アルバ会社説明会



第34号   耳のお話  

2004/07/20

目次:
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いよいよ夏本番を迎えました。夏休みもはじまり、山や海など屋外へ出かける機会も増えているのではないでしょうか。毎年、それにあわせるように、耳鼻科のお世話になる方も多いようです。そこで、今回は『耳』についてお話しさせていただきます。

 耳のメカニズム

耳には、『聴く』ための聴覚系の働きと、動作の際『からだのバランスをとる』平衡系の働きの2つがあります。

 耳のしくみとはたらき

耳は、外側から「外耳」・「中耳」・「内耳」の3つの部分で構成されています。
(図:三共株式会社HPより)


◆外耳
外耳は「耳介(じかい・一般にいう“耳たぶ”のこと)」と「外耳道」から成り立っています。本来「耳介」は、集音のための器官です。古代人は馬や犬のように、耳介を動かして音の方向を探る機能を持っていたようです。

耳の入口から鼓膜までを外耳道といいます。外耳道はラッパの管のように音波を増幅させる効果があり、鼓膜を振動させることで音波を中耳に伝えます。

鼓膜は長径約10ミリ、短径約8ミリの縦長で、厚さ約0.1ミリの薄いピンと張った膜です。


◆中耳
中耳は鼓膜と内耳(内耳を参照)の間の部分で、中は空洞で3個の小さな骨(耳小骨)を経て内耳につながります。「耳小骨(じしょうこつ)」は外耳側から、つち骨・きぬた骨・あぶみ骨の順に並び、お互いに関節でつながっています。
鼓膜に音が当たって振動すると、鼓膜に付着している耳小骨を経由して内耳に伝わります。耳小骨は、てこの原理で鼓膜の振動を約3倍(増幅器の働き)にして内耳に伝えます。

また、中耳は耳管(じかん)と呼ばれる管を通じて、上咽頭(鼻の奥にあたる部位)へ連絡しています。
耳管はふだんは閉じていますが、ものを飲みこんだり、あくびをしたときなどに開きます。これによって、中耳と外部の圧を一定に調節して、音を伝えるのに適した状態に保つようにしています。
また、耳管は中耳内の排出物を外へ排泄する働きも持っています。


◆内耳
中耳の奥にあるのが内耳で、内耳のひとつの窓をふさいでいるあぶみ骨で中耳とつながっています。

内耳は聴覚(聞こえ)をつかさどる蝸牛(かぎゅう)と平衡感覚(バランス)をつかさどる前庭〔卵形嚢(らんけいのう)・球形嚢(きゅうけいのう)・三半規管(さんはんきかん)〕からできています。

一般に、蝸牛とは“かたつむり”のことで、その形から名前が来ています。蝸牛にはリンパ液が入っていて、耳小骨の振動でリンパ液が揺れ、その揺れを感覚細胞(有毛細胞)がとらえて電気信号に変え蝸牛神経に伝えます。

有毛細胞は蝸牛の内側に並んでいて、その場所によって感知する音の高さ(周波数)が異なります。
電気信号は、蝸牛神経を通って大脳に伝えられ、大脳皮質の聴覚をつかさどる部位がその信号を認知・処理した時『音が聞こえた』と認識し、それが何の音なのかを識別します。

さらに内耳は、聞こえだけでなくバランスもつかさどっています。
平衡感覚をつかさどる前庭は、直線方向の動き・重力・遠心力を感知する、卵形嚢(らんけいのう)・球形嚢(きゅうけいのう)の2つの耳石系(先に石が載っている短い毛が密生しています)と、回転運動を感知する、三半規管から構成されています。

平衡感覚の信号は前庭神経に伝わり、正常な場合バランスを保っています。たとえば、センサーが過敏すぎると、ちょっとした頭のゆれを大げさにとらえてしまい、グルグルと目が回ってしまったり、逆に鈍感な場合は、そのゆれををとらえることができず、バランスがとりにくくなります。
また、前庭神経自体が傷害されても平衡障害をきたします。


では、次に「外耳」・「中耳」・「内耳」の、それぞれでよく耳にする病気をとりあげてみましょう。


◇外耳

びまん性外耳道炎(びまんせいがいじどうえん)
特徴 「しらが染め」や「点耳薬」などの薬物の副作用により、外耳道全体が炎症を起こしたものです。
症状 耳のかゆみや異物感が主ですが、ひどくなると痛みもおこってきます。
治療
外耳道の充血は、抗生物質の点耳薬や軟膏を塗ることで2〜3日で治ります。
しかし、このような治療を行っても1ヶ月も2ヶ月もよくならないときは、かび(真菌)の感染が疑われますので、再度受診するようにしましょう。

限局性外耳道炎(げんきょくせいがいじどうえん)
別名:耳せつ(じせつ)
特徴 外耳道の入口付近にある毛穴や耳あかの出る腺などに、感染をおこしたものです。
症状 耳たぶの前あるいは、うしろ下部が腫れることが多く、耳にさわったり、口を大きく開けたり、物を食べたりする時に痛みが増します。症状によっては、耳の周りのリンパ腺が腫れ、激しい痛みで睡眠できないくらいになります。
治療 軽度であれば、抗生物質の内服や軟膏を塗ることで治ります。
しかし、なかなか自然に排膿しないときは、切開する場合もあります。

外耳道真菌症(がいじどうしんきんしょう)
特徴 真菌(かび)の感染でおこる病気です。
症状 慢性のかゆみと、時に耳の痛みがあります。耳あかがたまりやすくなり、そのため、聞こえが悪くなります。
耳の中から、“かび”の種類で異なる色(白・黒・黄色など)の菌糸を伴った耳あかがとれ、そのあと外耳道に軽い充血がみえます。
治療 かびの検査で診断が決まれば、抗真菌薬の点耳か軟膏を塗ります。
細菌とは違い、かびは皮膚の深いところにまで入っていますから、数ヶ月以上の長期治療を行わないと、再発する場合があります。

◇中耳

急性中耳炎
特徴
かぜを引いた時に、鼻やのどにいる細菌やウィルスが耳管(鼻の奥と耳をつなぐ管)を通って中耳に侵入し、炎症を起こす病気です。
子どもに多い病気です。大人に比べると赤ちゃんや子どもの耳管は短くて太く、さらに水平になっているため、のどや鼻から細菌などが入りやすくなるからです。
症状 感染の初期は、耳がつまった感じや、耳内のかゆみなどの症状がある場合もありますが、多くは耳の強い痛み・発熱などの症状がおこり、やがて難聴がみられます。
治療 抗生物質の服用で炎症をおさえたり、ひどいときは鼓膜を切って膿をだします。耳の後ろを冷たくしぼったタオルなどを当てて冷やすだけでも痛みは和らぎますが、必ず受診するようにしましょう。
生活上の注意 自覚症状や熱がなくなれば、普通に生活できます。ただし、入浴や運動は鼓膜の状態により違ってきますので、主治医の指示にしたがってください。
症状が消えても、数日間は鼻を強くかまない方が、無難です。

適切な治療により、耳痛・難聴などの強い症状は、2〜3日でおさまります。しかし、中耳がきれいになるには時間がかかり、2週間ぐらいは必要です。自己判断で治療をやめたり薬を中止すると、再発したり『慢性中耳炎』や『滲出性中耳炎』に移行することがあります。特に、乳幼児ではこの傾向が強いですので注意が必要です。
注意:お風呂やプールで耳に水が入って中耳炎になることはなく、外耳道の奥にある鼓膜で水はせき止められ、内耳まで入ることはありません。


滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)
特徴 鼓膜の内側(鼓室)に滲出液(分泌液)がたまり、耳の聞こえが悪くなる病気です。急性中耳炎が完全に治りきっていなかった時などに起こります。
症状 聞こえが少しずつ悪くなりますが、痛みはありません。放っておくと治りにくくなります。
治療
抗生物質・消炎酵素剤・粘液分解剤などを服用します。また、症状によっては外科的に滲出液を排除する治療もありますので、主治医にご相談ください。治療は一般的に短くて1〜2ヶ月、長い場合は、半年〜2年くらいかかることがあります。
生活上の注意 痛みがあるわけではないので、小さい子どもの場合は、自分で気づかないことがよくあります。
   ・テレビの音を大きくする。
   ・少し離れた所から呼んだときに返事をしない。
   ・聞き返すことが多い。
   ・大きな声でしゃべる。
などの症状があるときは注意してください。

慢性中耳炎(鼓膜の状態によって以下の3つの種類に分けられます)

穿孔性中耳炎(せんこうせいちゅうじえん)
特徴 鼓膜の中心部に、穿孔(つきぬけた穴)がおこっている状態です。
症状 主な症状は、耳だれと難聴です。
中耳に細菌が居座ることで、炎症が続き、急性中耳炎を繰り返し鼓膜に穴が開いてなかなかふさがらないために起こります。その穴から細菌が侵入し、炎症をさらに悪化させ、耳だれを繰り返します。
穿孔の大きさによって難聴の程度は異なり、炎症が強くなると難聴はひどくなります。
癒着性中耳炎(ゆちゃくせいちゅじえん)
症状 耳管に細菌が居座ると、炎症が続き耳管の通気が悪くなります。そのため、中耳の圧力が低くなり鼓膜がへこみ中耳腔の壁に癒着した状態です。

外から中耳内に音が入ってきても、鼓膜がきちんと振動しないため、音の振動が内耳に伝わりにくくなり、難聴が起こります。さらに鼓膜が耳小骨に押さえつけられると、強い難聴が起こります。
真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)
症状 鼓膜の表面は外耳道の皮膚が連なった状態で、角化物(垢)が出ます。正常な場合、その垢は皮膚の自浄作用により外側に耳垢(みみあか)として排泄されます。しかし中耳炎などで、鼓膜が陥凹していると、鼓膜の内側に角化物が溜まりやすくなります。
このように、皮膚の垢などの塊(真珠に似ているので真珠腫と呼ばれる)が、細菌や真菌の培地となり感染や炎症がおこりやすくなります。
真珠腫自体が骨を溶かすというやっかいな性質を持っているため、中耳の周囲にある内耳・顔面神経・脳などとの境の骨が壊され、内耳障害(めまい・吐き気・内耳性難聴)や顔面神経麻痺・脳腫瘍・骨髄炎などを起こす可能性があり、危険性中耳炎とも呼ばれています。

慢性中耳炎の治療 治療には保存的治療(手術をしない治療法)と手術治療がありますが、慢性化して間もないものや中耳炎を繰り返したりしていない場合には、保存的治療を中心におこないます。

保存的治療
  抗生物質を内服したり、あるいは抗生物質を含んでいる点耳液を耳の中に直接投与します。
  *点耳液の正しい使用方法 参照
手術的治療
  鼓室形成術(こまくけいせいじゅつ)といって炎症部分を除去し、耳小骨 や鼓膜を再生し、聞こえもよくすることを目的とする手術です。
生活上の注意 耳だれや難聴を自覚したら、早く耳鼻咽喉科を受診して下さい。早期発見・早期治療が最も大切です。
耳だれは清潔なガーゼなどで拭き取って下さい。放置すると湿疹の原因にもなります。


◇内耳

メニエル病
特徴
自発的めまい(特になにもしないのに、ぐるぐる回転性のめまいが生じたり、ふらふらしたりするもの)の代表的な病気です。
症状 発作的に、耳鳴り・難聴・吐き気などを繰り返す病気です。原因はよく分かっていませんが、内耳内にリンパ液が過剰になることが関係していると考えられています。
治療 体の余分な水分をとる薬(間接的に内耳のリンパ液を排出します)・血管拡張剤・ビタミン剤・抗めまい剤などが一般的に使われています。
体の余分な水分をとる薬として漢方薬(苓桂朮甘湯・りょうけいじゅつかんとう など)が用いられることもあります。

耳の病気の治療には、点耳薬を使用する場合がありますが、点耳薬の上手な使い方を紹介しましょう。


 点耳薬の正しい使用方法

1.手で点耳薬を人肌に温めます
  冷たい点耳薬を耳にさしてしまうと、めまいを起こす事があります。冷蔵庫などの冷所に保管している場合も使用前にしばらく手で握り、体温と同じぐらいに温めてから使いましょう。
2.耳たぶを軽くひっぱり、さします
  点耳薬をさす前に、あらかじめ綿棒や脱脂綿で耳の外側の汚れを取っておきましょう。耳がきれいになったら薬をさす耳を上にして、横向きになり、外耳道の入口が水平になるようにします。

耳たぶを軽く引っ張りながら、指示通りの滴数を耳の壁に沿うようにそっと流します。このとき、容器の先端が直接耳に触れないようにしましょう。

3.なじませ、しばらくその体勢で
  点耳薬をさしたあとは、耳たぶをまわすように軽く引っ張ってなじませてください。
こうすると奥まで薬が入ります。また、さしたあとはすぐに起き上がらず、10分くらいその体勢を保つようにしてください。これは「耳浴」(じよく)といって、薬の効果を高めます。
耳浴後、清潔なガーゼやティッシュペーパーなどを耳に当てて、外に流れ出たくすりをふきとってください。
◆点耳薬の保管法
  点耳薬は雑菌が繁殖しやすい薬ですので、ふたをしっかり閉めて保管しましょう。保存方法には室温保存と冷所保存のものがあります。冷やすと成分が沈殿するものもありますので、薬を受け取る際には薬剤師の指示を守ってください。
また、勝手に長期間連用すると薬の副作用の原因にもなります。使用回数やどれくらいの期間使用するのかは、必ず医師の指示に従ってください。

 ◆「耳」よりなお話

◇ 耳かき
「耳あか」とは、耳の入り口から1.5cmくらいのところまでにある耳垢腺(じこうせん)からの分泌物と、古くなった表皮・外から入ったほこりなどが混ざり合ったものです。黄色くてパサパサしたタイプ(乾性型)・茶色くてアメのようにネットリしているタイプ(湿性型)があり、遺伝の影響をうけます。

また、「耳あか」には外耳道を殺菌する力もあります。「耳あか」を取り過ぎたり、奥に入り込んだ「耳あか」を無理に取ろうとすると外耳道炎の原因になります。「取り過ぎ」には十分注意しましょう。容易に出てこない「耳あか」は病院で取ってもらいましょう。

◇ 耳の中に虫が入った時
虫が耳の中に入ってしまうと暴れて外耳道や鼓膜を傷つけることがあるので、注意が必要です。
耳の中で、もそもそ動いていたり、羽根の音がするくらいの小さそうな虫であれば、懐中電灯などを照らしてみるのも良いかも知れません。たばこの煙を吹きかけていぶり出したという報告もありますが、虫がパニックになることもあり、必ずしも、うまくいかないようです。

耳の病気をした事のない人であれば、横になって虫の入った方の耳を上にして、ベビーオイルや、きれいなオリーブオイルなどの食用油を静かに耳の中へ注ぎ込み、虫を殺してしまうのが良いでしょう。この時、耳を引っ張りながら少しづつ入れると奥まで入りやすくなります。ただし、耳に病気があったり、鼓膜に穴の開いている方にはお勧めできません。また、瞬間的に死ぬわけではないので虫によっては暴れることもあります。そのことも予想しておいてください。

虫が暴れなくなったら、無理に自分で取ろうとせず耳鼻科を受診しましょう。耳かき棒やピンセットなどで無理に取ろうとすると、耳の中に傷をつけてしまうこともあります。

また、いきなり殺虫剤を耳にふきかける人はいないと思いますが、虫を殺そうとして消毒薬などの薬品を耳に入れることは止めてください。虫のために鼓膜に穴があいてしまった場合、その穴を通して薬品が内耳まで入ってしまうと、治らない難聴をおこす場合があります。


◇ 耳抜き
鼓膜の内側には鼓室と呼ばれる場所があり、通常は鼓室内は外界の空気圧と同じ圧力に保たれ、鼓膜は内側にも外側にも偏らずにバランスをとっています。これは、鼓室内と鼻の奥を結んでいる耳管と呼ばれる管を通じて、圧のバランスをとっているのです。

山に登ったり、トンネルに入ったり飛行機に乗ったときに耳閉感が起きるのは、外気圧が急に変わり、耳管を通して鼓室内の圧力を外と同じに調節できないことによります。つばを飲み込んだり、あくびをするとそれが直るのは、こうした動作で耳管が開き、空気が鼻から中耳内に入ることで、中耳内と外界の空気圧が同じに保たれるからなのです。
通常は、つばを飲み込むだけで空気が通って治るのですが、治らない時は鼻をつまんで『んっ』といきむと治ります。この動作を「耳抜き」といいます。

耳管はふだん閉じていて、ものを飲み込んだりしゃべったりすると開いて空気の圧力(鼓膜内と外の)の調節を自然に行ってるため、日常は耳がつまる感じがしません。
スキューバダイビングでは、潜水のときに耳抜きがうまくいかないと強い痛みを感じ、鼓膜が破れてしまうこともあります。
精神的ストレス・かぜ・睡眠不足による体調不良も「耳抜き」が困難になる原因なので、ダイビングを行うときには体調を整えましょう。

◇ ピアス
ピアスの穴をあけた直後の穴は「傷」の状態です。穴の内側は皮膚で覆われておらず、むきだしのままです。4〜6週間くらいでピアス穴は完成します。(皮膚が完成するまでつけておくピアスをファーストピアスといいます。)
完成するまでの穴は「傷」の状態なので、清潔にしなければいけません。消毒はアルコールでは少し強いので、刺激の少ない消毒薬を使用するか洗うだけにしましょう。また、ピアス穴をあける時に安全ピンなどを使ってあけると、感染症の原因にもなるので、衛生的な医療機関で行いましょう。また、ピアスによるかぶれ・赤み・痛みなどが生じた時にも、ピアス穴をふさがずに治療できる場合もありますので、必ず受診するようにしましょう。

 まとめ

耳は、表面からは想像できないくらい、その内部では複雑でかつ神秘的な働きをしているのが、少しはお分かりいただけましたでしょうか。
また、耳の病気も今回取り上げました以外にも、様々な病気があります。大切なことは、何か耳に違和感があると感じた時は、自分でさわらず、すぐに耳鼻科を受診することです。ほっておくと、治りが悪くなることもあります。特に小さい子どもの場合は、自分では分かりにくいことが多いので、周りの大人が気づいてあげましょう。

アルバ薬局 大久保店 薬剤師   長 手 祐 子 



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