アルバ会社説明会



第32号   夏になると食中毒に気をつけて!  

2004/05/20

目次:
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梅雨時から夏場、5月から8月が食中毒の発生しやすい時期です。環境衛生が著しく改善された今日でも、食中毒の発生はいっこうに減らず、現在でも年間1000〜3000件が発生し、3万〜4万人が食中毒にかかっています。

記憶に新しいものに、平成8年の腸管出血性大腸炎O−157や、平成12年の加工乳による食中毒がありました。  今回は、これから多発する食中毒の知識と、家庭でできる対策についてお話ししたいと思います。

 食中毒とは

食中毒とは、飲食物を摂取したために起こる中毒のことで、細菌・ウイルスが付着した食品や有毒・有害な物質が含まれた食品を食べることによって腹痛・下痢などの健康障害がおこることです。

食中毒は細菌によるものばかりでなく、フグや毒キノコなどの自然毒やメタノ−ルなどの化学物質による中毒も含まれます。しかしその8割〜9割は、サルモネラや腸炎ビブリオ・病原性大腸菌のような細菌が原因になっています。

 食中毒の分類

    感染型 ・・・ サルモネラ・腸炎ビブリオ
カンピロバクター・病原大腸菌など
細菌性      
  毒素型 ・・・ 黄色ブドウ球菌・ボツリヌス菌など
         
ウイルス性 ・・・ 小型球形ウイルスなど
         
  動物性 ・・・ フグ・毒カマス・貝など
自然毒      
  植物性 ・・・ 毒キノコ・じゃがいもの芽・毒ゼリなど
         
化学物質 ・・・ 殺鼠剤・農薬・メタノール・鉛など
         
  アレルギー様 ・・・ ヒスタミン
その他 カビ毒    
    寄生虫など ・・・ アニサキス・クリプトスポリジウム・サイクロスポラなど

以上のように、食中毒の原因には様々なものがありますが、その原因の大半は細菌性食中毒です。

 細菌性食中毒症状を起こす仕組み

自然毒や化学物質による食中毒は原因物質を摂取することにより起こりますが、微生物によるものは原因菌である細菌またはウィルスが増殖することにより引き起こります。

食中毒原因菌が食中毒症状を引き起こす仕組みについては以下の三つの型があります。


◇ 感染型─サルモネラ、カンピロバクター等
細菌に汚染された食品を口にすることで、菌が体内に入り腸で定着・増殖し食中毒をおこすものです。腸管にたどり着いた菌が腸管内でさらに増殖し、腸管組織に侵入して組織を壊し、炎症を起こします。この結果、腹痛や下痢などの症状が現れ、ひどくなると血便が出ることもあります。

◇ 生体内毒素型・・・腸炎ビブリオ、病原性大腸菌等
菌が腸管内で作り出した毒素により発症します。菌によって作り出す毒素が異なり、症状も様々ですが、一般的には腹痛・下痢・発熱などの症状が現れます。  

毒素型・・・ボツリヌス菌、黄色ブドウ球菌等
食品内であらかじめ細菌が増殖し、産生した毒素を含んだ食品を食べることで発症する中毒で、感染ではありません。中には神経毒作用を持つ恐い毒素を作り出すものもあります。  


細菌による食中毒の発病の仕組み

食中毒菌が口を通過しても(食べても)、消化管でうまく防御できれば、菌はそのまま外に排泄され、感染しません。

まず細菌が身体内に入ると、次の(1)〜(3)のような生体防御が働きます。一方、細菌がこれらの生体防御機能をくぐり抜けてしまうと(4)(5)のような結果になって発病してしまいます。


(1)

まず食物を口から摂取すると、唾液の中のリゾチームという酵素で分解される。この段階で細菌および細菌が出す毒素の効力がなくなれば発病しない。

(2) 細菌が胃に到達したとき、胃酸により分解され、細菌から出される毒素の効力がなくなれば発病しない。
(3)

細菌が腸に到達し、便と共に体外に排出されると、発病しない。

(4) 細菌が腸に到達し、増殖し、毒素を出すと、発病する。
(5)

細菌が腸に到達し、細胞に直接侵入し腸管の機能に障害を与えると、発病する。



現在日本で、食品衛生法の定める食中毒原因菌に指定されているのは、16種類です。

食中毒をおこす細菌ごとに原因食品や症状が異なりますので、主な原因菌についてみてみましょう。


おもな細菌性食中毒の要点
細菌名
原因食品
菌の特徴
症状・
[潜伏時間]
予防の
ポイント
サルモネラ 肉卵類及びその加工品・調理器具等から汚染された食品 人や動物に広く分布している細菌群で、ネズミ・ハエ・ゴキブリやペット類も汚染源

下痢・腹痛・発熱・頭痛・吐き気・嘔吐
[6〜72時間]

食肉類(特に鶏肉)の生食は避ける
熱に弱いので充分加熱する
ネズミ・ゴキブリの駆除
腸炎ビブリオ 生の魚介類およびその加工品 塩分2〜5%でよく発育する海水温が15℃を越えると、急速に増殖真水に弱い 下痢・腹痛・吐き気嘔吐・発熱
[8〜24時間]
漁獲から消費まで一貫した低温管理
加熱処理
6月から秋口にかけて多発する
魚介類は調理の前によく水洗いする
ブドウ球菌 おにぎり・すし・洋菓子・サラダ類など 人や動物の化膿巣や鼻咽喉等に広く分布する食品中で生産される毒素は熱に強い 吐き気、嘔吐、下痢、腹痛[30分〜6時間]
調理人の手の傷に注意
調理後、すぐに食べる
カンピロ
バクター
食肉(鶏豚牛)ペット(犬・猫)等から食品・飲料水への二次汚染 この菌により汚染された食品および水から、人に感染するものと考えられる少量の菌で発病することがある 下痢・腹痛・倦怠感頭痛・発熱[3〜11日]
食肉類を冷蔵庫で保存するときは他の食品と別にする
食肉特に鶏肉の調理は十分に加熱する
病原大腸菌 分布が家畜・ペット・健康人や自然環境にまで及んでいるため原因食品は多種にわたる 井戸水などを介して水系の集団発生もみられる 下痢・腹痛・吐き気嘔吐・発熱[8〜24時間]※腸管出血性大腸菌(O157等)は下痢に出血を伴ったりHUS(溶血性尿毒症症候群)になることもある[4〜8日]
充分な手洗い
食品や井戸水の加熱
井戸水等の定期的な水質検査
調理従事者の定期的な検便
セレウス菌 (嘔吐型)米飯・焼飯・スパゲッティ(下痢型)食肉製品・スープ・野菜プリン 河川や土壌などの自然界に広く分布芽胞※1を形成し芽胞は熱に強い症状は嘔吐型と下痢型に分けられる (嘔吐型)吐き気、嘔吐[1〜5時間](下痢型)腹痛、下痢、吐き気[8〜16時間]
食品への汚染防止
低温保存
長期間保存を避ける特に前日の米飯の使用は避ける
ボツリヌス菌 いずし※2・ハム・ソ-セ-ジ・はちみつ 土壌に広く分布しているびん詰・缶詰真空包装食品など、酸素が含まれない食品中で増殖し、強い毒素をつくる 吐き気・嘔吐・便秘脱力感・倦怠感・めまい・舌のもつれ呼吸困難[12〜36時間]
容器が膨れあがっている、缶詰や真空パック食品は食べない
1歳以下の乳児に、はちみつを与えない

※1芽胞 ・・・ 増殖に適さない環境において菌体内で作られる耐久性の構造物(植物の種のような形)です。外側の細胞が破壊されても芽胞自体が破壊されない限り、将来都合の良い環境になったら、再び発芽してきます。
※2いずし ・・・ にしん・はたはた・アユなどの魚の発酵食品 (私は、食べたことがありませんが・・・)

 食中毒を予防するには

食中毒というと、給食やお弁当、レストランや旅館などの飲食店など外での食事が原因と思われがちですが、毎日食べている家庭の食事でも発生する危険性がたくさん潜んでいます。実際に 厚生労働省に報告のあった食中毒事件だけをみても、家庭の食事が原因の食中毒が全体の20%近くを占めています。

食中毒は気温が高く湿気の多い夏場に多く発生しています。これは食中毒の原因となる細菌は、高温多湿の環境を好み、夏になると活発に繁殖するからです。一方、人は高温多湿の環境では抵抗力が低下しやすく、細菌に感染しやすいことも関係しています。

◇細菌性食中毒予防の三原則

1. 菌をつけない
細菌は目に見えませんが、いろいろなものに付いています。調理中は手や調理器具をたびたび洗いましょう。

2. 菌を増やさない
調理済みの食品はなるべく早く食べるようにし、保存する際には冷蔵庫等で冷やして保存しましょう。  

3. 菌を殺す
ほとんどの食品は十分な加熱により殺菌が可能です。食品の中心部まで十分に火を通しましょう。  

細菌性食中毒予防の3原則に基づき、実際に食品を購入してから調理・食事・そして残った食品の取り扱いについて、具体的な食中毒予防対策として厚生労働省が示した6つのポイントがあります。
下記のHPをご参考になさってください。http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0903/h0331-1.html


この時期、家庭でつくる「おにぎり・弁当類」なども食中毒に注意が必要です。
ただでさえ腐りやすいこの時期にお弁当を作る時には、以下のことに注意しましょう。

この時期のお弁当作りのポイント

●水分が少ないものを
食中毒菌は水分が多いほど繁殖しやすくなります。お弁当に入れる食材は、水分の少ないものを選ぶか、煮詰めるなどして水分を飛ばしておきましょう。
●冷ましてから詰める
温かいうちに詰めるのは厳禁です。よく冷ましてから詰めましょう。
●必ず火を入れて
前日のおかずを使うときにはもう一度火を入れましょう。また、生で食べられる加工食品(練り物など)にも必ず火を通しましょう。
●殺菌・抗菌効果のある食材を上手に利用
生姜や梅干など、殺菌・抗菌効果のある食材を利用しましょう。
●おにぎりは、ラップで握る
この時期のおにぎりは、なるべく素手でにぎらず、ラップを使って握りましょう。
●仕切りにも注意
仕切りには、生野菜などの食材を使わないようにしましょう。

このほか、お弁当用の防腐シートなども市販されています。上手に利用してください。

◇殺菌・抗菌作用がある食材
わさび 辛味成分に抗菌効果
生姜 抗菌作用(わさびほど強くない)
有機酸に殺菌効果
お茶 カテキンに殺菌効果  ※O−157を5時間で死滅させた
ワイン 特に白ワインに含まれる有機酸に殺菌効果

●お茶で食中毒を予防
お茶に含まれる『カテキン』は大変強い殺菌効果があります。普通に飲むお茶の10分の1から2分の1程度の薄い濃度のお茶のカテキンで、ブドウ球菌・腸炎ビブリオ・黄色ブドウ球菌・ウエルシュ菌・ボツリヌス菌を殺してしまう事が、確認されています。
 さらに、O−157 1万個を1ccの緑茶の中に入れたところ、5時間後 O−157がゼロになったという実験結果も報告されています。
 体の中に入る細菌は、多くて1000個ぐらいです。食事中や食後に湯飲み茶碗一杯、だいたい120cc前後の入れたてのお茶を飲むことを心がけていれば十分殺菌効果が期待されます。

 食中毒になった時は

食中毒は、場合によっては死に至ることもあるので、重症化する前に早めに医療機関へかかるようにしましょう。
食中毒にかかったときは、安静に寝かせ、吐き気が強い時は、吐いたものを誤って飲み込んで気管に入らないように、顔を横向きにします。 落ち着いたら、白湯(さゆ)を飲ませます。 下痢や嘔吐を繰り返すと水分が不足します。特に小児・高齢者は脱水になりやすいので水分補給と同時に塩分や糖分も補給する必要があります。スポーツドリンクなどをうまく利用してください。
 
軽い場合は、このように家庭の看護でも良くなりますが、頻回の嘔吐や下痢・顔色が悪い・ぐったりするなどのときは医療機関を受診しましょう。その際、何を食べたか・食後どのくらいの時間で症状がおこったか・同じ食物を食べて同じ症状の人はいたか、などが診断のポイントになります。
また、原因と思われる食品や嘔吐物・便などを持参すると診断の際の手掛りとなります。顔・手足のしびれ、舌のもつれ、意識がおかしい、けいれんなどの神経症状や呼吸困難などの症状が表れたときは、細菌毒素や自然毒が疑われ、緊急を要します。
食中毒の際、下痢止めを使用すると、病状が進行し深刻な状態になる可能性があるので、大変危険です。医療機関を受診し、指示を仰ぎましょう。

 まとめ

今回は気温が上がると気になる食中毒について、お話しさせていただきました。近年、冷蔵・冷凍技術により季節に関係なく、また、流通網の発達により世界各国の食材が手軽に手にはいるようになりました。
食を取り巻く環境が大きく変わるにつれ、食中毒の種類も多様になってきています。
  しかし、同じ食品を食べても、すべての人が同じように食中毒になるわけではありません。しっかり健康管理を行い、抵抗力をつけておくことも、食中毒の予防には大切です。

朝陽薬局 神戸店 薬剤師   堀内 郁夫 



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