アルバ会社説明会


第41号 腎 臓 の 話

2005/2/24

目次:
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近年、日本人の腎臓寿命が短くなっているといわれています。重度の腎臓病患者数の推移も増加の一途をたどっています。また、人工透析患者数は20万人を超え、この1年で新たに透析を開始した患者は約3万人、死亡した患者は約2万人となっています。今回は弱りつつある腎臓の働きや腎臓病について簡単に紹介していきます。

 腎臓ってどんな臓器?

○数 左右一つずつ
○かたち そら豆のようなかたち
○大きさ 平均で縦12cm 横6cm 厚さ3cm
(大人の握りこぶしよりやや小さめ)
○重さ 120g〜150gぐらい
○場所 胃の裏側あたり。
右の腎臓は肝臓の下、左の腎臓は脾臓の下

左右の腎臓それぞれに血管がつながっており、たえずたくさんの血液が心臓から送り込まれてきます。1日約1.5トンの血液を処理しています。2つの腎臓は同じ働きをしており、手術等で片方を失っても基本的に支障はありません。


 腎臓のはたらきは?

○血液中の水分や塩分のバランスを一定に保つ
生命の維持に不可欠な電解質(ナトリウム・カリウム・カルシウム・リン・マグネシウム)を調節する
○ホルモンを分泌し、赤血球を増やす
○ビタミンDを活性化し、骨を丈夫にする
○血圧を適切にコントロールする
○血液中の老廃物を濾過(ろか)し、尿に排泄する

 どのように血液は浄化されるの?

一つの腎臓には、約100万ものネフロンと呼ばれる小さなかたまりがあります。このネフロンは、1本の尿細管と1個の糸球体(細い血管の集まり)からなり、ここで血液が濾過されています。
腎臓内に入ってきた血液は、まず糸球体で濾過されます。この時に体に必要な血液成分や、体のエネルギー源であるたんぱく質は濾過されず、そのまま血液に戻ります。そして、筋肉を動かす時に使ったたんぱく質の燃えかすなどの老廃物・塩分・糖分・水分などは濾過されます。この濾過された濾液を原尿(げんにょう)といいます。原尿は、尿細管でもう一度濾過され、体に必要な塩分・水分・ミネラル分・糖分などを体内に戻し(再吸収)、不必要な塩分・水分・老廃物などは膀胱に送られ尿となります。


ところが現代人の腎臓は、塩分過多の食生活によって酷使され続け、その働きが十分に行われなくなっているといわれています。さらに、「腎臓は沈黙の臓器」といわれて、症状が非常に出にくく、だるい・食欲がないなどの症状が続き病院にかかったときにはすでに「慢性腎不全」であることもあります。慢性腎不全末期になると人工透析にたよらなければ体内の調節ができなくなってしまいます。また、腎臓は一度悪化すると回復が難しい臓器ともいわれています。

 腎臓の病気は?

腎臓病の中でよく耳にするものに、腎炎・ネフローゼ・糖尿病性腎症・腎不全などがあります。その他、あまり耳にしませんが、腎盂腎炎(じんうじんえん)などの病気もあります。それぞれについて、簡単に説明していきます。

腎炎は急性腎炎と慢性腎炎があり、たんぱく尿や血尿とそれに伴う症状が1年以内のものを急性腎炎、1年以上のものを慢性腎炎といいます。



◆急性腎炎
特徴
「溶血性連鎖球菌−ようけつせいれんさきゅうきん(溶連菌)」の感染が最も多く、風邪や扁桃腺や咽頭炎などに引き続いて腎臓の糸球体に炎症が起こる病気です。4〜6歳の小児が最もかかりやすく、次に思春期・青年期・老年期の順になります。女性よりも男性のほうがかかりやすい傾向があります。
主な症状 血尿・たんぱく尿・むくみ・血圧上昇
治療法
病気の初期は安静にして、保温にも十分注意します。そうすることにより、腎機能が回復し、血圧・たんぱく尿・血尿も改善されてきます。むくみがひどいときは利尿剤を、血圧が高いときは降圧剤を、感染が持続しているときは抗生剤を服用することがあります。


◆慢性腎炎
特徴 急性腎炎がなかなか治らないで慢性化してしまうタイプと、すでに慢性化しているタイプがあります。後者のタイプが圧倒的に多くみられます。慢性腎炎のなかで最も多いのが、IgA腎症です。これは、糸球体に血液のたんぱく質の一種であるIgA(免疫グロブリンA)が沈着して起こる腎炎です。
主な症状
たんぱく尿や血尿が主な症状ですが、尿を見ても肉眼ではわかりにくいことが多く、腎炎にかかっていることに気付かず、尿検査で見つかる場合がほとんどです。その他の症状としては、まぶたのむくみ・動悸・手足のしびれ・目がチカチカする・吐き気・嘔吐などが見られる場合があります。
治療法
急性腎炎と同じく安静と保温が大切です。食事療法として、たんぱく質や塩分を制限することもあります。たんぱく尿や血尿には、抗血小板薬や降圧剤としてもよく使われているACE阻害剤・AT?U(アンギオテンシン?U)拮抗薬(どちらも腎臓を保護する作用があります)などを服用することがあります。


◆ネフローゼ症候群
特徴 腎臓の糸球体が壊れて、1日3.5g以上のたんぱく尿があるものをネフローゼ症候群といいます。原因は、腎炎からおこるものや糖尿病・膠原病などからおこるものなどさまざまです。
主な症状 たんぱく尿・むくみ・低たんぱく血症・高脂血症など
治療法
腎炎と同じく、安静と保温の他に、たんぱく質の制限・減塩などの食事療法が一般的に行われます。
薬物治療では、まずステロイドホルモン剤を服用し、症状がよくなるにつれて量を減らしていきます。ステロイドの副作用として、顔が赤くなる・毛深くなる・血圧が高くなるなどの症状があります。このような副作用は個人差があり、ステロイドの服用をやめると回復します。むくみがあるときは利尿剤、コレステロールが高いときには抗コレステロール剤、血圧が高いときは降圧剤を服用します。また、免疫抑制剤を使用することもあります。


◆糖尿病性腎症
特徴 糖尿病の3大合併症は「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」「糖尿病性神経症」です。(処方せん豆知識題19号「糖尿病」参照)糖尿病は全身の最小血管に障害がおこります。これが腎臓の糸球体に起こったのが糖尿病性腎症です。通常は、糖尿病になって10年以上経過すると「糖尿病性腎症」が出てくるといわれています。
主な症状 むくみ・高血圧・高コレステロールなど
治療法 まず血糖値をコントロールし、糖尿病の食事制限をしながら、塩分・たんぱく質の制限を行います。


◆腎不全
特徴 それまで正常に機能していた腎臓が、何らかの原因で急にその働きを停止した状態で、その働きが正常の30%以下の状態を腎不全といいます。急に働きを停止した状態を急性腎不全・腎臓の病気が慢性化し、末期になると腎臓が萎縮して起こってくるものを慢性腎不全といいます。
主な症状
急性腎不全では1日の尿量が急に減り、慢性腎不全では少しずつ尿量が減ってきます。その他に食欲不振・吐き気・頭痛・不安感などがあらわれ、血液中の尿素窒素・クレアチニン・カリウム・ナトリウムなどが増えます。
治療法 急性腎不全では点滴で水分を調節し、血中のカリウムが下がり過ぎないようにします。慢性腎不全では、たんぱく質の制限や塩分制限と運動制限が主になります。また、末期の慢性腎不全では、透析や腎移植がおこなわれます。


◆腎盂腎炎(じんうじんえん)

特徴 女性がよくかかる病気の一つです。腎臓全体に細菌が感染し、炎症を起こした状態をいいます。腎盂腎炎は急性段階で正しい手当てをすれば比較的簡単に治りますが、放置すると、場合によっては慢性状態になることがあります。女性は月経や妊娠時に悪化しやすいので、注意が必要です。
主な症状
急性と慢性で異なります。急性の場合は、急にふるえをともなう高い熱が出て、腰痛・食欲不振・吐き気などがあります。時に、尿の回数が増えたり、排尿痛などの膀胱炎の症状を伴います。慢性の場合は、症状も一定せず、全身倦怠感や腰痛・食欲不振・頭痛などがあります。微熱が続くこともあり、かぜと間違えられることもよくあります。
治療法 急性では、安静にし細菌に有効な抗生物質を服用します。慢性では、病気を治すことよりも、進行をとめることが主な治療になります。急性症状がみられれば抗生物質を服用します。
 腎臓病にならないためには?

腎臓病は自覚症状がほとんどないため、定期検診を受けることはとても大切です。早期発見・早期治療で病気の進行を遅らせることができます。早期発見するポイントは「むくみ」です。特に、顔や足のむくみは腎臓からのSOS信号です。

むくみの原因は、塩分の摂りすぎが一番に考えられます。現代人は、塩分摂取量が過剰気味で、適塩は1日10gといわれていますが、全国平均で見ても13.2gとなっています。塩分の摂りすぎの原因は、気づかぬうちにたくさん摂ってしまっているということのようです。塩分が多い食品の第1位は『カップめん』で、約7g含まれているといわれています。

しかし、「カリウム」を含む食品を適当に摂ることによって、余分な塩分は体外に排泄されます。カリウムは、糸球体内で塩分と結びつき、余分な塩分を尿として排泄しやすくする働きがあります。カリウムを多く含む食品には、小豆・インゲン豆・さつまいも・ナッツ類・海草類・干しシイタケ・バナナなどがあります。(処方せん豆知識第38号「栄養素と健康」参照

カリウムは水溶性のミネラルですので、さらし過ぎやゆで過ぎなど調理方法に気をつけましょう。腎臓が正常に働いていれば、余分なカリウムは尿として体外に排泄されますので、摂り過ぎに注意する必要はありません。
しかし、尿の出が悪くむくみがある人や、腎臓病と診断された方は、余分なカリウムが排泄されにくいことがあり、カリウムの摂取を制限されることがあります。
腎臓病と診断された方は、必ず医師の指示に従うようにして下さい。

☆ 腎臓破壊度チェック!☆

ここで、腎臓の破壊度をチェックしてみましょう。4つ以上は赤信号です。

1. 無理をしていないのになんとなくだるい
2. 朝起きたときに顔や足のむくみがある
3. 背中の奥が痛い
4. 排尿後、尿の泡立ちがしばらく残っている
5. 夜中に何度もトイレに行く
6. 頭痛やめまいを感じることが多くなった
7. 残尿感がある

少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関で受診し、検査してもらいましょう。何度もいいますが、腎臓は、悪くなると治りにくい臓器です。

 腎臓の検査は?

尿検査と血液検査があります。
尿検査では、尿中のたんぱく量・赤血球・白血球・細菌の有無を調べます。
血液検査では、血中のクレアチニン・尿素窒素(BUN)・尿酸(UA)を調べます。このクレアチニン・尿素窒素・尿酸はともに老廃物で、腎臓の働きが悪くなると尿中に排泄されにくく、血液中の値が高くなります。
また、尿酸は水に溶けにくい性質があり、血管の内部に付着し動脈硬化を引き起こしたり、毛細血管からしみ出して、関節にたまると、激痛をともなう痛風を引き起こし、さらに腎臓や尿管内で固まってしまうと、結石の原因にもなります。

 まとめ

腎臓病と診断されてもむやみに恐れることはありません。定期的に検査を受け、原因となる疾患がある場合は早期に発見し、進行しないように、早期の管理治療を行うことが大切です。

腎臓病の治療の基本

1.安静・保温 腎機能を回復させます。腰回りを冷やさないように注意しましょう。
2.食事療法 進行を食い止める上でとても重要です。特にたんぱく質と塩分を控えめにして、バランスのよい食事をすることが大切ですが、医師などの指示に従いましょう。
3.薬物療法 腎炎そのものを根本的に治す特効薬はありません。合併症(むくみ・高血圧・高コレステロールなど)に対して使用されます。
4. 日常生活のコントロール
腎臓病を引き起こす糖尿病や高血圧は、原疾患を治療していくことが重要です。

食事・薬物療法は、個人の体質や病状の程度によって違いますので、必ず主治医の指示に従って下さい。

腎臓の働きと腎臓病について簡単にお話してきましたが、理解していただけたでしょうか。現代人の腎臓は高塩分の食事、不規則な生活、成人病などによって、少しずつ弱ってきています。これを機に、食事や生活を見直して、健康な腎臓を保っていただきたいと思います。


アルバ薬局 大久保店 管理薬剤師  山根 久美子 



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