アルバ会社説明会


第39号   子宮内膜症の話

2004/12/22

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最近、『子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)』という言葉をよく耳にします。

生理痛がひどくて痛み止めが手放せない。
年々生理痛がひどくなってきて市販の痛み止めでは効かなくなってきた。
腹痛・腰痛だけではなく肛門や膣の奥の痛み、悪心・嘔吐もある。
生理中以外でも腹痛や腰痛がひどい。

このような症状に心当たりはありませんか?
女性に特有の病気で、最近では10代の若い女性にも増えているといわれています。
つらい痛み、治療しても再発を繰り返すなど女性を悩ますやっかいな病気です。
そこで、今回の処方せん豆知識は、子宮内膜症について調べてみました。

 子宮内膜症とは

子宮内膜は、子宮の内側をおおっている粘膜のことで、受精した卵が着床(妊娠)する場所です。月経から排卵にかけてこの粘膜は厚くなり、もともと厚さ1〜2mm程の薄い膜が10mm以上のやわらかい膜に成長し、受精卵を迎える準備をします。その後、着床しなければ(妊娠しなければ)内膜ははがれ落ち月経血となり、体外に排出されます。これが月経です。

元来、子宮内膜は子宮の内側だけに存在するものですが、何らかの原因により子宮内膜によく似た組織が、子宮の内面以外に発生し増殖して、月経のたびに出血を繰り返す病気が『子宮内膜症』です。一般に、卵巣・子宮の表面・ダグラス窩(か)と呼ばれる子宮と直腸の間の腹膜などに発生することが多いのですが、小腸・大腸・尿管・膀胱・膣・手術創・肺やへそに発生することもあります。子宮内膜症の病変部位も月経のたびに出血を繰り返しますが、月経のように体外に排出できないので、その場に溜まり炎症をくり返し腫れ・痛みを引き起こします。この状態はお腹の中に傷ができたようなもので、この傷を治そうとする体の働き(免疫系)により、病変部分をおおうような膜が発生し、周辺組織と癒着を起こすことがあります。
 

また、子宮内膜症が子宮体部の筋肉の間に発生し出血を繰り返して、子宮全体が腫れる子宮筋腺症(しきゅうきんせんしょう)という子宮内膜症の仲間もあります。

現在、日本国内で子宮内膜症の受診患者は年間12万人にものぼると推計されており、月経のある20代から40代の女性の約10%が子宮内膜症をもっているともいわれています。また、最近では若い女性に増えており10代でも発症します。一度発症すると、そのほとんどが再発を繰り返し閉経まで完治しないため、気長にうまく付き合っていかなければならない病気です。


 症状

◇痛み
最大の症状は月経時の強い痛みで、患者の約9割がひどい月経痛を訴えています。また、月経時以外でも約7割の人が下腹部痛や腰痛を感じています。28日の月経サイクルの中でほぼ毎日痛みを感じる人は1割弱・2週間以上は約3割・1週間以上は7割にものぼります。この他、性交痛や排便痛も子宮内膜症の特徴的な症状といえるでしょう。

◇不妊症
因果関係ははっきりしていませんが、不妊症との関係も指摘されています。子宮内膜症の女性の約半数が不妊症で、不妊症の女性の約半数が子宮内膜症を発症していると推定されています。しかし、内膜症の程度が重いからといって不妊症であるとはいえないようです。

◇その他
月経時にレバー状の塊が出る・月経血が異常に多い・不正出血・腹部膨満感・下痢・便秘・頭痛・肩こり・吐き気・嘔吐・頻尿・疲労感・全身倦怠感など症状は様々で、またその程度も人によって大きな差があるようです。
病変の程度が重症でも自覚症状のない場合があったり、また軽度でも耐え難い痛みを感じたりといったように、症状の程度と病変とは必ずしも比例していません。

〈子宮内膜症協会調べ〉


 原因

はっきりとした原因は明らかになっていませんが、月経血が卵管を逆流し卵巣や腹部臓器に達して、そこで子宮内膜細胞が増殖するのではないかと考えられています。リンパ系や循環系によって遠く離れた肺や気管支に子宮内膜細胞が運ばれる可能性もあります。

その他、遺伝的要素やダイオキシンなどの環境ホルモンが影響しているともいわれています。

また、最近ではアレルギー反応の関与が疑われており、逆流した月経血がアレルギーを起こすのではないかと考えられています。内膜症組織では、アレルギー反応に関わる肥満細胞(マストセル)が患者でない人より異常に多いというデータもあります。本来、ロイコトリエン拮抗薬は、気管支喘息や花粉症などのアレルギーに使用される薬ですが、ロイコトリエン拮抗薬を使用した患者に、月経痛が軽減した・月経血の量が正常化したなどの症状改善や手術の際、癒着部分がはがれやすかったとの報告があります。これは、ロイコトリエン拮抗薬によって、アレルギ−反応により増加した肥満細胞を抑制した結果ではないかと考えられています。

ロイコトリエン拮抗薬は、ホルモン療法に比べ副作用が少なく安全性は高いとされていますが、まだ始まったばかりの治療法で、本当に有効かどうかは調査を進めていく必要があります。

なお、この方法は未だ保険適応にはなっていません。

近年、子宮内膜症が増加したその他の原因としては、患者の関心が高まってきたことや診断技術が進歩したことにより、受診率・発見率が上がったことが考えられます。また、女性の晩婚化や少子化・初経年齢の低下により、女性の生涯における月経回数が相対的に増加していることがあげられています。

 診断

子宮内膜症の診断には、臨床診断(りんしょうしんだん)と確定診断(かくていしんだん)があります。子宮内膜症は診断の難しい病気といわれており、確定診断をするためには、腹腔内を直接見る腹腔鏡検査などの検査を受けることになりますが、実際には問診や内診・超音波検査などいくつかの検査により診断をする臨床診断によって、子宮内膜症であろうと推定して治療を始めることになります。

臨床診断

◇ 問診
症状を尋ねます。できるだけ詳しく答えられるように月経状況や月経に伴う症状、いつからどんな痛みがあるのか、他にどんな症状があるかなど、あらかじめ整理しておくとよいでしょう。
◇ 内診
膣からの触診で子宮の大きさや状態を確認します。
◇ 腸診
直腸からの触診で子宮後部の病巣や卵巣の腫れを確認します。
◇ 超音波検査(エコー)
おなかの上から触る方法と膣に棒状の器具を差し込む方法とがあります。骨盤内の様子や臓器 形・大きさをみることができ、子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)・子宮腺筋症・卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)を画像で確認できます。
◇ 血液検査
腫瘍マーカーCA_125を測定します。
ただし、CA_125は内膜症のほかに卵巣ガンや月経時にも上昇することがありますので、これだけでは判断できません。治療の前後で病巣の程度や治療効果をみるために値そのものより、数値の変化をみるための検査です。

確定診断

◇ MRI(核磁気共鳴画像断層撮影)、CT(放射線コンピューター断層撮影)
さらに詳しい画像で子宮と卵巣など周辺臓器の位置関係、子宮内膜症の血液貯留の様子を確認できます。
◇ 腹腔鏡検査
全身麻酔で下腹部に0.5〜1cm程の穴を開けそこから腹腔鏡を入れてお腹の中を見ます。肉眼で病巣の存在を確認できるため初期の病巣を発見したり、病巣を詳しく観察したりできます。また、同時に病巣を取り除くこともできるため、治療法のひとつであるともいえます。

これらの検査は婦人科、産婦人科のどちらでも受けることができます。
また、場合によってはここにあげた以外の検査がおこなわれる場合があります。
 治療

治療法には、薬物療法と手術療法があります。

薬物療法

◇ 対症療法
鎮痛剤や抗うつ剤・抗不安剤・神経ブロックなどで痛みや精神的な症状を抑えます。
◇ ホルモン療法
卵巣の機能を抑えることにより、子宮内膜組織の成長と活動を阻害できます。また、月経の停止や妊娠をすると子宮内膜症の症状が改善することから、ホルモンのバランスを調節してこれらと同じ状態をつくる方法です。
〔偽閉経療法〕
ダナゾール
  男性ホルモンに似た働きをするステロイドホルモンで女性ホルモン(エストロゲン)の分泌を抑制する作用があり、月経・排卵が止まり閉経状態をつくる方法です。錠剤またはカプセル剤の内服で、使用期間は4ヶ月をめどに服用します。
副作用としては、体重の増加・にきび・むくみ・男性型多毛・声の低音化・血栓ができやすくなるなどの報告があります。
GnRHアゴニスト
  卵巣からの女性ホルモンの分泌を止めて閉経状態をつくります。
1日に2〜3回鼻の粘膜にスプレ−する点鼻薬と注射薬があり、使用期間は6ヶ月間。
副作用としては、更年期様症状があらわれます。
〔偽妊娠療法〕
低容量ピル
  女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の合剤で体内のホルモンの状態を妊娠中と同じようにします。
副作用が少ないことが特徴で、最初に吐きけや頭痛が起こるといわれていますが、慣れればほとんどの場合おさまります。また、乳房が張ってくることもあります。錠剤の内服で長期間服用することができます。
◇ 漢方療法
子宮内膜症の主症状である月経痛やその他の症状なども適切な漢方薬を服用することにより、かなり軽減されるといわれています。ただし、体質や症状にあっていない場合は、無効なこともありますので、専門医を受診するようにしましょう。

手術療法

◇ 保存手術
卵巣と子宮を残し、病巣のみを取り除く方法です。最近ではリスクの少ない腹腔鏡下で行われることが多いようですが、開腹手術が行われることもあります。
約3割は再発するといわれていますが、妊娠を望む場合に行われる方法です。
◇ 準根治手術
子宮のみを摘出し、正常な卵巣を可能な限り残す方法です。保存手術ほどではありませんが、内膜症の再発は100%否定することはできません。
◇ 根治手術
子宮と卵巣を全摘出します。出産を望まず、薬物療法が無効な重症例が対象となります。
再発はありませんが、更年期障害のような症状が現れることがあります。


 まとめ

患者の年齢・症状・疾患の程度、また妊娠を望むかどうかにより治療方法は向き不向きがあり、大きく異なってきます。
また、薬物治療では完治は不可能で、治療をやめるとほとんどが再発を繰り返します。つまり、閉経まで長く付き合っていかなければならない病気であると理解しておくことが大切です。
基本的に命にかかわることはありませんので、それぞれのライフスタイルに合わせた治療法を見つけることが最も大切なことではないでしょうか。
子宮内膜症の諸症状を上手くコントロ−ルしながらつきあっていくことが一番の治療だと考えます。


朝陽薬局 神戸店   薬剤師 上垣 祥子 


 ごあいさつ

株式会社 アルバ
代表取締役
横田 裕昭
今年もあとわずかとなり、ようやく冬らしい寒さとなってまいりました。
今年は、新潟県中越地震や台風が猛威を振るい各地で大きな被害がありました。被災地の皆様には、心よりお見舞い申し上げます。来年こそは、「災い転じて福となす」となるよう願っております。
さて、処方せん豆知識も気が付けば39号をむかえました。少しでも皆様のお役にたてるようにとホ−ムペ−ジを作成しておりますが、ご希望のテ−マ等がございましたら、お聞かせいただければ幸いです。その他のご要望もお待ちいたしておりますので、お気軽に E-mailをお送りください。

アルバ薬局グル−プでは、来年も4〜5店舗の新規出店を予定しております。皆様とホ−ムペ−ジ上だけではなく、直接お会いする機会が広がることを楽しみにいたしております。また、アルバ薬局グル−プの各薬局では、アルバオリジナルのロ−ズヒップ関連商品・サプリメント・黒豆関連商品等の販売もおこなっておりますので、処方せんをお持ちでない方もどうぞお気軽にお立ち寄りください。なお、新規出店にともない薬剤師の大幅な増員を予定しておりますので、薬剤師および薬学生の皆様、お気軽にお問い合わせの上、店舗見学にお越しください。
今後とも、地域の皆様に信頼され愛される薬局をめざし、スタッフ一同努力してまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
時節柄くれぐれもお体ご自愛の上、良い年をお迎えください。



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