アルバ会社説明会



第50号 過敏性腸症候群

2005/11/25

目次:

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過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)

今回の処方せん豆知識は、近年、増加しているといわれている「過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)」についてご紹介します。慢性的に便通異常や腹痛が続く病気で、本質的には心配の要らない病気ですが、当の本人にとってはいやな症状といえます。
現代社会は、ストレス社会ともいわれるように、日常的に様々なストレスが加わるようになり、この病気が増加しているといわれています。また、腸が弱いと思っている人のほとんどが、この病気であるともいわれています。



◆このような症状はありませんか?

しょっちゅう下痢をする。
便秘が続いている。
下痢と便秘が交互にあらわれる。
腹痛をともなう下痢がある。
お腹がよく痛くなり、腹部の不快感がある。
お腹の痛みや不快感は、排便をするとやわらぐ。
お腹を温めると腹痛が軽減する。
排便後も、まだ便が残っている感じがする。
うさぎの糞(ふん)のような便が出る。
大便中に粘液が見られるときがある。
よくおならがでる。
すぐにトイレに行けないような状況(電車の中など)で、お腹の調子が悪くなる。
休日・遊んでいるとき・眠っているときには症状がない。
朝出かけるときにはお腹の調子が悪くなり、帰宅する時間には症状が治まっている。

◆過敏性腸症候群ってどんな病気

胃腸の検査をしても原因となる異常が見られないのに、腹痛・下痢・便秘・下痢と便秘が交互に起るなどの症状を繰返しおこす病気です。腹痛は必ずしも一定の場所にかぎらず、排便によって腹痛がやわらぐことが特徴です。排便の回数は、一般に多いのですが、睡眠中はほとんど便意がありません。その他、排便後も便が残っている感じやガスがたっまてお腹が張った感じがする・おならがよくでる・お腹がゴロゴロ鳴るなどの症状をともなうことがあります。また、下痢をしても体重の減少が見られないというのも特徴です。

■過敏性腸症候群のタイプ

下痢型(神経性下痢)
朝起きてすぐ・朝食後・出かける前などや緊張をすると、お腹が痛くなり下痢をします。
また、電車に乗るとお腹が痛くなり、途中下車してトイレにかけ込むこともよく見られます。
便意をもよおす回数が多いのが特徴です。

便秘型(けいれん性便秘) 
処方せん豆知識第12号「便秘(その1)」参照
腹痛を伴い、ウサギの糞のようなコロコロした便が出ます。

交替型
便秘と下痢を繰り返します。


◆過敏性腸症候群の原因

私たちは生命に必要なエネルギーを得るために、ものを食べ、水分を補給しています。口から食道を経て、胃・腸で吸収され、吸収されなかったものを老廃物として肛門から排泄します。
大腸は、胃や小腸で消化吸収された残りの腸内容物を貯め、水分を吸収しながら便にするところです。そこに何らかの要因が加わり便通に異常が生じてしまうのが「過敏性腸症候群」です。
過敏性腸症候群の原因は、色々と考えられていますが、その代表的なものをご紹介します。

☆ストレス

ストレスが原因で消化管の運動機能が障害されて、下痢・便秘が生じるといわれています。しかし、同じストレスでも症状のでる人とでない人がいたり、同じ人でも症状がでる場合、でない場合もありますが、ストレスは重要な要素であることは確かなようです。

〔腸と自律神経〕
大腸の腸管運動は自律神経によってコントロールされています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、腸管運動に対して交感神経は抑制、副交感神経は促進に働き、両方の神経によりバランスがとられています。この自律神経のバランスが乱れることによって、排便のメカニズムがくずれて過敏性腸症候群を引き起します。

☆腸管刺激
腸にわずかな刺激が加わっても、過敏に感じてしまうため腹痛や便通異常が起る。

☆その他
食物が原因の食物アレルギ−説
腸管に軽度の炎症があることが原因と考えられる腸管炎症説など


◆過敏性腸症候群と紛らわしい病気

「たかが便秘や下痢」と思って、そのまま放置している人もいますが、深刻な病気が潜んでいることがあります。腹痛・腹部の不快感・下痢・便秘などの症状が長く続く場合は、自己判断せずに、消化器科のある医療機関を受診するようにしましょう。

■過敏性腸症候群と症状が類似している病気

病 名 特  徴 症  状
大腸ガン 結腸や直腸などにできるガン。
大腸ガンの発生しやすい部位は、多い順に直腸・S状結腸・上行結腸。
早期発見でほぼ100%完治する。
血便・便が細くなる・残便感・腹痛・下痢と便秘を繰り返すなど。
大腸ポリープ 大腸の粘膜にイボ状やキノコ状の突起ができる病気。
大きく分けると、ガンになる可能性のある腺腫と腺腫でないものがある。
ほとんどが無症状で、あるとすれば血便など。
潰瘍性大腸炎 大腸の粘膜にびらん(ただれ)や潰瘍ができる病気。
直腸に多く発生するが、大腸全体におよぶ場合もある。
青少年期に多いのが特徴ですが、若年者から高齢者まで発症する。
男女比は1:1
原因が不明で、難病として特定疾患に指定されている。
下血を伴うまたは伴わない下痢・腹痛・発熱・体重減少・貧血など。
クローン病 消化管に潰瘍ができる病気。
小腸や大腸だけでなく、胃や食道の粘膜にも潰瘍ができる。
10〜20歳代に多い
男女比は約2:1
原因が不明で、難病として特定疾患に指定されている。
腹痛・下痢・血便・体重減少など。
乳糖不耐症 体質的に、牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素が十分につくられないために起る病気。
牛乳や乳製品をとることをやめると症状はおさまる。
お腹がゴロゴロ鳴る・下痢・腹痛など。

◆治 療

まずは、病気に対して正しい知識をもつことが大切です。病気の特徴をよく理解してあせらず治療をすすめていきます。過敏症腸症候群は、直接生命にかかわる病気ではなく一生続く病気でもありません。一番大切なのは食事と生活習慣の改善です。ライフスタイルを変えるなどしても改善がみられない場合は、薬物療法を行います。便通異常・腹痛などに対する対症療法と精神的ストレスに対する心理療法があります。薬物は何種類か併用することもありますが、医師の指示通りのみましょう。

薬物療法

高分子重合体(コロネルなど)
腸の調子を整え、便秘予防に大切な食物繊維と似た働きをする人工繊維です。小腸で徐々に水分を吸収し始め、大腸で威力を発揮します。
便秘と下痢という相反する症状の両方に効果があり、下痢の場合は水分を吸収してゲル状になり便を固めます。また、便秘の場合は大腸内で水分を吸収し腸管を刺激して便秘を改善します。

消化管運動調整薬(セレキノンなど)
消化管運動が亢進しているときには抑制的に、低下しているときには促進的に働き消化管の運動を調節します。

抗コリン薬(ブスコパンなど)
腸の運動を抑えます。
腹痛時に用いられることがあります。

整腸剤・便秘薬・下痢止め
大腸刺激性の便秘薬は長期間使用すると便秘薬の使用が習慣化してしまうことがありますので、少量にしたり、他薬と併用するなどの調節をします。
  処方せん豆知識第12号「便秘(その1)」参照
5
抗うつ・抗不安薬
ストレスや不安を和らげ、精神症状の改善を図る上で、抗うつ・抗不安薬が有効な場合もあります。また、専門医によるカウンセリングなどもあります。
  処方せん豆知識第44号「うつ病について」参照

◆日常生活での注意

●食事で注意すること

暴飲暴食は避け腹八分にする。

水分を多く摂る。(水分不足は便秘の原因になる)
症状がでる食物は避ける。

下痢のときには、消化吸収のよい低脂肪食をとりましょう。

便秘のときには、食物繊維を多く含んだ食品をとるようにしましょう。

偏った食事は、便通異常の原因となります。栄養バランスのよい食事をしましょう。

食事内容に神経質になりすぎ、それがストレスになってしまうこともあるため、楽しい食事を心がけましょう。


●その他、注意すること

規則正しい生活を心がけ、生活にリズムをつけましょう。

早起きをし、朝食後に便意の有無にかかわらず排便を試みる習慣をつけましょう。

休日はゆっくり休み、気分転換をしてストレスを解消しましょう。


水泳やウォーキングなどの適度な運動をしてストレスを解消しましょう。

睡眠をたっぷりとって、疲労をためないようにしましょう。


まとめ

現在の生活は、とても豊かで便利になってきています。反面、学校・職場・家庭内なでのストレスも増加した時代ともいえます。ストレスが原因となり、自律神経が乱れて過敏性腸症候群以外にも多くの現代病が問題となっています。ストレスとうまく付き合い、苦しいときは無理をせずに医療機関への受診をお勧めいたします。

アルバ薬局 三宮店
管理薬剤師 長手 祐子




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