アルバ会社説明会




第37号   冷え症なんてもうこわくない!

2004/10/20

目次:
※ご覧になる項目を上の目次よりお選び下さい。



朝夕めっきり寒さを感じるようになり、「わたし冷え症だから」なんて言葉を聞く季節になりました。靴下をはいて寝ないと眠れないということも時々耳にします。みなさんはどうですか?
人間は本来、恒温(こうおん)動物なので、寒いところでも暑いところでも体温を一定に保てるはずです。
では、なぜ強い冷えを感じる人がいるのでしょうか?
今回は、この「冷え症」について調べてみましょう。

 冷え症度チェック

下の項目のうち当てはまるものが3つ以上ある人は冷え症の第一段階。
あなたは、いくつありますか。

普通の人が寒いと感じない気候や環境でも冷えを感じる。冬は、電気毛布・こたつは欠かせない。

家に中にいても手先や足先が冷たく、痛みさえ感じることがある。
平熱が低めである。

子供の頃から、しもやけになりやすかった。

おなかや背中・腰が冷える。
腰痛がある。

夏場、冷房をかけている部屋では寒いと感じることが多い。


 冷え症って?

西洋医学では「冷え症」という病名も定義もありませんが、一般的に手足や腰が冷えやすい状態を「冷え症」と呼んでいます。冷える部分にふれると冷たく感じますが、ふれて冷たくても本人が冷えを自覚しなければ、冷え症ではありません。
冷え症そのものは病気ではありませんが、放っておくと大きな病気を引き起こす原因になる場合や、隠れた病気がある場合がありますので、放置は禁物です。
 冷え症はなぜ起きる?

1.からだを温める熱の産生が少ない場合
私たち人間は食べたものを胃腸で消化吸収し、これをエネルギー源として熱を作り出しています。ダイエットにより食事の量が少なかったり、胃腸の働きが悪いため消化吸収がうまくいかないと、熱を作り出すことができず、冷えを感じるようになります。
また、体温の約4割は筋肉を動かすことで発生しており、筋肉も熱を作るのに大いに関係しているといえます。したがって、運動不足も冷えの原因の1つと考えられます。
また、体質的に冷え症の人がいますが、生活習慣の見直しや適切な治療により改善する場合があります。

2.熱をスムーズに体の隅々にまで運搬できない場合
1.貧血
貧血とは、血液中の赤血球を構成しているヘモグロビンが不足している状態です。(処方箋豆知識『第30号 貧血について』を参照 ) ヘモグロビンは、全身に酸素を運ぶ働きをしていますので、ヘモグロビンが不足すると体の隅々まで酸素を運ぶことができません。したがって、貧血になると体内で熱を産生するために必要な酸素不足になるために冷えを感じるようになります。
2.低血圧 血圧とは、心臓から送り出される血液の血管内の圧力のことです。心臓のポンプ力が弱いと血圧が低くなり、温かい血液を末梢の血管までスム−ズに送ることができません。
心臓から最も離れたところにある手足の先の血管は、血圧も低くなりやすいので、最初に冷えを感じやすい部分といえます。
3.動脈硬化
動脈硬化とは、血液中にコレステロールや中性脂肪が増えることによって生じる血管の狭窄(きょうさく・すぼまってせまいこと)〜閉塞(へいそく)した状態です。したがって、動脈硬化になると血液が流れにくくなるため、冷えを感じるようになります。

3.自律神経がうまく機能しない場合

自律神経には、体の臓器や器官の機能を促進させる交感神経と抑制させる副交感神経があり、それぞれがうまくバランスをとっています。たとえば、寒いときには交感神経が働き皮膚表面の血管を収縮させ体温の低下を防いでいます。逆に、暑いときには副交感神経がはたらき血管を拡張させ熱を放出して体温を下げます。 しかし、ストレスやホルモンバランスの乱れなどによって、自律神経がうまく働かなくなると、体温調節に支障をきたし冷えを感じる場合があります。

また、エアコンが普及したことで屋内外の温度差が激しくなり、自律神経は血管を収縮→拡張→収縮を一日のうちで何度も繰り返すことで疲れてしまい、寒いところでも血管が収縮しなくなり、冷えを感じるようになります。

 冷え症に伴う症状や病気

頭痛
慢性的な冷え症の人は、体表の血管を収縮して熱を発散させないようにすることで、体温を保とうとし、血管の収縮が頭痛を引き起こす原因となります。
腰痛・肩こり
冷え症の人は、血液循環が悪いため慢性的な腰痛・肩こりを引き起こすことがあります。
便秘・下痢 冷え症の人は、胃腸の働きも弱く慢性的な便秘や下痢を生じることがあります。
肌荒れ 冷え症は肌の新陳代謝も悪くするため肌荒れもまねきます。
不妊 慢性的な体の冷えは、子宮や卵巣の機能に影響を与え、不妊の原因になるといわれています。特に、下半身の冷えには注意が必要です。
膀胱炎
膀胱炎とは、膀胱の中に細菌が侵入し炎症を起こした状態です。健康な状態では、細菌が膀胱に侵入しても排尿のとき流れてしまいますが、冷えや過労により細菌に対する抵抗力が落ちると細菌に感染しやすくなり、膀胱炎を生じやすくなります。
その他 花粉症・アトピー性皮膚炎・喘息なども冷えが関係している場合があります。

たかが冷え、されど冷え。冷えを侮ってはいけません!

 冷え撃退法

◇体の中から

1.からだを温める食品を摂る
私達の周りにある食品には、からだを冷やすものと温めるものがあります。冷え症の人は積極的にからだを温める食品をとりましょう。
一般に、お刺身や生野菜(サラダ)などは、体を冷やすといわれています。冷え症の人は、生食をできるだけひかえ加熱食品をとるようにしましょう。

体を温める食品
羊肉・鶏肉・牛肉・エビ・サバ・サンマ・ブリ・生姜・大根・ニンニク・唐辛子・タマネギ・ごぼう・人参・かぼちゃ・ニラ・しそ・キャベツ・リンゴ・みそ・黒砂糖・玄米・ゴマ等
体を冷やす食品
カニ・タコ・トマト・セロリ・ナス・キュウリ・たけのこ・冬瓜・ほうれん草・モヤシ・メロン・バナナ・柿・スイカ・コンブ・ワカメ・ヒジキ・精白糖・はちみつ等

★特にお勧めしたい食品
ショウガ ショウガの有効成分のジンゲロン・ショウガオールなどの辛み成分が体を温め発汗を促し、新陳代謝を促進します。さらに、芳香成分のシネオールも発汗作用を促し体を温めます。
ニンニク
ニンニクには、アリインという無臭の成分が含まれています。ニンニクを切ったりすりおろしたりすると、ニンニクに含まれるアリナーゼという酵素と接触することにより強い臭いを発するアリシン成分に変化します。アリシンは、体を温め発汗を促す作用のほか、殺菌作用・利尿作用ももっています。また、アリシンはビタミンB1(体内のエネルギ−産生に関与する)と結合することでアリチアミンという物質に変化し、ビタミンB1単独で摂取するよりもビタミンB1の吸収率が飛躍的にアップします。
ブタ肉料理にニンニクを使うと効果バツグン!!
タマネギ タマネギのツーンとする成分もアリシンです。タマネギもニンニクと同様の効果を発揮します。
トウガラシ
トウガラシにはカプサイシンという辛み成分が含まれています。このカプサイシンは、体を温め発汗する・殺菌・健胃などの作用があることが、昔から知られています。最近では、カプサイシンが体内の脂肪代謝を亢進させる働きがあることが明らかになり、ダイエット食品としてブ−ムになりました。ご存じのように、このカプサイシンには、強い刺激作用がありますので、大量に摂取すると胃腸の粘膜に負担をかけることがあります。確かに、中国の四川省の人や韓国の人に痔疾が多いそうです。摂りすぎには注意をしてください。

1.サプリメントを摂る
冷え症の改善にはからだ全体の血液循環を改善するサプリメントも効果的です。
ビタミンE ビタミンEは自律神経に働きかけることで、血管の収縮を促す神経伝達物質の生成を抑え、毛細血管を拡張します。また、過酸化脂質の生成をも抑えるので、あわせて血行不良による冷えを改善します。
ビタミンB1 細胞が活動するためにはエネルギーが必要です。エネルギー源には炭水化物や脂肪が主に利用され、これら栄養素がエネルギー代謝と呼ばれる過程を経てエネルギーが生産されます。エネルギー代謝として代表的なのがTCA回路です。TCA回路が回転することでエネルギーが作られるのですが、この回転の過程でビタミンB1を必要とする箇所があります。したがって、B1を摂取することで効率よくエネルギーを産生することができます。
ナイアシン ナイアシン(ビタミンB3・ニコチン酸アミド)は、血管、特に末梢の血管を拡張することにより血行を改善します。
コエンザイムQ10 今最も注目されているサプリメントの一つでしょう。別名ビタミンQ、ユビキノン(「ユビキタス=至る所に存在する」から付けられたもので、あらゆる細胞に存在していることを表しています)とも言われる成分。臓器や筋肉を動かすエネルギーのもとになる物質(ATP)を作るとき必要になるのが、このコエンザイムQです。よってこのコエンザイムQが不足するとエネルギー不足になり、冷えを感じるようになります。コエンザイムQ10を摂取することは冷えを改善するのに効果的です。

◇体の外から

■冷えをよせつけない服装のポイント
体を締め付け過ぎる下着やジーパン、靴下の重ね着などはかえって血行を悪くします。適度なゆとりのあるものを着ましょう。保温するためには手袋やマフラー、タイツやレッグウオーマーはお勧めです。5本指の靴下もお勧めで、指と指の間に隙間ができるので、足の指の機能を鍛えることができます。また、はき続けることで血液の循環をよくする効果を得ることができます。また、素足やおへそを見せるようなジーンズなど肌を露出する服装は避けましょう。
ハイヒ−ルなどの高いかかとのくつをはくことは、いつも体を緊張状態に置いていることになり、末梢の血液循環を悪くします。あまりかかとの高い靴は避けましょう。

■お風呂の効果
入浴の最大の効果は温熱効果です。38〜40℃のぬるめのお湯につかることで、体が芯から温められ、血液とリンパ液の循環がよくなります。同時に、お湯が体に与える圧力によってもたらされる静水圧効果によって血管やリンパ管が収縮と拡張を繰り返し、血液とリンパ液の循環がよくなります。また、入浴することでリラックスすることができ、バランスを失いがちな自律神経を整えることもできます。浴槽に体を温める効果のあるエッセンシャルオイルや市販の入浴剤を入れることでより効果的に入浴することもできます。

◇冷え症にお勧めのエッセンシャルオイル
イランイラン、カモミール、グレープフルーツ、クラリセージ、シダーウッド、ジュニパー、マジョラム、レモングラスなど

■自宅でできる簡単な運動
〔階段歩き〕
効果 その名の通り階段を上り下りする運動です。階段歩きは有酸素運動であるとともに筋力トレーニングにもなります。心肺機能を強くするとともに筋肉を鍛える効果があります。階段歩きをすると、筋肉の収縮と伸長が効率よく行われ、血管が柔軟になり、血行を促進するため冷え症には効果的です。
方法 1日1回、週に3〜4回程度おこなう。

〔かかとの上げ下げ〕
効果 かかとの上げ下げを行うと、アキレス腱が大きく伸縮し、同時にふくらはぎの筋肉や太股の筋肉も大きく伸縮するため、脚全体の筋力が鍛えられます。さらに、ふくらはぎの筋肉が伸縮すると、脚の静脈に滞りがちな血液を心臓にスムーズに戻すことができ血行が促進されます。
方法
1. かかとをゆっくり上げて10〜20秒静止する。
2. ゆっくりかかとを下ろして(床には着けない)10〜20秒静止する。
以上を1日3回3セットずつ行います。

■ツボ刺激
ツボ刺激の仕方
押さえる強さは少し刺激のある程度が適当。
病気で熱があるときには行わない。

 冷え症に効く漢方薬

最後に、冷え症に効く漢方薬をご紹介します。上記しましたように、西洋医学では「冷え症」は病気ではなく、それ自体を治療する薬も特にあるわけではありません。しかし、漢方医学においては、れっきとした病気で、代表的な病態に陽虚(ようきょ)というものがあります。同時に、冷えそのものが様々な病気の原因と考え、冷えを改善することが病気の根本治療に結びつくという考え方があります。また、生薬(漢方処方に用いる薬物)自体には、体を温める作用のあるものが沢山あります。今回は、最もよく見られる病態についてのみ、その症状と処方を簡単にまとめてご紹介します。

◇先天的虚弱・慢性病・老人によく見られるタイプ

症 状 一般に腰から下が冷えることが多く、元気がない・寒がる・暖かいところを好む・直ぐにうとうとして横になりたがる・腰や足がだるく力が入らない・夜間よく排尿に起きるなどが見られる。(心腎陽虚・しんじんようきょ)
代表処方 右帰丸(うきがん)・四逆湯(しぎゃくとう)

症 状
胃腸の消化吸収機能が弱く、エネルギ−の供給源が不足するために、産生される熱量が少なく、血行も弱くなった状態。一般に腹部や手足が冷え、元気がなく疲れやすい・食欲がない・食べても味がない・消化が悪く腹にもたれる・腹がシクシク痛む・吐きけ・下痢をしやすく不消化物が混じる・つばやよだれが湧く・顔色が悪いなどの症状が見られる。(脾胃陽虚・ひいようきょ)
代表処方 人参湯(にんじんとう)・附子理中湯(ぶしりちゅうとう)・桂枝人参湯(けいしにんじんとう)・呉茱萸湯(ごしゅゆとう)

◇青壮年に多く見られるタイプ

症 状
手足の先・下肢の内側・陰部・両側の下腹部の冷え、顔色につやがない・皮膚のきめが粗い・爪がもろい・筋肉のひきつりなどの症状が見られる。特に、女性によく見られ月経痛・月経周期の遅延が見られる。(血虚受寒・けっきょじゅかん)
代表処方 当帰四逆湯(とうきしぎゃくとう)・当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)・温経湯(うんけいとう)・五積散(ごしゃくさん)

症 状
主に手足の冷え、寒冷の時期や環境においてのみ冷えたり、期間が短かったり間歇的な場合が多く、ゆううつ・緊張感・いらいら・ヒステリックな反応・胸や腹が張って苦しい・げっぷ・吐きけなどを伴う。(肝鬱気滞・かんうつきたい)
代表処方 四逆散(しぎゃくさん)・柴胡疏肝散(さいこそかんさん)・逍遙散(しょうようさん)・加味逍遙散(かみしょうようさん)

 まとめ

冷えの原因を最初に述べましたが、居住環境が原因だったり、ストレスだったりとまさに冷え症は現代病だといえるかもしれません。冷え症イコール低体温とはいえませんが、冷え症の人は低体温であることが多いようです。人の体温は36.5℃〜37℃の範囲に保たれており、平熱より5℃高い41.5℃でもすぐ死ぬことはありませんが、5℃低い31.5℃では生きていくことができません。それほど人間の体は体温の低下に弱いようです。冷えにより様々な病気が引き起こされる可能性があることを考えるならば「冷えは万病の元??」といえるかもしません。今回の資料を参考にこの冬を暖かく乗り切って下されば、と思っております。


朝陽薬局 甲東園店   薬剤師 増田 和美 



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