アルバ会社説明会



第54号             動脈硬化について

2006/3/29

目次:

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動脈硬化について

高齢化が進む中、『動脈硬化』という言葉が様々なところで見受けられようになりました。“動脈硬化予防”になる食品や健康食品、あるいは喫煙により動脈硬化が促進するなどがそうです。この動脈が硬化するという血管の変化は、老化現象のひとつで「人は血管から老いる」ともいわれています。しかし、個人差はありますが10歳頃からすでに動脈の硬化は見られ、早い人では30歳位ではっきりとした動脈硬化が現れるといわれています。また、生活習慣の欧米化にともない狭心症や心筋梗塞といった心臓の病が年々増加の一途をたどっていますが、これらの病気の原因の大部分は、動脈硬化が進むことによって起こります。
しかし、このような血管の変化は生活習慣や食事・適度な運動をすることで予防ができ、進行を食止めることが可能です。そこで、今回の処方せん豆知識では、動脈硬化がどのようにして起るのか、また動脈硬化を促進する危険因子にはどのようなものがあるのかということについてお話ししたいと思います。



◇動脈硬化とは‐‐‐血管壁に起る病変

動脈は、心臓から送り出された血液をからだのすみずみまで運ぶ血管で、本来血液の圧力に耐えうるだけの弾力性と柔軟性を持ち合わせたしなやかな血管です。
しかし、老化やさまざまな危険因子(動脈硬化を起したり、進めたりする要因)によって動脈の壁が厚くなり、本来の構造が壊れ弾力性が低下して硬くなります。このような状態を動脈硬化といいます。動脈の血管壁にコレステロ−ルを中心とする脂質が沈着し、血管壁が肥厚することによって血管が狭くなり、血液の流れが悪くなったり、目詰まりを起こしたりします。動脈硬化の恐ろしいところは、動脈硬化の初期においてはまったく自覚症状がないうえに、何もせずに放置しておくと動脈硬化がどんどん進行し、心臓病や脳血管障害などいろいろな病気を起こす要因となることです。

動脈硬化は、動脈硬化の原因やおきる部位によって3つのタイプに分類されます。

1. 粥状(じゅくじょう)動脈硬化(アテロ−ム硬化)
比較的太い動脈内膜にコレステロールなどの脂肪からなるドロドロの粥状物質がたまって、次第に肥厚することで動脈の内腔を狭めます。
* アテロ−ム:ギリシャ語で粥(かゆ)という意味


2. 中膜硬化(ちゅまくこうか)
動脈の中膜にカルシウムがたまって硬くなり、中膜が脆くなり、血管壁が破れることもあります。大動脈や下肢の動脈、頚部の動脈に起こりやすい動脈硬化です。


3. 細動脈硬化(さいどうみゃくこうか)
高血圧による変化で、脳や腎臓の中の細い動脈に起き易く、詰ったり(梗塞・こうそく)、血管の壁全体が破裂して出血したりします。

一般に、動脈硬化といえば「粥状動脈硬化(以下、アテロ−ム硬化)」を指す場合が多く、その原因は生活習慣と密接に関連していますので、ここではアテロ−ム硬化についてもう少し掘下げていくことにします。


◇アテロ−ム硬化

アテローム硬化は、比較的太い動脈の内膜にコレステロールなどの脂肪からなるドロドロの粥状物質が溜り、次第に肥厚し血管の内側にふくらんで動脈の内腔を狭めます。このかたまりを粥腫(じゅくしゅ/アテロ−ム)といいます。さらにすすむと、粥腫がつぶれたり、その部分に血栓(血液のかたまり)ができ、血管の内腔はさらに狭くなってしまいます。
このように血管の通り道が狭くなってしまうと、その先にある脳や心筋などの組織に十分な酸素や栄養が送れなくなるため、これらの組織が酸素不足、即ち虚血状態になってしまいます。
さらに、血栓がこの細くなった血管を詰まらせてしまうと、その先に血液が送られなくなってしまい、その先の組織が死んでしまことになります。心臓の筋肉に栄養や酸素を送る冠動脈で血管が詰ってしまうと、激しい胸痛を伴う心筋梗塞(しんきんこうそく)がおこります。
同じく脳の組織に栄養や酸素を運ぶ脳動脈で血栓が詰ってしまうと、脳梗塞(のうこうそく)になります。このように動脈硬化を放置していると、致命的な病気を引き起す原因となってしまう恐れがあります。しかし、危険因子といわれる生活習慣病(糖尿病・高血圧・高脂血症など)や日常生活(食生活・喫煙・運動など)、ストレスなどについて正しく理解すれば、動脈硬化は予防ができ、進行を遅らせることができると考えられています。

◇動脈硬化をすすめる危険因子

動脈硬化を起したり、進行させる危険因子として「男性であること」「加齢」のように、自分ではどうすることもできないものもありますが、「高血圧」「高脂血症」「糖尿病」「高尿酸血症」「喫煙」「肥満」「ストレス」「運動不足」などのように、適切な治療をしたり、自分の意志次第でコントロールできるものもあります。特に、「高血圧」「高脂血症」「喫煙」は、危険因子の中でも重要で、3大危険因子といわれています。

●治療・コントロ−ルが必要な危険因子

〔高脂血症〕
高脂血症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂肪の量が一定の数値以上になった状態をいいます。
処方せん豆知識第23号「高脂血症の話」参照
アテロ−ム硬化では、動脈の内膜にコレステロールなどの脂肪が沈着した状態ですので、この脂質の量が特に重要になってきます。
血液中にLDL(悪玉)コレステロ−ルや中性脂肪などの値が高い状態が続くと動脈硬化を促進させます。逆にHDL(善玉)コレステロ−ルの値が低い状態が続いても動脈硬化を促進させることが解っています。

総コレステロール値は220mg/dl以上
LDL(悪玉)コレステロール値は140mg/dl以上
HDL(善玉)コレステロール値は40mg/dl以下
狭心症や心筋梗塞の合併が増えるとされている


〔高血圧〕
高血圧が心臓病や脳血管の病気の発生に深く関わっていることは、多くの調査ではっきりしてきました。また、高血圧は、細い動脈の硬化を促進するだけでなく、太い動脈に生じる硬化も進める重大な危険因子です。
高血圧の状態では、動脈に強い圧力がかかりますので、動脈壁に傷などを発生させます。この傷から血液中の脂肪分が浸透して、動脈硬化を起こします。動脈硬化がすすむと、血管のしなやかさが失われもろくなったり、血管の内腔が狭くなり血液の流れが悪くなったります。これを改善しようとして、心臓が拍動を強め、そのため血圧が上昇します。このように、高血圧と動脈硬化は互いに悪循環の関係にあります。

動脈硬化が進みやすい血圧
最高(収縮期)血圧が140mmHg以上
最低(拡張期)血圧が90mmHg以上

血圧が高いほど
脳梗塞や心臓病などにかかるリスクは、高くなる

処方せん豆知識第46号「高血圧その1」47号「高血圧その2」参照

〔糖尿病〕
糖尿病の人は、一般に太っている・血液中の中性脂肪が高い・HLD(善玉)コレステロールが低い・血圧の高い人が多いなどのように、動脈硬化を促進させる要件が揃っています。同時に、インスリン抵抗性といって、肥満・運動不足・ストレスなどによって体内での環境が悪くなり、インスリンが充分効果を発揮できない状態、つまり、インスリンが分泌されているのに血糖値が高いことが考えられます。このインスリン抵抗性の状態が強くなると、高血圧・脂質代謝異常などの動脈硬化の危険因子が増大するという悪循環に陥ることになります。
処方せん豆知識第19号「糖尿病」参照

〔肥 満〕
肥満は、糖尿病・高脂血症・高血圧・高尿酸血症などを悪化させることは周知の事実として知られています。
このように、動脈硬化の危険因子はそれぞれが単独で存在するのではなく、互いに関連しているということです。

●動脈硬化を促進させる生活習慣としての危険因子

〔喫 煙〕
タバコが、動脈硬化に対してさまざまな悪影響を与える危険因子といえます。
 例えば、HDL(善玉)コレステロールを減少させ、動脈硬化を促進させるLDL(悪玉)コレステロールを増加させます。同時に、喫煙で血が固まりやすくなり、血栓症を起こす危険も高まります。
 また、タバコの煙に含まれる一酸化炭素が動脈壁の内皮細胞の悪影響をおよぼし動脈硬化を促進させます。
 さらに、喫煙は心筋梗塞など虚血性心臓病の重大な危険因子の一つであり、喫煙者が虚血性心臓病や心筋梗塞になる危険性は、非喫煙者の2〜3倍で、突然死はなんと5〜10倍になるとの報告もあります。
 喫煙は、動脈硬化を促進させる危険因子としてだけではなく、胃ガン・肺ガンやその他の呼吸器疾患など、体にとっても大変悪影響をおよぼします。

これを機会に
禁煙をしましょう!!

〔ストレス〕
ストレスが加わると交感神経の緊張が高まり、血圧が上昇し、脈拍が増え、心臓からの血液量も増えます。同時に、血液をかためる働きのある血小板機能が活性化し、血液がかたまりやすくなります。このような、血液が固まりやすい状態、つまり血液の粘度が高い状態が慢性的になると血管壁への刺激が強くなり、それが動脈硬化を促進させると考えられています。

〔食事と運動〕
食生活や運動が、体をささえる基本であることはいうにおよびません。特に、動脈硬化の危険因子とされる疾患をおもちの方は、主治医の指示に従い食事療法や適度な運動を心がけるようにしましょう。
最近、厚生労働省より発表された記事によると、週に8回魚を食べる人は、週に1回しか食べない人に比べ心筋梗塞の発生が60%も低いことが発表されました。イワシやサバなどの青魚には、エイコサペンタエン酸(EPA)やイコサペンタエン酸(IPA)など良質の脂肪が豊富に含まれており、血液をさらさらにしたり、中性脂肪を下げる作用が注目されています。

◇参 考

閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)
最近、増加している閉塞性動脈硬化症について、簡単に触れておきます。
下肢の血管の動脈硬化がすすみ、血管が細くなったり、つまったりして(閉塞)、充分な血流が保てなくなる病気です。
元来、高齢者に多い疾患ですが、最近は若年層にも見られ、患者が増加しています。
初期の段階では、足の冷感やしびれ感があり、動脈硬化がすすんで閉塞が強くなると、歩行時に足が痛くなり、足運びがうまくできず、やがて歩けなくなりますが、しばらく休むと痛みがとれ、また歩くと痛みが起るという状態を繰返します。さらに進行すると、安静時にも症状が現れることがあります。放っておくと足の細胞が壊死(えし=組織や細胞が局部的に死ぬこと)することもあります。
足の動脈硬化は、喫煙と関係が深いことが知られています。
上記のような症状が続く場合は、年のせいだと思わずに主治医に相談しましょう。

メタボリックシンドロームと動脈硬化
メタボリックとは、「代謝に関係した」という意味で、メタボリックシンドロームとは、「代謝異常症候群」という意味です。
内臓脂肪肥満があると、それを基に1人の人に「耐糖能異常」「脂質代謝異常」「高血圧」「高尿酸血症」などが重なり合って起こる割合がきわめて高いということが知られています。このような状態をメタボリックシンドロームと呼んでおり、多く合併するほど動脈硬化を促進し、脳梗塞や心筋梗塞などを起こしやすくなります。
つまり、メタボリックシンドロームでは、内臓脂肪の過剰な蓄積を上流(重要な原因)と考え、その下流(結果として)「高血圧」「高血糖」「脂質代謝異常」などを引き起し、最終的に心筋梗塞や脳卒中を発症しやすい状態となると考えています。
また、メタボリックシンドロームの治療では、「高血圧」「高血糖」「脂質代謝異常」を個々に治療するのではなく、過剰栄養摂取の制限や適切な運動などのライフスタイルの改善によって、それらの上流にある内臓脂肪を減少させることが有効な治療であると考えています。

〔メタボリックシンドロームの診断基準〕
メタボリックシンドロームでは、内臓脂肪蓄積があることが必須条件になります。
ウエスト周囲径 男性で85cm以上
女性で90cm以上
内臓脂肪面積が男女とも100cm2に相当

内臓脂肪蓄積の他に、次の項目の内2つ以上当てはまる方がメタボリックシンドロームとなります。
中性脂肪 150mg/dL以上
かつ/または
HDL(善玉)コレステロール 40mg/dL以下

収縮期血圧 130mmHg以上
かつ/または
拡張期血圧 85mmHg以上

空腹時血糖 100mg/dL以上

あなたは、当てはまっていませんか!!


〔メタボリックシンドロームの治療〕

目標:内臓脂肪蓄積の改善
生活習慣改善の指導
●食生活の見直し
●適度な運動
●禁 煙



まとめ

動脈硬化は生活習慣病という側面が強く、日常生活とも密接に関係しています。食生活を見直したり、運動を取り入れたり、喫煙などの生活習慣を見直すことでも十分防ぐことが可能です。特に、肥満はメタボリックシンドロームの出発点であることから、肥満の解消は非常に重要な要素といえます。とはいえ、薬を服用することによって血圧や血糖値、コレステロール値を正常に保つこと事自体も動脈硬化予防になっているのですから、大変意義の大きいことです。しかし、薬を飲むというのは、あくまで補助的な手段であって、日常生活のことを決しておろそかにしてはいけません。
生き生きとした血管を保ち、健康で長生きし、人生を大いに楽しみましょう!!

アルバ薬局 みてじま店
管理薬剤師 宮下 等


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