・なたね油など
多価不飽和
脂肪酸
n−3系 コレステロールを減らすだけでなく、血液の流れをよくする働きもあり、血栓の予防効果があるといわれています。            
α−リノレン酸・・・・しそ油
DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)・・・・いわし・さば・さんま・まぐろなど
n−6系 コレステロールを減らす働きがありますが、酸化されやすい欠点もあります。短期間の使用でコレステロールは減りますが、長期的観察では効果は見られないなどの結果がでており、とりすぎによって炎症性疾患やアレルギー性疾患などを誘発するという報告もあります。最近では、リノール酸が少なく、リノレン酸の多い油が推奨されています。                           α−リノール酸・・・・サンフラワー油・ひまわり油


コレステロールのとりすぎに注意しましょう
  食事からとるコレステロールは、300mg以下/日が目安です。
コレステロール値が高いからといって「コレステロールを多く含む卵・肉・魚などを全くとってはいけない」というわけでは決してありません。

これらには、良質のタンパク質やビタミンなども含んでいるため、全くとらないと栄養バランスがくずれてしまいます。 
適量をとることが大切です。

(コレステロールが多い食品)
食品名
摂取量
コレステロール含有量
魚介 するめ
いか
うなぎ
たらこ
ししゃも
40g(1/2枚)
100g(1/3ぱい)
60g
40g(1/2腹)
50g(2尾)
392mg
300mg
144mg
136mg
130mg
鶏肝臓
豚肝臓
牛肝臓
60g
60g
60g
222mg
150mg
144mg
鶏卵
うずら卵
50g(1個)
15g(1個)
235mg
70.5mg
乳製品 バター
生クリーム
大さじ1杯
大さじ1杯
27mg
18mg

科学技術庁資源調査会編「日本食品脂溶性成分表」より


食物繊維をたくさんとりましょう 
  1日に20〜25gとることが理想です。
食物繊維が、便秘の予防・改善に有効であることや、血糖値の上昇を抑えることは、既にお伝えしています(処方せん豆知識11号『食物繊維』19号『糖尿病』参照)。
  その他にも、コレステロールの吸収を抑えて高脂血症を予防したり、胆石ができるのを防いだりします。 また、ナトリウムを吸着し体外へ出すことで、血圧上昇を抑えるという働きもあります。

塩分は控えましょう
  7g/日以下が目安です。調味料としての塩分だけでなく、食品に含まれる塩分にも注意しましょう。

アルコールは控えましょう
  アルコール類は、エネルギーが高く、飲酒は血中のトリグリセリド(中性脂肪)を上昇させます。特に、トリグリセリド(中性脂肪)値の高い方は、飲酒を控えることをお勧めします。肥満の原因にもなりますので、飲みすぎには注意し、飲酒をしない日を設けるとともに、医師の指導を守るようにしましょう。

糖分のとりすぎに注意しましょう
  糖質のとりすぎは、肥満の原因であると同時に、トリグリセリド(中性脂肪)増加を引き起こします。お菓子類は、糖質とともに動物性脂質も多く含んでいます。

抗酸化食品をとりましょう
  酸化を受けた悪玉コレステロールが、動脈硬化の原因であることは、先にお話しました。 抗酸化食品をとり、悪玉コレステロールの酸化を防ぐことが大切です。 酸化を防ぐビタミン(抗酸化ビタミン)には、ビタミンC・E、β−カロチンなどがあります。
これらを多く含む食品を積極的にとるようにしましょう。


運動療法のポイント
食事療法と併せて行うこと、無理をせず毎日継続して行うことが大切です。

ただし、運動をしてはいけない場合や、運動に制限がある場合もありますので、医師の指示を受けるようにしましょう。
処方せん豆知識 第19号 
 糖尿病 運動療法のポイントの項参照


その他の注意点

肥満
  肥満は、それ自体が動脈硬化の危険因子となるだけでなく、高脂血症・高血圧・糖尿病・心臓病など多くの生活習慣病を引き起こしやすくします。
特に、内臓脂肪型肥満は、動脈硬化を引き起こす危険性が高いといわれています。

禁煙をしましょう
  喫煙による“肺がん”の危険性のほかに、トリグリセリドや悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化を促進します。血圧上昇や心臓への影響も問題です。

ストレスをためないようにしましょう
  心も体も癒すようにしましょう。睡眠も十分とりましょう。


薬物療法

分類
薬品名
作用
その他
HMG−CoA還元酵素阻害薬
(スタチン系薬)
メバロチン
リポバス
ローコール
リピトール
コレステロール合成の律速酵素であるHMG−CoA還元酵素を阻害します。
コレステロール低下作用は、最も強力です。
(主な作用)
コレステロール低下作用
陰イオン交換樹脂 コレバイン 腸管内で胆汁酸を吸着して糞便中への排泄を促進したり、コレステロールから胆汁酸への異化を促進します。

(注意)
腸内の水分調節作用のある胆汁酸を吸着するため、便秘の副作用が見られることが多い。
多めの水での服用により、軽減されることも多い。
プロブコール シンレスタール
ロレルコ
コレステロールの排泄を促進したり、コレステロール生成を抑制します。
フィブラート系薬 ベザトールSR
ベザリップ
リポクリン
デリバ
アルフィブレート
リパンチル
肝臓でのトリグリセリドの合成を抑制したり、胆汁へのコレステロール排泄促進作用などがあります。
トリグリセリド低下作用は強力です。
(主な作用)
トリグリセリド低下作用
ニコチン酸系薬 ユベラニコチネート
ユベラN
コレキサミン
ペリシット       他
トリグリセリドの低下とともに、コレステロールの排泄促進作用もあります。
イコサペント酸エチル
(EPA)
エパデール
エパデールS
ソルミラン
EPAは、青魚(いわし・さばなど)に多く含まれている多価不飽和脂肪酸です。
血清脂質低下作用の他、抗血小板作用、動脈進展性保持作用などもあります。

(注意)
腸管からの吸収に、胆汁が必要なため、胆汁分泌が多い食直後の服用が望ましい。
植物ステロール ハイゼット
ガンマー・オーゼット
オリバー  
脂質低下作用は弱く、軽度の例に用いられたり、ほかの薬剤との併用薬として使用されることが多いです。
その他 エラスチーム 他
EPL      他
パントシン   他
MDSコーワ  他
血管代謝改善薬
肝機能改善薬
パントテン酸
デキストラン硫酸ナトリウムイオン 



 まとめ

生活習慣病には、高脂血症のほかにも、高血圧・糖尿病・心臓病など、さまざまな疾患があります。ここでは、高脂血症についてお話しましたが、ここで述べた注意点は、決して高脂血症だけに限られたことではなく、他の疾患にも当てはまることです。

生活習慣病の治療は、まず、自分自身の生活習慣の問題点を見直し、改めていくことです。日々の改善の積み重ねが、予防や治療にも効果を現すはずです。 早速、今日から始めましょう。

アルバ薬局鈴蘭台店 管理薬剤師 鵜鷹 奈美



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