アルバ会社説明会





第45号 「尿もれ」について

2005/6/27

目次:
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多くの人が悩む「尿もれ」
おしっこのコントロールが上手くいかず、尿もれやトイレを我慢できないといった悩みがあると、毎日がゆううつになりますよね。また、そんな不快感を年だからといって我慢したり、誰にも話せなくて一人悩んでいることはありませんか?
 最近の調べによると、女性全体の4人に1人、30代以上の3人に1人、40代以上の半数は尿もれに悩んでいるといわれています。特に、女性では出産・加齢などによって膀胱を支える筋肉が弱くなったり、尿道が短いなどの原因で尿失禁になることが男性に比べて多いようです。このように尿失禁は、直接生命をおびやかすものではありませんが、いつもトイレのことを考えて行動が制限されたり、精神的にも落ち込んだり、不快感をもたらすものです。最近では、尿もれ(尿失禁)はれっきとした病気として認識されており、治療法もあります。また、高齢化社会に伴って高齢者の尿失禁の問題もあり、非常に関心が高まっています。そこで、今回の処方せん豆知識は、多くの人が悩んでいる「尿もれ(尿失禁)」についてお話ししたいと思います。

 1.排尿のしくみ

 腎臓でろ過され作られた尿は、尿管を通って一時的に膀胱に溜められます。尿がある程度膀胱に溜まると(300〜500ml)、その情報が脳に伝わり尿意を感じます。しかし、自律神経の働きによって意識的に我慢をしなくても尿がもれないような仕組みになっています。

尿が溜まるにつれて、交感神経の働きにより排尿筋は弛緩(膀胱をゆるめる)し、内尿道括約筋が収縮(尿道をしめる)して、尿がもれ出さないように働いています。このことを「蓄尿(ちくにょう)」といいます。
逆に、尿を出したいときには、副交感神経の働きにより排尿筋は強く収縮(膀胱を収縮させる)し、内尿道括約筋が弛緩(尿道をゆるめる)することを「排尿(はいにょう)」といいます。また、外尿道括約筋は自分の意志どおり動かすことの出来る筋肉で、尿意があっても自分の意志で我慢が出来るようになっています。

つまり、排尿は排尿筋・内尿道括約筋・外尿道括約筋が、それぞれ収縮・弛緩することで調整されています。また、1回に排泄される尿の量は200〜500mlで、排尿に要する時間は10〜30秒位です。

◇男女の違い
男性と女性では体の構造が違うため、起こりやすい障害や悩みも変わってきます。
男性の尿道は約20cm位あり、前立腺が年齢と共に大きくなるため、どちらかというと尿が出にくくなりやすい傾向があります。
逆に、女性の尿道は3〜4cm位で、男性の1/4の長さしかありません。また、骨盤内の臓器を支える骨盤底筋群が妊娠・出産・加齢などによりゆるみやすくなり、男子に比べると尿もれを起こしやすいといわれています。


 2.尿失禁のタイプ――――あなたはどのタイプ?

 尿失禁には、一過性の尿失禁と慢性的な尿失禁があります。今回は、慢性の尿失禁を中心にご説明します。

◇一過性尿失禁 
一過性の尿失禁は、短期間のうちに突然始まる急性の尿失禁で、膀胱の感染症が最も一般的な原因です。また、意識混濁(いしきこんだく)を引き起こすような病気(肺炎など)や運動が制限されること(骨折・重傷の関節リウマチなど)などが原因になることがあります。その他、薬剤が原因で起こるものや萎縮性膣炎(いしゅくせいちつえん)や便秘など膀胱や尿道の炎症を引き起こす状態なども原因となります。

◇慢性的尿失禁
慢性的な尿失禁は、腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしきん)・切迫性尿失禁(せっぱくせいにょうしっきん)・混合型尿失禁(こんごうがたにょうしっきん)・溢流性尿失禁(いつりゅうせいにょうしっきん)・機能性尿失禁(きのうせいにょうしっきん)・反射性尿失禁(はんしゃせいにょうしっきん)などに分類されます。
女性の尿失禁の場合、腹圧性尿失禁が最も多く混合型を含めると全体の約70%になります。


尿失禁患者(5,160例)

大阪市立大学調査より


◇ 腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしっきん)
 症 状
せきやくしゃみ・大笑いをする・重い荷物を持ったとき・坂道や階段を下りる時など、急にお腹に力が加わったときに尿がもれます。

 特 徴
尿失禁の中で最も多く、健康な中高年の女性がなりやすいタイプです。尿道をしめると同時に膀胱などの臓器を支えている骨盤底筋という筋肉が、肥満・妊娠による加重や、加齢によって弾力性を失い、弱くなったためと考えられています。
 男性では、基本的にはこのタイプの尿失禁は生じませんが、前立腺切除などの手術後に、このタイプの尿失禁を生じることがあります。

 治 療
骨盤底筋体操(こつばんていきんたいそう)・薬物療法・手術療法があります。
尿道をしめる力を強くする薬や膀胱の収縮を弱める薬が使われますが、これだけで完治することは難しいので、骨盤底筋体操を併用します。
骨盤底筋体操は、自分で肛門や膣をしめる運動を毎日繰り返し、弱くなった骨盤底筋群を強くするもので、軽中等症にはかなり効果があるといわれています。
代表的な治療薬:スピロペント・メトリジン・プレマリン
これらの治療をしても効果がない場合に、手術療法が行われます。


◇ 切迫性尿失禁(せっぱくせいにょうしっきん)
 症 状
尿意を感じるとすぐにトイレに行きたくなり、トイレに行くまで我慢できずにもれてしまう。また、トイレの回数が多く、トイレに行ったばかりなのに直ぐに行きたくなるといった症状を伴います。

 特 徴
膀胱が過敏に収縮してしまうので、尿を十分に膀胱に溜められないことが原因とされています。つまり、尿意や膀胱に対する刺激に反応して、勝手に膀胱の収縮が起こるので、我慢できずにもれてしまうということです。
排尿の命令を出す脳や、膀胱と脳の指令を伝える脊髄に問題がある場合などに、このような症状が起こります。代表的な原因としては、脳卒中の後遺症やパ−キンソン病があげられますが、男性では前立腺肥大症が原因のこともあります。また、中高年の女性の場合は、原因が明らかでないことも多いといわれています。その他、膀胱炎などで一時的に膀胱が過敏になっている場合にも、このような症状が出ます。

 治 療
お薬で膀胱の収縮を弱めることによって、頻尿や切迫性尿失禁を治療します。多くの場合、お薬だけで70〜80%は治癒するといわれています。また、トイレに行きたくなっても、直ぐに駆け込まないで我慢する訓練(最初は、5〜10分位から始める)や、腹圧性尿失禁でもご紹介した骨盤底筋体操を併用するとより効果的です。女性の場合は、肛門と一緒に膣をしめますが、男性は肛門と一緒にペニス(尿道)をしめたり、緩めたりして尿の出口の筋肉である骨盤底筋群を鍛えます。  
代表的な治療薬:ポラキス・バップフォ−・ブラダロン

◇ 混合型尿失禁(こんごうがたにょうしっきん)
 症 状
くしゃみやせき・重いものを持ったときなどに尿もれを起こす腹圧性尿失禁の症状と、我慢できずにトイレに行くまでに尿をもらしてしまう切迫性尿失禁の症状がともに現れます。

 特 徴
複数のタイプの尿失禁が関係した尿失禁です。しかし、ほとんどのが腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の混合型で、高齢の女性に多く見られます。男性では、前立腺肥大による溢流性尿失禁と脳卒中による切迫性尿失禁が同時に生じる場合などがあります。

 治 療
混合型尿失禁の場合は、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の治療法を併用します。



◇溢流性尿失禁(いつりゅうせいにょうしっきん)
 症 状
尿が出にくくなる排尿障害が必ず前提にあり、尿が出にくいのに、いつのまにか尿がもれてしまいます。尿意がはっきりせず、少しずつ持続的に尿がもれます。また、せきやくしゃみ・お腹に腹圧がかかるような動作をしたときにも尿がもれて、不快な残尿感に悩まされます。静かに横になっている時や、寝ている時にも尿がもれることがあります。

 特 徴
尿が出にくくなる排尿障害が原因で起きる尿失禁で、ダムの水が溢れるように、パンパンにふくれた膀胱から尿が溢れることから、この名前がつています。
進行した前立腺肥大症で尿道が狭くなり、排尿障害を起こした場合や、子宮ガン・直腸ガンの手術、あるいは糖尿病などで、膀胱の末梢神経が障害を受けた場合などにも起こります。
この尿失禁は放置すると腎臓に悪影響が出る可能性がありますので、早めの治療が必要です。

 治 療
原因となる病気の治療をします。前立腺肥大症の場合、薬物による治療と手術療法があります。また、薬物療法と併用して、間欠的自己道尿が有効とされています。間欠的自己道尿は、患者自身が常時カテーテルを携帯し,3〜4時間毎に尿道内に挿入し導尿します。また、糖尿病や子宮ガンなどの手術による末梢神経障害などにも、間欠的自己導尿が行われます。

◇機能性尿失禁(きのうせいにょうしっきん)
 症 状
特に膀胱の機能には異常がなく、体が不自由なためにトイレに行こうとしても時間がかかってしまったり、介護者が間に合わないために尿をもらしてしまうタイプです。また、痴呆のためにトイレがわからなくなり、トイレ以外の場所で尿もれを起こす場合も機能性尿失禁といいます。

 特 徴
特に、高齢者に多く見られます。排尿の機能そのものには問題がなく、排尿にいたるまでに手間取り、間に合わずにもれてしまいます。また、痴呆が進行して、居間や食事中にもらしたり、排尿という行為自体を認識できなくなって尿をもらすこともあります。

 治 療
医学的な治療よりも、その人の排尿パタ−ンにあわせた排尿誘導を中心に行います。

◇反射性尿失禁(はんしゃせいにょうしっきん)
 症 状
尿が膀胱に溜まっても、尿意を感じたり排尿を抑制することができずに反射的に尿が出てしまうタイプをいいます。

 特 徴
脊髄損傷などにより尿意を伴わず、膀胱内に尿が溜まると膀胱が反射的に収縮されることにより、尿が出てしまう状態です。

 治 療
尿失禁だけでなく、排尿自体にも問題があることが多く、腎臓にも悪影響をおよぼすことが多くありますので、泌尿器科の専門医による総合的な診断と治療が必要になります。

<尿失禁の症状によるタイプ診断>

項    目


尿





尿





尿





尿


尿




尿意がわからない
咳・くしゃみ・重いものを持つなどで腹圧がかかったときに尿がもれる
トイレに行くまでに我慢できずに尿がもれる
いつもお腹に力を入れて、いきんで排尿している
尿意がないのに知らないうちに尿がもれる
排尿後に残尿感がある
排尿に勢いがない
頻尿(昼間8回以上、夜3回以上)
冷たい水で手を洗うと急に尿意をもよおす、あるいは尿がもれる
トイレがわからず、トイレ以外の場所で排尿する
トイレの使い方がわからず、トイレを汚す
尿もれを気にしない、あるいは気付いていない
排尿するときに痛みを伴う
尿から悪臭がする
睡眠時に尿がもれる(夜尿)がある
脳梗塞や脳出血を患ったことがある
直腸ガンや子宮ガンの手術を受けたことがある
糖尿病の治療を受けている
前立腺ガンや前立腺肥大症の手術を受けている
経膣分娩の経験がある

参考:大島真一執筆・監修「高齢者排尿管理マニュアル」(愛知県健康福祉部高齢福祉課)

 3.尿失禁の主な治療薬


代表薬品名 特   徴
抗コリン薬 ポラキス
バップフォ
膀胱の勝手な収縮をおさえます。また、膀胱の筋肉がゆるみ容量が大きくなるので、尿がたくさん溜められるようになります。膀胱の神経不調による頻尿・尿失禁に用います。
膀胱平滑筋弛緩薬 ブラダロン 膀胱の筋肉をゆるめ、容量を大きくする働きがありますので、尿の回数が少なくなります。頻尿・残尿感・尿失禁に用います。
β刺激薬 スピロペント もともとは喘息の薬として使われていましたが、膀胱の収縮を抑える作用と尿道の筋肉をしめる作用があり、「腹圧性尿失禁」の治療薬としても適応が認められています。
α刺激剤 メトリジン 膀胱の出口や尿道をしめることで尿もれを防ぎます。腹圧性尿失禁に用いられます。
女性ホルモン薬 プレマリン 閉経後に生じる尿道粘膜の萎縮による腹圧性尿失禁に用いられます。
三環系抗うつ薬 トリプタノ−ル
トフラニ−ル
膀胱の運動をおさえたり、尿道をしめる作用があり、尿失禁に応用されます。心理的要因を和らげる効果も期待できます。

4.骨盤底筋体操

骨盤底筋体操は、腹圧性尿失禁の予防・改善の方法として大変評価されています。
お腹に力を入れずに、肛門・膣・尿道をしめる簡単な体操です。テレビを見ながら、朝晩布団中で、職場やキッチンで、いつでもどこでも簡単にできる体操です。
骨盤底筋体操のトレーニングの回数は、1人1人の筋力の状態で異なりますので、主治医と相談して、自分に適した回数を決めて下さい。
骨盤底筋のしまることを自覚できる方なら、速くしめる(5回)・しめたままで3〜5秒間保つ(5回)を1セットとして、1日10セットがめやすとなります。
3ヶ月を目安にきちんと行えば、3人中2人には効果が実感できるといわれています。  
以下に、4つの姿勢での体操方法をご紹介しますので、ご自分のやりやすい姿勢で試してみてください。

1. 仰向けの姿勢で・・・・・朝晩布団の中で
仰向けに寝て脚を肩幅に開きます。
両ひざを軽く立ててからだの力を抜き、肛門と膣をしめます。
しめたままゆっくりと5つ数えます。
この動作をできるだけ繰り返してください。


2. 肘やひざをついた姿勢で
床にひざをつき、クッションの上に肘をたてて手にあごを乗せます
次に、肛門と膣をゆっくりしめ、しめたままゆっくりと5つ数えます。


3. 机を支えにした姿勢で・・・・・職場やキッチンで
机のそばに立ち、足を肩幅に開きます。
手も肩幅に広げ、机に両手をのせます。
その姿勢で、全体重を腕にかけ、背中はまっすぐに伸ばし、頭を上げて前を見ます。肩とお腹の力を抜いて、肛門と膣をしめます。

4. イスに座った姿勢で・・・・・テレビを見ながら
床に脚をつけ肩幅に開き、背中をまっすぐに伸ばし頭を上げて前を見ます。
肩の力を抜き、お腹を動かさず、力を入れないようにして、ゆっくりと肛門と膣をしめます。

5.日常生活での注意点

軽度の尿失禁は、日常生活のちょっとした工夫で尿失禁の予防や改善ができるケ−スが多くあります。
1.トイレ環境を整備する
認知機能や身体機能が低下している場合は、トイレに解りやすい表示を付けることや、トイレに行くまでの段差の解消・手すりの整備などを検討してみてください。
また、どうしてもトイレに行くまで尿を我慢できない場合は、ポータブル便器や尿器の使用や、専用の尿失禁パッドの利用もいいでしょう。

2.衣類を工夫する
前開きの下着など、素早く脱衣ができる衣類を工夫しましょう。お部屋の環境を工夫して厚着を避けるなどが考えられます。
3.肥満を改善する
太りすぎは、皮下脂肪が膀胱を圧迫して尿もれを起こす原因にもなります。また、脂肪の重みで骨盤底筋がゆるみ、腹圧性尿失禁を引き起こす要因にもなります。太っている人は、適度なダイエットと運動で肥満解消を心がけましょう。
4.便秘を改善する
便秘になると、膀胱が圧迫され、尿もれを起こしやすくなります。規則正しい食生活や適度な運動を心がけましょう。(処方せん豆知識12号「便秘(その1)」、処方せん豆知識「便秘(その2)」参照
5.水分の取り方を工夫する
尿もれが不安なために、水分を極端に控えている人が多いようですが、排泄機能を正常に働かせるためには、水分を十分とる必要があります。ただし、刺激となる飲み物(コ−ヒ・紅茶・アルコ−ル類)は少々控えめに!!



6.まとめ



多くの人が尿もれに悩んでいます。尿失禁は、色々な原因で起こりますので、年だからとあきらめたり、恥ずかしがらずに専門の泌尿器科を受診することが最も大切です。
最近では、泌尿器科専門の診療所もずいぶん増えています。軽い気持ちで、まず専門医に相談することが、治療の早道です。原因にもよりますが、多くの場合、適切な治療で治癒するといわれています。尿もれで悩んでいる人は、1日も早く専門医を受診して、「快適な日常生活」を取り戻していただくことを願っています。


朝陽薬局 甲東園店
薬剤師 柏原美子




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