第43号 慢 性 頭 痛
2005/4/27
目次:
◆緊張型頭痛
◆片 頭 痛
◆片頭痛薬=トリプタン系薬剤=について
◆片頭痛と飲食物
◆群発頭痛
◆まとめ
※ご覧になる項目を上の目次よりお選び下さい。
今回の処方せん豆知識は、4人に1人が悩まされているという「慢性頭痛」についてお話します。
当薬局の近隣に脳神経外科があり、「頭痛」で脳神経外科を受診される患者様がたくさんいらっしゃいます。当薬局にも「頭痛」で受診され、処方せんを持ってこられる患者様が多いため、このテーマを選びました。
頭痛は、だれでも日常経験したことがある頭の症状です。では、「慢性頭痛」とは、一体どのような頭痛のことをいうのでしょうか?
頭痛と一口に言っても、風邪や二日酔いによる頭痛のような「日常的な頭痛」、くも膜下出血・脳腫瘍など「重大な原因疾患がもとで起こる頭痛」そして「基礎疾患が無く痛みが続く頭痛」があります。今回ご紹介する「慢性頭痛」は、“基礎疾患が無く痛みが続く頭痛”のことをいいます。
「慢性頭痛」を大きく分けると、「緊張型頭痛(きんちょうがたずつう)」「片頭痛(へんずつう)」「群発頭痛(ぐんぱつずつう)」の3つにわけられます。また、片頭痛と群発頭痛が混在した「混合型」の場合もあります。
上記の3つの慢性頭痛の中では、「緊張型頭痛」が最も多く、次いで多いのが「片頭痛」です。「群発頭痛」は1万人に1人いるかいないかという程度で、余り多くはありません。
一般に、頭痛持ちは圧倒的に女性に多く、「緊張型頭痛」では男性の約1.5倍、「片頭痛」は年代にもよりますが、男性の4倍くらいあるといわれています。しかし、「群発頭痛」は圧倒的に男性に多く、女性の約5倍あるといわれています。
それでは、それぞれの頭痛について、詳しく述べていくことにします。
緊張型頭痛
◆特徴◆
先程もご紹介しましたように、慢性頭痛の中で一番多いのが、このタイプです。
頭を締めつけられるような痛みがあり、だらだらと長く痛みが続き、首筋や肩の“こり”を伴う場合が多いのもこの頭痛の特徴です。
パソコンを長時間使用する人やデスクワークの人に多くみられます。
◆原因◆
パソコンを長時間使用したり、デスクワークなどで、ずっと同じ姿勢で過ごした時に、頭が痛くなることがありますが、これは多くの場合“こり”によって起こるとされています。
後頭部から首筋・肩の筋肉が緊張することで、“こり”は起こります。
心身や精神的ストレスもまた筋肉の緊張を高め、“こり”を起こす原因になります。
◆予防と治療◆
筋肉の緊張をとり、“こり”をほぐすことが一番の予防であり治療法といえます。
〈こりをほぐす方法〉
◇ ストレスをためない
・心身・精神的ストレスにより、筋肉の緊張は高まります。
・ストレスをためないように、ストレス解消を心がけましょう。
◇ 血行改善
・
血行を良くするには、温めると効果的です。温めたタオルを、「こる」部分に当てる。お風呂にゆっくりつかる。マッサージをするなどの方法を試してみましょう。
◇目が疲れないようにする
・
目の疲れが、頭痛の原因となっていることも多いようです。目の疲れを感じたら、目を休ませることも必要です。長時間、パソコンを使用したり、テレビを見る場合などは、特に目が疲れやすくなりますので、注意しましょう。
◇ 薬物療法
・鎮痛剤(市販の鎮痛剤でも一定の効果はある)
・筋弛緩剤(筋肉の緊張状態をやわらげる)
・精神安定剤(ストレスや心身の疲れをやわらげる)
片 頭 痛
◆特徴◆
一般に20〜50台の女性に多く見られます。多くは、左右どちらかのこめかみが痛みますが、両側が痛むこともあります。ズキンズキンとした脈を打つような痛みで、頭や体を動かすことで痛みが増します。発作的に起こり、日常生活に支障をきたすほどの痛みがあることも多く、数時間〜数日続きます。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
また、遺伝的要素があるともいわれています。
◆原因◆
頭部の血管が拡がって、炎症を起こすことで痛みが起こります。誘発要因には、ストレス・女性ホルモン(エストロゲン)の乱れ・睡眠状態(寝すぎ・寝不足)・音・光・におい・人込み・アルコール・空腹・気温の変化など様々な原因があります。
◆予防と治療◆
片頭痛を誘発している因子を取り除いたり、改善することが必要です。また、起こってしまったときにどのように対処すればいいのかを自分なりに知っておくことも大切です。
◇ストレスをためない
誘発因子のほとんどが、ストレスによるものであるといわれています。ストレス解消を心がけましょう。
◇ 規則正しい生活を心がける
寝不足は疲れをためる元です。充分な睡眠をとり、疲れをためないことが大切です。また、寝すぎも、片頭痛の誘発要因となります。
◇ 食事はきっちりと摂る
片頭痛は空腹時に起こりやすいといわれています。
◇ 音・光・においの影響
発作時は、雑音・騒音やまぶしい光、きつい香水やタバコのにおいにより、痛みが増すことがあります。部屋を暗くする・耳栓の使用も有効です。
◇ 人ごみを避ける
人混みがストレスとなって、片頭痛を引き起こすことがあります。
◇ こめかみをマッサージ
こめかみをマッサ−ジする(こめかみを押さえる)と、痛みが和らぐようです。
◇ おでこを冷やす
血管の拡張を抑えるために、おでこを冷やすといいでしょう。
◇ 薬物療法
・トリプタン系薬剤(血管の炎症を抑える。片頭痛の第一選択薬)
・鎮痛剤
・エルゴタミン製剤(過剰な血管拡張を抑え、痛みを和らげる)
・カルシウム拮抗薬(脳の血管収縮抑制作用)
・制吐剤(頭痛に伴う、吐き気の抑制)
◆片頭痛薬=トリプタン系薬剤=について◆
トリプタン系の薬剤は、片頭痛専用薬です。(ただし、後で述べる「群発頭痛」も、「片頭痛」と同じく血管性の頭痛ですから、使用されることがあります。)
トリプタン系の薬剤が発売されるまでは、血管の拡張を抑える薬を使用することが多かったため、発作のできるだけ早い段階での服用が必要であり、発作のピーク時に服用しても効果がありませんでした。
しかし、トリプタン系の薬剤は、片頭痛の原因である“血管の炎症”を抑えるため、起こっている発作を抑えることができるのです。
剤形には、注射・内服薬(飲み薬)・点鼻薬があります。飲み薬には、通常の錠剤の他に、水なしで服用できるタイプの錠剤もあります。また、発作時に吐き気が強く、飲み薬を服用できない方には、点鼻薬が処方されることが多いようです。
いずれにしても、医師の指示の処方が必要です。
現在、発売されているトリプタン系薬剤は、以下のとおりです。
薬品名
成分名
剤形
その他
イミグラン
スマトリプタン
注射・内服(錠剤)・点鼻
ゾーミック
ゾルミトリプタン
内服(錠剤)
口腔内速溶錠あり
レルパックス
臭化水素酸エレトリプタン
内服(錠剤)
マクサルト
安息香酸リザトリプタン
内服(錠剤)
口腔内速溶錠あり
片頭痛と飲食物
<片頭痛を誘発する可能性のある飲食物>
赤ワイン
:ヒスタミンを多く含みます
チーズ
:
チラミンを多く含みます
チョコレート
:
ヒスタミン・チラミンともに多く含みます
ヒスタミン・チラミン:血管拡張物質です
<片頭痛をやわらげる飲食物>
◇ コーヒー ・緑茶
カフェインを含むため、血管を収縮させ、頭痛をやわらげます。ただし、コーヒーの飲みすぎは、禁断症状により逆に頭痛を起こしますので、多くても1日に5杯くらいまでにするといいでしょう。
◇ マグネシウム
マグネシウムは血管の収縮を抑えたり、血小板の凝集を抑えることで片頭痛に効果があるといわれています。厚生労働省が勧めるマグネシウムの摂取量は、1日に300mgです。しかし、現代人の摂取量は、その量を満たしていないのが現状です。片頭痛の方の3〜5割はマグネシウムが不足していると言われており、マグネシウムの摂取により頭痛の頻度が減ったというデータもあります。マグネシウムはストレスによって消費されやすい物質であり、ストレスの多い現代人には不足している傾向にあることも納得できます。マグネシウムを多く含む食品の代表は、“黒豆”と“ひじき”です。黒豆もそうですが、豆腐や納豆・味噌などの大豆食品に豊富に含まれています。その他、玄米・アーモンド・カシューナッツなどにも多く含まれます。
◇ ビタミンB2
ビタミンB2が片頭痛の予防になるといわれています。豚肉・卵・大豆・レバー・うなぎなどに多く含まれます。
群発頭痛
◆特徴◆
20〜30・40代の男性に多く見られます。いったん頭痛が起こると、1〜2ヶ月間ほぼ毎日起こることが、群発地震に似ているため、群発頭痛と呼ばれます。
1回の発作時間は1〜2時間程度で、年に1〜2回、毎年あるいは数年に1度くらい起こります。発作は、明け方や睡眠中に起こることが多いようです。
痛みは、一方の眼の奥をえぐられるように強く、じっとしていられず転げ回るほどです。
痛みの起こる側は、たいてい決まっていることが多く、頭痛の起こっている側に、涙や鼻水・額の汗・結膜の充血などが見られことが特徴です。
◆原因◆
原因は、未だ解明されていません。片頭痛と同様に、血管性の頭痛であり、内頚動脈(目の後ろにある太い血管)が腫れて、血管周辺の神経が刺激され、痛みが起こるといわれています。
◆予防と治療◆
群発期(群発頭痛が起こっている期間で頭痛発作が起きていない時)に、予防薬を服用すると頭痛が起こりにくくなります。予防薬は、医師の指示の下に処方されます。
予防薬には、副腎皮質ホルモン剤・リチウム・カルシウム拮抗薬・エルゴタミン製剤などがあります。
発作時は、市販の鎮痛剤では効果がありません。純度100%の酸素を吸入すると痛みが軽減する人もいます。また、血管の腫れを抑えるスマトリプタンの注射(片頭痛専用薬)を使うこともあります。
◆日常生活での注意◆
群発期には、アルコールにより頭痛が誘発されます。群発期を過ぎれば、飲酒をすることもできますが、群発期には禁酒が原則です。
〔参 考〕
<市販の頭痛薬について>
市販の頭痛薬は、全て解熱鎮痛薬です。予防薬や片頭痛専用薬は、医師の処方が必要です。
市販の熱鎮痛薬に含まれる成分には、以下のものがあります。
これらの成分は、痛みや炎症を起こす「プロスタグランジン」という物質ができるのを抑え、症状を和らげる働きがあります。
非ピリン系
アスピリン
非ピリン系
アセトアミノフェン
非ピリン系
エテンザミド
非ピリン系
イブプロフェン
ピリン系
イソプロピルアンチピリン
市販の解熱鎮痛剤は、厚生労働省によって定められた成分を製品化しており、正しく使用すれば、安全です。しかし、安全であるからと、毎日のように服用して、かえって頭痛を悪化させている「薬物乱用頭痛」も少なくありません。月に10日以上、鎮痛剤を服用している方は、医師の診断を受けることをお勧め致します。
<市販の解熱鎮痛剤とうまくつきあうためには>
◇むやみに長い期間服用しないこと
◇服用しても痛みがおさまらない時には、受診をすることが大切です。
◇市販の解熱鎮痛剤を飲むタイミングは、痛み始めが効果的です。
まとめ
以上、慢性頭痛について述べましたが、頭痛人口が多いにも関わらず、頭痛で受診をした人は少なく、市販の痛み止めを服用したり、痛みを我慢している人が多いのも現実です。忙しくてなかなか受診の機会がないという人もいらっしゃいますが、「頭痛くらいで受診をするなんて」と頭痛での受診に抵抗を感じている人が多いというのも理由の一つです。また、頭痛の痛みが激しく受診どころではなかったという人もいらっしゃるようです。まず、自分の頭痛がどのタイプなのかを見極め、それに応じた予防法やお薬を服用することが必要です。頭痛の種類により、対処法や服用薬も異なります。痛むからと、漫然と頭痛薬を飲み続けている方には、まず、受診をお勧めいたします。
受診は、必ずしも、痛みのある時でなくても構いません。問診では、「どのような痛みだったか」「痛みはいつ起こりどのくらい続いたか」「痛みの予兆はあったか」「どのような薬をどのくらい飲んだかなど」の状況をきっちり伝えられるよう、自身の頭痛の状況を記録しておくこともお勧めします。また、慢性頭痛は、食生活やストレスなども大いに関係していますから、毎日の生活習慣を見直す必要があるのは言うまでもありません。規則正しい生活とバランスのとれた食生活・ストレス解消を心がけましょう。
アルバ薬局 鈴蘭台店 管理薬剤師 鵜鷹奈美
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