アルバ会社説明会





第46号 高血圧 その1(全般)

2005/7/26

目次:
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高血圧 その1(全般)
今回の処方せん豆知識は、3回にわたり生活習慣病の一つである「高血圧」について取り上げます。
日本において、高血圧は、成人の疾患で最も頻度が高く、現在、患者数は3,500万人ともいわれています。「がん」に続いて、死亡原因の上位を占める脳卒中や心筋梗塞などと深い関わりを持ち、高血圧を放置することで、これらのリスクが高まります。
高血圧の初期では、血圧が高いという以外にはこれといった自覚症状がないため、別名「サイレント・キラ−(静かな殺し屋)」とも呼ばれます。そのまま放っておくと、血管がぼろぼろになり、知らず知らずの間に、脳卒中や心不全を引き起こす怖い病気です。
「高血圧 その1」では、高血圧について診断・治療法・食事・生活での注意点などを全般に渡ってご紹介いたします。
「高血圧 その2」では、薬物治療について、「高血圧 その3」では、皆様から質問が多い内容を取り上げお答えいたします。

 1.血圧ってなんでしょう?

 血圧とは、血液が血管内を流れるときに、血管壁を押し広げる圧力のことです。血圧は、心臓がポンプのように血液を送り出すことによって発生し、心臓の収縮や拡張により、上がったり下がったりしています。
上の血圧・下の血圧とよくいわれますが、血圧には2つの値があり、上のほうの血圧値は収縮期血圧(最高血圧)と呼ばれ、下の方の血圧値は拡張期血圧(最低血圧)と呼ばれています。
収縮期血圧(最高血圧)は、心臓が収縮して血液を送り出したときに動脈壁にあたえる圧力のことで、拡張期血圧(最低血圧)は、心臓が拡張して血液が心臓に戻ってくるときに動脈壁にあたえる圧力のことです。
また、血圧は、昼間活動しているときには高く、夜間の睡眠中は低くなるというリズムがあります。さらに、運動・ストレス・気温・年齢など、さまざまな要因によって、体が血液を必要とするときに必要な量を運ぶことができるように、精密にコントロールされています。


 2.高血圧の症状

 初期は、無症状であり、血圧を測ると高い程度です。
頭痛は高血圧に特徴的な症状ではありませんが、後頭部が痛い・漠然と後頭部が重いという訴えもみられます。重症になると、頭蓋内の圧力が高くなり、早朝時に後頭部あるいは前額部の頭痛を訴える場合もあります。
肩こり・めまい・ふらつき・耳鳴り・鼻出血などは、特徴的な症状ではありませんが、このような症状が気になる場合には、血圧を測定し、早めに受診しましょう。


 3.高血圧の分類

高血圧は、大きく「二次性高血圧」と「本態性高血圧」の2つのタイプに分けられます。
◇二次性高血圧(にじせいこうけつあつ)
腎臓病などの明らかな原因疾患がある場合や薬物が原因で起こる高血圧を「二次性高血圧」といいます。

◇ 本態性高血圧(ほんたいせいこうけつあつ)
原因がはっきり分からない高血圧を「本態性高血圧」といい、日本人の場合90%以上がこのタイプの高血圧です。しかし、高血圧の発症や進行には、高血圧になりやすい遺伝的な体質に加え、塩分の摂り過ぎ・肥満・過度の飲酒・喫煙・運動不足・ストレス・加齢などの環境因子が複雑に絡み合っています。これに、糖尿病や高脂血症などの病気が加わると、さらに脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めるといわれています。

成人における高血圧の分類
140/90mmHg のうち、どちらか一方でも超えた場合は高血圧と診断されます。
分  類   収縮期血圧(mmHg) 拡張期血圧(mmHg)
至適血圧 かつ 120未満 80未満
正常血圧 かつ 130未満 85未満
正常高値血圧 または 130〜139 85〜89
軽症高血圧 または 140〜159 90〜99
中等症高血圧 または 160〜179 100〜109
重症高血圧 または 180以上 110以上
収縮期高血圧 かつ 140以上 90未満

参考:日本高血圧学会 高血圧ガイドライン2004年度版より


降 圧 目 標
 
高齢者 140/90 mmHg未満
若年・中年者 130/85 mmHg未満
糖尿病患者・腎障害患者 130/80 mmHg未満

参考:日本高血圧学会 高血圧ガイドライン2004年度版より


夜間血圧による分類
高血圧と診断された患者さんは、1日の血圧変動によって、次のようなタイプに分類されます。
正常型 夜間に血圧が低下するタイプ
(夜間に昼間の血圧レベルの10%以上降圧する)
夜間非降圧型 夜間に血圧が低下しないタイプ
夜間昇圧型 夜間に血圧が上昇するタイプ
夜間過降圧型 夜間に血圧が著しく下降するタイプ
(夜間に昼間の血圧レベルの20%以上降圧する)


4.血圧が高いまま放っておくとどうなるの?

血管は、全身をめぐって細胞に酸素や栄養素を運んでいますが、血圧が高くなると、血管に強い圧力がかかってしまいます。この状態が続くと、血管の壁が厚く硬くなり、血管自体はもろくなります。もろくなった血管に強い圧力がかかると、血液の流れが滞ったり、血管が破れたりする引き金になります。特に、夜間は低値の血圧が、早朝覚醒前後に急激に血圧が上昇することを「モ−ニングサ−ジ」といい、脳卒中・心筋梗塞などの心血管病発症リスクと考えられています。


5.正しい血圧の測り方

血圧は、1日のうちで変化しているため、診察時だけでなく、ご家庭で血圧を正しく測って記録することは、隠れた高血圧を発見するためにも重要です。

◇ 測定方法

朝・晩それぞれ少なくとも1回ずつ、できれば毎日測定しましょう。
測定する時間
朝: 起床後1時間以内に、座った姿勢で1〜2分間安静にした後に測定してください。薬を飲んだり朝食を食べるのは測定後にしてください。排尿は測定前にすませておきましょう。
晩: 就寝前に、座った姿勢で1〜2分間安静にした後に測定してください。
測定部位は、上腕が適しています。
基本的には、利き腕と反対の腕を用いて測定しますが、左右両方の血圧を測ってみて、差が明らかな場合には、常に高く出る方を測定値として記録しましょう。
家庭血圧は、診察時よりも一般に低い値を示す傾向があります。
家庭血圧も、高血圧の治療を行う上では、重要な参考資料となります。
診察時に、測定結果を記録したノートを医師に見せるようにしましょう。


◇ 家庭血圧から得られる情報

白衣高血圧
高血圧の治療をしておらず、診察室などで測定した場合には常に高血圧を示すが、家庭血圧や※24時間自由行動下血圧測定(ABPM)では、常に正常である。

※自由行動下の血圧を、自動血圧計により、15〜30分間隔で測定する。
仮面高血圧
診察室での血圧は正常であり、家庭血圧やABPMでの血圧値が高血圧状態にある。
早朝高血圧
起床後、早朝の血圧が特異的に高い状態。


6.高血圧の治療

高血圧の治療は、単に血圧を下げるだけが目的ではなく、高血圧によって引き起こされる脳卒中や虚血性心疾患などの高血圧性合併症をいかに防止するかが重要です。高血圧の治療に当たっては、まず生活習慣を見直し、食事療法・運動療法を行った上で、薬物療法を併用して血圧を正常範囲にコントロ−ルしなくてはなりません。
二次性高血圧
の場合は、血圧を上げる原因となっている病気の治療を行います。

心血管病の危険因子


●高血圧 ●肥満(特に内臓肥満)
●喫 煙 ●尿中微量アルブミン
●糖尿病 ●高 齢(男性60歳以上・女性65歳以上)
●若年発症の心血管病の家族歴
●脂質代謝異常(高コレスレロ−ル血症・低HDLコレステロ−ル血症)

参考:日本高血圧学会 高血圧ガイドライン2004年度版より

臓器障害・心血管病の評価
心 臓 左室肥大、狭心症・心筋梗塞、心不全
脳出血、脳梗塞、無症候性脳血管障害、一過性脳虚血発作、認知機能障害
腎 臓 蛋白尿、腎障害、腎不全(血清クレアチニン 男性≧1.3 mg/dL、女性≧1.2 mg/dL)
血 管 動脈硬化性プラークあるいは頚動脈内膜-中膜肥厚≧0.9mm、大動脈解離、閉塞性動脈疾患
眼 底 高血圧性網膜症

参考:日本高血圧学会 高血圧ガイドライン2004年度版より


高血圧の程度と危険因子および高血圧に基づく臓器障害・心血管病合併の有無を考慮して、患者さんの危険因子数によって、低リスク・中等リスク・高リスクに層別化し治療を行います。


参考:日本高血圧学会 高血圧ガイドライン2004年度版より

◇ 治療プランの作成

●初診時の治療計画

参考:参考:日本高血圧学会 高血圧ガイドライン2004年度版より



7.食事・生活での注意点

食塩をとりすぎると血圧が上がることは、多くの研究や統計から明らかにされています。しかし、個人差があり、食塩を多めにとると敏感に血圧が上がるタイプの人と、食塩を多少とりすぎてもあまり上がらない人もいます。日本人の食塩平均摂取量は、1日11〜12g位といわれています。日本人の1日の食塩摂取の目標値は10g未満とされており、高血圧の人は、食塩の摂取は1日6g未満とされています。いずれにしても、塩分を控えめにして、バランスのよい食事と適正な体重管理をすることが基本であることには変わりません。
高血圧で最も大切な生活習慣を見直すための食事・生活での注意点を、見てみることにしましょう。

◇食事での注意点
1. 食事のバランス

1日3食・栄養をバランスよく摂るようにこころがけましょう。
栄養のバランスを考え、出来るだけ規則正しく食事を摂るようにして、生活習慣病を予防しましょう。

2. 減塩を心がけましょう

高血圧の人は1日6g未満を目安にしてください。調味料としてだけでなく、加工品に含まれる塩分にも注意しましょう。

〔減塩のコツ〕
薄味になれる
漬け物・汁物の量に気をつける
しょう油・ソ−スは「かけて食べる」より「つけて食べる」
レモン・すだち・かぼす・酢などの酸味を上手に使いましょう
香辛料を上手に使いましょう
新鮮な食材を使い、素材の味や香りをいかしましょう
練り製品・加工食品・インスタント食品には気をつけて
食べ過ぎに気をつけましょう

3. 摂取カロリ−に気をつけましょう

肥満の人に高血圧者が多く、減量によって血圧も低下します。
適正体重の維持(BMIで25を超えない)が大切です。

 BMI(ボディマス指数)=体重(Kg)÷身長(m) ÷身長(m)
判定基準 肥 満 25以上
普通体重 18.5〜25未満
や せ 18未満

〔例〕身長1.60m 体重58Kgの人では
     BMI=58÷1.60÷1.60=22.65・・・・・標準


4. 肉より魚がおすすめ
飽和脂肪酸やコレステロ−ルは、動脈硬化をすすめます。肉を減らし不飽和脂肪酸を多く含む魚や植物性油を摂るようにしましょう。
 特に、EPAやDHAを多く含むいわし・にしん・さんまなどはおすすめです。
 ただし、不飽和脂肪酸は非常に酸化しやすいため、魚は新鮮なものを早いうちに食べるようにしましょう。

5. タンパク質

血管をしなやかに保つため、卵白・牛乳・魚などの良質なタンパク質を取るようにしましょう。

6. カリウムを十分とるようにしましょう

野菜・果物・豆・いも類に多く含まれているカリウムは、摂取が多いと血圧を下げる働きがあります。ただし、腎臓の悪い人ではカリウムは制限しなくてはなりませんので、医師の指示に従ってください。
この他、腸から吸収されない食物繊維・カルシウム・マグネシウムを多く含む食物も血圧を下げるのに好ましいとされています。


◇日常生活での注意
1. 睡眠について

十分な睡眠により、自律神経のリズムを整えます。

2. たばこはやめましょう

喫煙により血管が収縮し、一時的に血圧が上がるだけでなく、血液の流れを悪くし、血液が凝固しやすくなり、動脈硬化の原因となります。

3. 便秘

いきみの時間が長いと血圧が上がります。便秘にならないように、食物繊維の多い食品を摂り、水分摂取を心がけましょう。
また、日本式の便器にしゃがむよりも、洋式便器に腰掛けて用を足すほうが、急激な血圧の変動を避けられます。

4. ストレス

体がストレスを感じると、血圧は上がる傾向にありますので、普段からストレスをためない工夫をしましょう。


5. アルコ−ル

適度なアルコールは、血管を拡張して血液の流れをよくします。血圧にも心臓にも悪い影響を与えない適度な量とは、エタノ−ルにして1日30ml位までとされています。
日本酒なら180ml、ビ−ルなら大瓶1本程度、ウイスキ−では60ml程度に相当します。


6. 温度差

寒暖差に注意しましょう。急激に体が冷えると、体は熱を逃さないように皮膚や血管が縮まり、血圧は上がってしまいます。特に、冬場は、お風呂やトイレでは、部屋との温度差があるため注意が必要です。
また、夏、冷房が効き過ぎた部屋から、そうでない所へ出る時にも血圧を上昇させます。外気との温度差が5度以上にならないよう気を付けましょう。


7. 入浴

ぬるめの湯(38℃〜40℃)にゆったりとつかりましょう。ただし、極端な長湯は禁物です。
40℃を超える熱いお湯では、交感神経が優位になり体が興奮する状態になります。逆に、ぬるめの38℃程度では副交感神経が働き、リラックスできる状態になれます。

8.運動

高血圧の重症度や合併症の有無にもよりますが、適度な運動は血液の流れを良くし、全身に良いだけでなく、肥満防止や気分転換にもつながります。無理をせずに、毎日楽しく続けられる運動を心がけましょう。



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管理薬剤師 桾本 愛子




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