アルバ会社説明会



第52号 膀胱炎(急性単純性膀胱炎)

2005/1/30

目次:

※ご覧になる項目を上の目次よりお選び下さい。


膀胱炎(急性単純性膀胱炎)

今年最初の処方箋豆知識は、膀胱炎(急性単純性膀胱炎)についてふれることにします。
急性単純性膀胱炎(以下、膀胱炎)は、男性よりも女性に圧倒的に多く発症します。20〜40歳の女性の25〜35%がかかるといわれており、特に冬に多く発生します。
健康な状態では膀胱の中の尿は無菌で、細菌など感染性の微生物は存在しません。
しかし、何らかの原因で細菌が進入し、尿の通る道、つまり腎臓・膀胱および尿道に細菌の感染が起こって、炎症を起こす病気を尿路感染症(UTI)といいます。
尿路感染症は、感染が起こる部位によって、下部尿路感染症(尿道炎や膀胱炎など)と、上部尿路感染症(腎盂腎炎や尿管炎など)に分類されます。腎盂(じんう)腎炎や膀胱炎は女性に多く、尿道炎は男性に多く見られる病気です。 今回は、尿路感染症の中でもポピュラーな病気の一つ、膀胱炎にスポットを当てることにします。




◇膀胱炎って?

膀胱炎とは、細菌が膀胱の中で増え、膀胱の粘膜に炎症が起こる病気です。
原因となる菌のほとんどが大腸菌で、70〜95%を占めるといわれています。
抗生剤や抗菌剤の服用によってすぐに治りますが、治療をせずに放置すると、まれに腎盂(じんう)腎炎を起こすこともあります。 


◇膀胱炎の原因は?

膀胱炎を起こす原因は、ほとんどが大便中に存在する大腸菌を主とする細菌です。
特に女性は、尿道が4〜5センチと短く太いことや、尿道口が肛門に近いことで、細菌が入りやすく、男性よりも膀胱炎にかかりやすくなります。
また、下腹部の冷えなどにより、膀胱周囲の血行が悪くなると、膀胱炎になりやすいといわれています。この点でも男性に比べて、冷えを訴えることの多い女性に多く発症します。

膀胱には細菌に対する抵抗力があり、また通常、膀胱に侵入した菌は排尿により除去されるため、通常は細菌に感染しないように防御されています。しかし、病気や疲労などで、抵抗力が低下した場合に感染しやすくなります。

生活面では、性行為も膀胱炎の発症に関与していると考えられています。性行為時には、細菌が尿道を通って膀胱にもたらされやすいためです。20〜50歳位の性的な活動を行う女性で、最も多くかかりやすいのはこのためです。40代以降の更年期による体調の変化も膀胱炎の発症に関係しているといわれています。
また、高齢者では、尿を出す力が衰えるため、尿が十分に排出されず細菌が繁殖し、膀胱炎を起こしやすくなります。水分摂取不足による尿量の減少も、排尿による細菌排泄が行われにくくなるため、膀胱炎にかかりやすくなります。

このように、通常は細菌感染から守られている膀胱ですが、細菌感染が起こりやすい状況と、細菌感染に対する抵抗力が低下した場合に、膀胱炎になる危険性が高くなるといえます。

【その他の危険因子】

●尿道閉塞による尿の停滞
●尿道への器具の挿入(カテーテルなど)
●妊娠
●糖尿病
●前立腺肥大症・前立腺炎(男性)

◇膀胱炎ではどんな症状がでるの?

一般的には、以下のような症状が出ることが多いようです。

●トイレに行く回数が増える
●排尿時に痛む
●排尿の終わりにツ−ンとしみる
●排尿しても残尿感がある
●トイレに行ってもまたすぐ行きたくなる
●尿が白く濁ったり、血が混じることもある


これらの症状は、必ずしも起こるとは限りません。尿に血が混じる場合は、排尿の終わりに血尿が見られます。その他、下腹部の不快感・痛みを伴うこともあります。
一般に、膀胱炎で熱が出ることはなく、出るとしても微熱程度です。高熱や腰痛があるときは、細菌が腎臓まで達し、腎盂(じんう)腎炎になっていることもあります。腎盂腎炎では、すぐに入院治療が必要となります。


◇膀胱炎になりやすい人って?

トイレを我慢しがちな人
→長時間尿をためることで膀胱内に細菌が増えやすくなります
生理のときナプキンをこまめに取り替えない人
排便のあと、きれいに拭いていない人
ストレスや過労で抵抗力が弱っている人
ダイエット中の人
→栄養バランスが低下し、免疫力が低下するため
水分をあまり摂らない人
→水分をあまりとらないために尿の回数が少ない

◇膀胱炎の治療薬

まず、病院で尿検査を行い、白血球の数や菌の有無・数・種類などを調べます。
膀胱炎と診断されたら、原因となっている菌に合わせて、適切な抗生物質・抗菌剤を服用します。
尿の検査をするために排尿を少しがまんして受診して下さい。また、受診前に抗生物質を服用していると原因となっている菌が特定できず、適切な治療ができなくなってしまいます。

膀胱炎に有効な治療薬には、ニューキノロン系・ペニシリン系・セフェム系など多くのものがあります。特に、キノロン系は大腸菌に対する抗菌作用が強く、尿路系への移行性もよいため、よく使われています。細菌性の急性膀胱炎では、抗生物質を飲んで菌を殺し、水分をたくさん摂って、排尿量を増やして菌を外に出してしまえば、ほとんどの場合2〜3日で症状はなくなりますが、症状がなくなったからといって自己判断で薬を飲むことを止めずに、出された日数分はきちっと飲むことが大切です。
【ちょっと詳しい抗生物質のお話】
抗生物質は、細菌を殺し、感染を治療するお薬です。鎮痛剤や解熱剤等のように、症状を抑えるだけの薬とは異なり
「症状の原因となっている細菌を殺す」という根本的な治療を行う薬です。

そのため、ある程度の期間(通常は、処方された日数分)は、
きちんと決められた量を決められた時間に飲むことが必要です。症状に応じて、ちょっと良くなったからすぐ止めてしまったり、お薬を飲んだり飲まなかったりすると、菌が完全に死なず、再発してしまうことがあります。

抗生物質の一般的な副作用は、下痢・胃腸障害・口内炎などですが、薬にアレルギーがある場合には、薬疹(薬が原因で起こる蕁麻疹)が出ることがあります。薬疹が出た場合には、その薬が身体に合わないということですので、同じ系統の薬も避ける必要があります。
<抗生剤の種類と特徴>
ペニシリン系
グラム陽性菌に対する殺菌力は、セフェム系抗菌薬よりも優れているといわれています。薬剤に対するアレルギーが他の抗生物質よりも多く報告されていますので、注意が必要です。この他、下痢は比較的多く見られる副作用です。妊婦や授乳婦に対しても安全性が高く、よく使われます。
セフェム系抗生物質
最も一般的で、抗菌スペクトル(薬が効く細菌の種類の範囲)が広く、よく使われます。
副作用は、下痢・胃腸障害などです。妊婦や授乳婦に対しても安全性が高く、よく使われます。
ニューキノロン系
作用は非常に強力で、普通の細菌の他に、大腸菌に対しても効果が強いため、膀胱炎やO−157などの感染性腸炎にも使います。鎮痛剤や胃薬の一部には、一緒に飲むことによって、薬剤の効果に影響が出たり、副作用の出現する場合があるため注意が必要です。妊婦・授乳婦は原則として服用できません。


◇膀胱炎を早く治すには

膀胱炎の症状が出たら、抗生物質を飲んで菌を殺すことが必要ですが、その他にどのようなことに注意すればいいのでしょう。以下、生活の中で注意できることをまとめてみました。

水・お茶・牛乳・ジュ−スなど水分を多くとり、尿をたくさん出すようにしましょう。  
尿をたくさん出すことで細菌も一緒に流されます。

排尿をがまんしないようにしましょう。

香辛料やアルコール類は症状を悪化させることがありますので控えましょう。
尿路・膀胱粘膜を充血させ、菌に対する抵抗力を低下させます。

性交渉は治るまで控えましょう。

からだ、特に下腹部は冷やさないようにし、出来るだけ安静にしましょう。


◇膀胱炎の予防

膀胱炎は日ごろから気をつければ防げる病気です。膀胱炎になったことのある人もない人も次のことに注意してかからないようにしましょう。

トイレは我慢せずにこまめに行きましょう。
下腹部を冷やさないようにしましょう。
水分を多く摂り、尿量を増やしましょう。
排便時は前から後ろに拭きましょう。
外陰部を清潔に保ちましょう。
生理用ナプキンやおりものシ−トはこまめに替えましょう。
過労に注意して、バランスのよい食事を心がけましょう。
風邪などの病気にかからないようにしましょう。
ストレスや疲労をためないようにしましょう。
過激なダイエットは止め、バランスのとれた食事を心がけ免疫力を高めましょう。
性交渉のあとは排尿する習慣をつけましょう。(膀胱内に菌が入る前に出すため)


◇細菌性膀胱炎によく似た症状:
 間質性膀胱炎(かんしつせいぼうこうえん)

症状がよくなったと思ったとたんに再発したり、ひどくなったりを繰り返すようなことがあれば「間質性膀胱炎」の可能性があります。
間質性膀胱炎の主な症状は、頻尿・尿意切迫感で、排尿を我慢すると膀胱に痛みや不快感を感じます。細菌性膀胱炎と症状は似ていますが、原因は細菌感染ではなく、アレルギーや免疫疾患感染・機械的刺激・環境などいくつかの要因が考えられています。薬物治療では、一般的に膀胱の活動性を抑える作用のある「抗コリン薬」が第一選択薬となりますが、治療自体が複雑で時間がかかることが特徴です。

まとめ

急性膀胱炎は、きちんと治療すれば、再発したりクセになることはありません。初期の段階でしっかり治すことが大切です。しかし、高熱や腰痛が起こった場合は、菌が腎臓まで移動し炎症を起こして腎盂(じんう)腎炎になっていることもあります。また、症状がなかなか治らなかったり、繰り返したりするときは、結石やがんなどの別の病気が存在する可能性もあります。自己判断で薬を服用せず、必ず専門の先生に診てもらうようにしましょう。





番外編

◇女性の大敵・冷えを治そう!!
処方せん豆知識第37号「冷え症なんてもうこわくない」参照
処方せん豆知識第37号で「冷え症なんてもうこわくない」と題して、冷え症について触れましたが、今回は膀胱炎に特によさそうな食物や薬湯などを追加しておきます。

「冷え症」は、日本の女性に昔から多いといわれています。冷えの原因はよくわかっていませんが、消化・吸収力の低下・貧血・ホルモンや自律神経の変調など、全身的な生理作用の低下が、直接・間接的に影響すると考えられています。冷え症が直接の原因で重い病気になることはほとんどありませんが、冷え症を治すことによってよくなる症状はたくさんあります。まず、月経不順や月経痛が和らいだり、肌荒れや血色の悪い肌もよくなります。膀胱炎の場合も、下半身の血流を良くし、細胞に新鮮な酸素を送ることで炎症を抑え、治療を早めるだけでなく、予防にも役立ちます。

【からだを温める食べもの】
●お餅
餅は、温の性質をもつ食べ物で、食べればからだを温める作用があると中国の伝統栄養学である「経典」が教えています。
この時期は、雑煮・焼き餅・きなこ餅・草餅なども良いでしょう。大根おろしをからめて食べると消化もよくなり、胃が弱い方でも胸やけはしません。餅はご飯に比較して、量の割に高エネルギ−・高タンパクです。1日2切れ程度を朝食のご飯代わりに食べるとよいでしょう。

●かぼちゃ
かぼちゃには、カロテンが多く含まれており、体内でビタミンAにかわり粘膜を保護し、感染症を予防する働きがあります。これが、野菜の少ない冬にかぼちゃを食べる理由といわれています。かぼちゃは煮物で食べることが一般的ですが、デンプン質が多く甘いため、お菓子などに利用してもよいでしょう。しかし、胃腸の弱い人では、たくさん食べると胸やけを起こしやすくなるため注意が必要です。薄く切って、天ぷらにするのもおいしい食べ方でしょう。冷え性の方は、血液の流れをよくするビタミンEを多く含んだ油を利用すると一石二鳥。いずれにしても、適量を週に数回食べるようにしましょう。

※きゅうり・なす・ピーマンなどの野菜(夏野菜といわれれるもの)はからだを冷やすものが多いため、生で食べずに調理して食べるようにしましょう。

【からだを温めるくすり湯】
からだを温める最もよい方法は、入浴です。特に、くすり湯は体を芯から温めてくれます。40℃前後の湯に、ゆっくりと入るようにし、上がったらすぐに水分を拭き取り、湯冷めしないようにしましょう。
●千葉(ひば)湯
大根の葉を乾燥させたものを「千葉(ひば)」といい、これをくすり湯(入浴剤)にして風呂に入れると保温に役立ちます。
〔作り方〕
大根の葉を、バラバラにならないように根本から切り取り、陰干しします。これを刻んで木綿の袋に2〜3握りいれ、水のうちから風呂に入れて炊きます。

●ゆず湯
「冬至にゆず湯に入ると風邪をひかない」という言い伝えがあるように、ゆずの果皮に含まれる芳香性の油(一般的にはエッセンシャルオイル=精油といいます)が、温熱効果を高める働きがあります。

〔作り方〕
熟したゆずの果実数個を水洗いし、薄く輪切りにして浴槽に浮かべ入浴します。湯の汚れが気になるようなら木綿の袋に入れて浮かべましょう。


◇役立つアロマテラピー:膀胱炎編
植物の花・葉・果皮などの部位から抽出した、有効成分を高濃度に含む揮発性の液体を精油(エッセンシャルオイル)といいます。 水やアルコールで希釈して香りを嗅いだり、キャリアオイル(希釈するために使用する植物油)に混ぜて肌に塗布したりすることで、 気持ちが落ち着ついたり、体の疲れをやわらげるのに役立ちます。また、ほとんどの精油は、細菌やウイルスや真菌などを殺すのに役立つといわれています。ここでは、膀胱炎の予防に役立つエッセンシャルオイルの使い方をご紹介しましょう。

【マッサージ】
マッサージによって、からだを温め、下半身の血の流れをよくし、痛みなどの膀胱炎のつらさを和らげます。
●エッセンシャルオイル
●ティ−ツリ−:菌に対する抵抗力を強めたり、炎症をやわらげる
●ジュニパ−:尿の出を良くする
●ジャーマンカモミール:炎症を抑える

<マッサージオイルの作り方>
キャリアオイルにエッセンシャルオイルが1%程度の濃度になるようにブレンドします。具体的には、25mlのキャリアオイルに、エッセンシャルオイル5滴程を入れて作ります。

【入 浴】
●ラベンダ−・ティートリ−
どちらも、細菌やウイルスに対して抵抗力を持たせ、殺菌作用やウイルスを殺す作用に優れているとされる精油です。
  
浴槽に3〜5滴加えて、よくかき混ぜてから入浴します。ややぬるめのお湯にゆっくりと入るようにしましょう。
  処方せん豆知識第44号「うつ病について」の精油の効能〜うつ〜参照

アルバ薬局 鈴蘭台店
薬剤師 星野 妙子

copyright(c)2006 alba-pharmacy, all right reserved.