アルバ会社説明会





第24号  痛風と高尿酸血症の話

2003/09/22


目次:
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 痛風とは

血液中の尿酸濃度の高い状態を「高尿酸血症」といいます。高尿酸血症状態が長く続くと尿酸が血液中に溶けきれなくなり、結晶化して関節や腎臓に沈着して炎症を起こす病気を「痛風」といいます。

一般に痛風といえば、急性の関節炎を繰り返すだけの病気だと思われがちですが、全身性の代謝異常疾患で、高尿酸血症状態が続くと、関節だけではなく、心臓・腎臓にも影響を及ぼします。
痛風は、日本では戦前にはまれな病気でしたが、食生活の欧米化やアルコ−ル摂取量の増加などにより増え続けており、現在では約60万人の患者さんがいるといわれています。
痛風の予備軍である高尿酸血症の患者さんは、その約10倍の600万人にもおよぶと推定されており、今や高血圧・高脂血症・糖尿病などと同様の生活習慣病として位置づけられています。

また、患者さんは、圧倒的に40〜60代の男性に多く、女性はほとんどいません。女性に痛風が少ないのは、女性ホルモンが尿酸を体外へ排泄しやすくする働きがあるためだといわれています。
しかし、最近では30代の男性にも増加傾向があり、閉経前の女性にも増加傾向があるといわれています。


 尿酸と高尿酸血症

尿酸は、「プリン体」と呼ばれる生体物質の一つです。プリン体には多くの種類がありますが、それらが分解され尿中に捨てられる形になったものが「尿酸」です。
プリン体は、細胞の中にあるDNAやRNAなどの核酸や生体エネルギ−物質であるATP(アデノシン三リン酸)の構成成分ですので、細胞が壊れて核酸が分解したり、エネルギ−を消費してATPが壊れると尿酸ができます。

つまり、人間が生命活動を行っている上で尿酸は常に体内で作られているということです。さらに、プリン体は食物にも含まれており、これらを食べることによっても体内で尿酸が作られることになります。


高尿酸血症の原因

細胞活動の結果生じた尿酸も、食事由来の尿酸も、血液によって腎臓に運ばれ大部分は尿中に排泄されます。この尿酸の生成と排泄のバランスが崩れた状態が高尿酸血症です。
血清尿酸値は、男性が女性より高い値を示しますが、男女年齢を問わず7.0mg/dlを超えたものを高尿酸血症と診断します。つまり、尿酸は7.0mg/dl以下の濃度では、血液中で溶けて流れていますが、7.0mg/dlを超えると溶けなくなって体内に沈着していきます。


高尿酸血症のタイプ

(1) 尿酸排泄低下型:尿酸が排泄されにくいタイプ(約60%)
(2) 尿酸産生過剰型:尿酸が作り出されやすいタイプ(約20%)
(3) 混合型(上記(1)(2)):両方を併せ持つタイプ(約20%)

 
   
血清尿酸値を上昇させる主な要因

高尿酸血症には、原因により「一次性高尿酸血症」と「二次性高尿酸血症」に分類されます。

●一次性高尿酸血症
遺伝的要因 痛風の場合の主な遺伝的体質とは、腎臓からの尿酸排泄の低下です。 約20%の痛風患者さんには、親族に痛風患者さんがいるといわれています。
食 生 活 早食いや大食いで体重が増加したり、プリン体を多く含む食事を食べ過ぎると尿酸値は上昇します。
痛風の患者さんの約60%に肥満があるといわれています。肥満度が大きくなるほど尿酸値も高くなる傾向にあります。
飲 酒 アルコ−ル飲料を飲むと尿酸値は一時的に上昇します。それは、アルコ−ルが体内で分解されるときに尿酸が作られること、その際にできる乳酸が体内に尿酸を蓄積すること、一部のアルコ−ル飲料にプリン体が多く含まれていることなどです。
ストレスや激しい運動 ストレスがかかった時や激しい運動なども、尿酸値を上昇させることがあります。

●二次性高尿酸血症
他の疾患 慢性腎疾患(腎機能低下)・悪性腫瘍・溶血性貧血などが高尿酸血症の原因になることがあります。
薬 剤 性 利尿薬・抗腫瘍薬・テオフィリン・ミゾリビン・フルクト−スなどが高尿酸血症の原因になることがあります。


 痛風の経過と症状

高尿酸血症状態
特に症状はありません。
急 性 関 節 炎
高尿酸血症の状態が続くと(約10〜15年)、尿酸塩の結晶が関節内に付着・析出して、急性関節炎(急性痛風発作)が起こります。
発作は突然起こり、関節が赤く腫れ上がり、がまんのできない痛みが生じます。痛みは、最初から激痛で始まり、24時間以内に最大の痛みとなるのが特徴です。

特に、発作の起こりやすい部位は、足の親指の付け根(母趾基関節)です。その他の部位では、足・手指関節・ひざ・股関節などにも見られます。1度に痛むのは1ヶ所で、夜中に突然痛み出します。

発作の前兆期には、その部位に違和感や熱っぽさ・腫れぼったさなどを感じます。痛みや腫れが強く、歩くことも困難なくらいですが、通常1〜2週間程度で痛みはおさまります。
 
無  症  状  期
関節炎の痛み消失のあとは、半年から2年位、時にはそれ以上の無症状の期間があります。この期間は、治療がなされていないことが多いのも問題です。
尿酸値を適正に下げる治療をしないと、忘れた頃に必ずまた再発します。
 
慢  性  期
尿酸結晶の沈着(尿酸結石)が、炎症を起こした組織に見られます。 これは、治療をせず、尿酸が蓄積された表れでもあります。
関節の変形や運動障害などが見られるだけでなく、尿路結石・腎障害 などの症状も現れてきます。

尿中の尿酸の排泄量が多いほど尿路結石の頻度は高くなり、尿酸が体内に蓄積した痛風患者さんでは、痛風腎と呼ばれる腎障害がしばしば見られます。


 治 療

痛風の治療では、耐えがたい関節の痛みをできるだけ速やかに軽減させることを主目的とする治療と、痛風の基礎疾患である高尿酸血症状態を改善し尿酸値を低い状態にコントロールするという2つの面から行われます。また、合併症がある場合は、その治療も同時に行っていかなくてはなりません。  

ある調査によると、血清尿酸値が7.0mg/dl台で16%、8.0mg/dl台で25%、9.0mg/dl以上で90%に痛風発作を生じたとの報告があります。このような結果からも、無症状期に尿酸値コントロールのための治療を続けることが非常に重要であることが分かります。
血清尿酸値が、7.0mg/dlを越えるとき高尿酸血症と定義されており、血清尿酸値の治療目標 は、6.0mg/dl以下です。(日本痛風・核酸代謝学会 治療ガイドライン)


薬物療法

高尿酸血症・痛風の治療薬には、痛風関節炎の治療に用いる「痛風発作治療薬」、高尿酸血症の治療に用いる「尿酸降下薬」があります。


分類
特徴
成分名 ( )内は薬品名






(1)発作の前兆期 ・コルヒチン(コルヒチン)
(以前は発作時の治療の代表薬であったが、最近では主に発作の前兆期に用いられる。発作時には、NSAIDsを用いる)
(2)発作時: 非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) ・インドメタシン(インダシン・インテバンなど)
・オキサプロジン(アルボなど)
・ナプロキセン(ナイキサンなど)
・フェンブフェン(ナパノールなど)
・プラノプロフェン(ニフラン・プランサスなど)
(3)炎症の強い場合で、コルヒチンやNSAIDsで効果が十分でない場合に用いる ・ステロイド薬
尿 酸 降 下 薬

 

 

尿酸排泄 促進薬 尿酸の尿中排泄を促進する
(尿酸排泄低下型に用いる)
・プロベネシド(ベネシッド)
・ブコローム(パラミジン)
・ベンズプロマロン(ユリノームなど);最も強力
注意)尿酸排泄促進薬を服用中は、尿路結石防止のため、酸性尿改善薬(尿アルカリ化薬)を用いることが多い。
また、尿路結石防止のために、水分を多くとる必要あり(1〜2L/日を目安)
尿酸生成 抑制薬 体内での尿酸生成を抑制する
(生成過剰型に用いる)
・アロプリノール(ザイロリック・サロベール・アロシトール・リボールなど)

上記以外に、尿路結石予防のために、酸性尿改善薬(尿アルカリ化薬)が用いられることがあります。
高尿酸血症・痛風の患者さんでは、尿路結石の合併率が高いことがわかっています。その理由は、尿中に排泄される尿酸の量が増えているだけでなく、ほとんどの患者さんで尿がpH6.0 以下の酸性に傾いているためだといわれています。

尿酸は水に溶けにくく、特に酸性では非常に溶けにくい性質を持っています。尿のpHを5から7にするだけで(尿のアルカリ化)、尿酸は尿に 10倍以上溶けるようになります。
表2参照

分類
特徴
成分名 ( )内は薬品名
酸性尿改善薬 (尿アルカリ化薬) 尿のpHを上昇させ、尿中尿酸の溶解度を上げ、尿酸結石を防ぐ。 ☆クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合 (ウラリットU・ウラリット)
☆炭酸水素ナトリウム(重曹)


 日常生活の注意点

(1)肥満に注意
  肥満は尿酸値を上昇させる要因の1つです。 体重を減らすことで、関節への体重負荷を軽減することもできます。 肥満は、痛風だけでなく、様々な疾患の予防に関わっています。適正体重を知り、減量を心がけましょう。

  
(2)アルコールは控えめに
  アルコールは尿酸産生を促進します。アルコールをたくさん飲んだときに、血液中の尿酸値が上昇したり、痛風発作が起こることが多いといわれています。アルコールの中でも、特に、ビールはプリン体を多く含んでいます。しかし、最近キリンビ−ルからプリン体を95%カットした「淡麗アルファ」という発泡酒が発売されたそうです。まだ試していませんが、尿酸値が気になるビ−ル党は試してみられては如何でしょうか。 摂取の目安:ビール中ビンなら1本、日本酒なら1合、ウイスキーならシングル2杯程度

 

(3)プリン体のとりすぎに注意 ※表1参照

  プリン体のほとんどは体内で作られますが、食事からのプリン体の摂りすぎも、尿酸値上昇の原因となります。プリン体を多く含む食品の摂取は制限が必要です。  プリン体は、水に溶けるため、調理法によっても含量が変わります。蒸す・揚げる調理よりも、煮る・焼く調理の方が、プリン体は減ります。また、プリン体を多く含むものは、煮汁にプリン体が溶けているため、煮汁は飲まないほうがいいでしょう。
 
(4)脂肪のとりすぎに注意
  尿酸排泄を阻害し、尿酸値上昇の原因となります。
 
(5)水分摂取
  十分に水分をとり、尿とともに尿酸排泄を促すことが大切です。 また、尿酸排泄促進薬を服用中には、尿路結石防止の働きもあります。

 
(6)ストレス発散
  ストレスは、様々な疾患に悪影響を与えます。心身共にリラックスを心がけましょう。
 


 参考資料

プリン体の多い食品と少ない食品(食品100g中のプリン体含有量)
  ※表1

極めて多い (300mg〜)
鶏レバ−・マイワシ干物・あんこう肝酒蒸し・イサキ白子・カツオブシ・煮干し・干しシイタケ
多い (200〜300mg) 豚レバ−・牛レバ−・カツオ・マイワシ・大正エビ・マアジ干物・サンマ干物
少ない  (50〜100mg) ウナギ・ワカサギ・豚ロ−ス・豚バラ・牛肩ロ−ス・牛肩バラ・牛タン・マトン・ボンレスハム・プレスハム・ベ−コン・ツミレ・ほうれんそう・カリフラワ−
極めて少ない (〜50mg) コンビ−フ・魚肉ソ−セ−ジ・かまぼこ・焼きちくわ・さつま揚げ・カズノコ・ スジコ・ウインナソ−セ−ジ・豆腐・牛乳・チ−ズ・バタ−・鶏卵・とうもろこし・ じゃがいも・さつまいも・米飯・パン・うどん・そば・果物・キャベツ・トマト・ にんじん・大根・白菜・ひじき・わかめ・こんぶ

(総プリン体表示)
資料:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン



尿をアルカリ化する食品と酸性化する食品 ※表2


尿をアルカリ化する食品
ひじき・わかめ
こんぶ・干しシイタケ・大豆
ほうれんそう
ごぼう・さつまいも
にんじん
バナナ・里芋
キャベツ・メロン
大根・かぶ・なす
じゃがいも・グレ−プフル−ツ
アルカリ度  酸度
尿を酸性化する食品

卵・豚肉・さば
牛肉・アオヤギ
カツオ・ホタテ
白米・ブリ
マグロ・サンマ
アジ・カマス
イワシ・カレイ
アナゴ・芝エビ
大正エビ

資料:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン



アルバ薬局鈴蘭台店 管理薬剤師 鵜鷹 奈美



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