アルバ会社説明会





第56号 尿路結石について

2006/6/11

目次:

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尿路結石について

今回の処方せん豆知識は、「尿路結石(にょうろけっせき)」についてお話しします。
尿路結石は、大変古くから知られている病気で、5,000年前の古代エジプトのミイラからも腎臓や膀胱から結石が発見されています。また、2,500年前頃の古代ギリシャ時代には、既に尿路結石の症状をやわらげるために水分を多く摂ることがすすめられていたそうです。そんな古くからある病気にもかかわらず、まだまだ解らないことが沢山ある病気の一つです。
また、この病気は人種・気候・文化などよりも食事の影響がはるかに大きいといわれています。我が国においても尿路結石が年々増加傾向にあり、食生活の欧米化や、ファ−ストフ−ド・インスタント食品の普及が大きく影響しているのではないかと推測されています。
現に動物性脂肪や動物性タンパク質の摂取量が増えるにつれ、尿路結石の有病率も上がるというデ−タがあり、食生活と大いに関係があることわかります。
では、尿路結石とはどのような病気なのか、もう少し詳しく見ていくことにしましょう。



◇尿路結石とは

尿路結石は、その名前からもっわかるように尿路に石ができる病気です。尿中に溶けているカルシウムやシュウ酸・リン酸などのミネラルが何らかの原因で結晶化して、石にように固まったものを結石といいます。石の大きさは、砂粒のようなちいさなものからこぶし大の大きさのものまでさまざまです。

石が小さければ、痛みをあまり感じることなく尿と一緒に自然に流れ出てしまいますが、石の直径が10ミリ以上になると自然に排出することは困難になります。また、小さくてもギザギザしている石の場合、尿管などにひっかかってしまうと、わき腹や背中にかけて激しい痛みの発作を起こし、静かに寝ていられず、転げ回ったり、冷や汗をかいて苦悶するほどの痛みを感じるといわれています。

また、尿路結石の全国規模の調査によると、男性は11人に1人、女性は26人に1人が一生のうち1度は尿路結石にかかるという結果が出ており、頻度の高い病気といえます。男性が女性の約2倍以上を占め、30〜60代(女性では50〜60代)にかけて多く、こどもには比較的まれな病気です。

結石のできる場所によって名称や症状が異なる

結石のある位置によって、「上部尿路結石」と「下部尿路結石」に分けられます。
 上部尿路結石には、「腎臓結石(じんぞうけっせき)」と「尿管結石(にょうかんけっせき)」があり、いずれも腎臓で結石がつくられ、腎臓にとどまっていれば腎臓結石、尿管まで流れ落ちたものを尿管結石と呼びます。尿路結石の95%以上が、上部尿路結石で占められています。
下部尿路結石には、「膀胱結石(ぼうこうけっせき)」と「尿道結石(にょうどうけっせき)」の2種類があります。これらの結石のほとんどは、膀胱でつくられ、膀胱にとどまっていれば膀胱結石、尿道に下降したものを尿道結石と呼びます。この下部尿道結石は、あまり多くなく結石全体の5%以下で、さらに減少傾向にあるといわれています。

上記のように、結石のできる場所によって症状や石の成分、かかりやすい年代などの違いがあります。
それぞれについて、もう少し詳しく見ていくことにしましょう。

〔腎臓結石〕
結石が腎臓にとどまっている限り、痛みなどの自覚症状はほとんどありません。しかし、痛みがないために結石が大きくなったことに気づかず、結果的に腎臓機能を低下させたり、腎盂腎炎(じんうじんえん)などの合併症を引き起こすことがあるので注意が必要です。

〔尿管結石〕
尿管内にある結石で、腎臓結石が尿管に下降したものです。脇腹や背中にかけて「疝痛発作(せんつうほっさ)」と呼ばれる激しい痛みを伴うことがあります。疝痛発作は、結石が尿管をふさぐために尿の流れが妨げられ、腎臓内の圧力が急激に高まって起こると考えられています。結石がある側のわき腹から下腹部にかけて、突然、激しい痛みが起こり、痛さのあまり転げ回ったり、顔面蒼白で冷や汗をかいて苦悶します。同時に、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。痛みは2〜3時間続きます。また、結石が尿路を傷つけて血尿が出る場合もありますが、目に見えない場合が多く、検査によってわかる場合がほとんどです。

〔膀胱結石〕
腎臓結石が膀胱まで落ちてきたものと、膀胱内でできる結石があります。前者の場合、尿管結石が膀胱に排出されると激しい痛みはなくなり、その結石もほとんどが尿と一緒に自然に排出されことがほとんどです。しかし、結石が膀胱にとどまって大きくなると、排尿痛や頻尿などの排尿障害や血尿が現れてきます。尿管結石ほどの、激しい痛みはありませんが、下腹部にチクチクとした痛みを感じることがあります。トイレが近くなったり、尿がにごるなど膀胱炎とよく似た症状が出るのが特徴です。また、膀胱結石は男性がほとんどで、高齢者に多く見られます。

〔尿道結石〕
膀胱内にできた石が、さらに尿道に下降していったものです。結石が尿道につまると尿が出なくなったり、排尿痛がおこります。目で見てわかる血尿を伴うこともあります。しかし、尿道結石は多くの場合、尿と一緒に自然に排出されます。
また、尿道結石が男性に多いのは、尿道が長いために石がとどまりやすいからで、女性にはほとんど見られません。

結石の成分

石の種類は、代表的に4種類あります。以下、それぞれについて見ていくことにしましょう。

〔カルシウム結石〕
カルシウム結石は、シュウ酸カルシウム結石とリン酸カルシウム結石の2種類があります。シュウ酸カルシウム結石は、尿路結石の中でも最も多く、全体の約80%を占めています。はっきりとした原因はわかっていませんが、動物性脂肪やシュウ酸を多く含んだ食品などのとりすぎに加えて、カルシウムを含んだ食品をあまりとらないなどのバランスの悪い食生活が主な原因と考えられています。
腎臓や尿管といった上部にできる結石のほとんどがカルシウム結石です。

〔リン酸マグネシウムアンモニウム結石〕
別名、感染性結石ともいい、尿素分解菌の感染が原因でできる結石です。抗生剤で尿路感染を抑えることが必要となります。男性に比べて女性に多くみられる傾向があります。

〔尿酸結石〕
尿中に尿酸が多いときにもできますが、尿が酸性になってしまうことが最も大きな原因でできる結石です。高尿酸血症(こうにょうさんけつしょう)・痛風・高尿酸尿症(こうにょうさんにょうしょう)などの代謝異常の人がかかりやすいとされています。また、40〜50代の男性に多く、女性には少ない結石です。

〔シスチン結石〕
尿細管の機能異常によって起こるシスチン尿症という遺伝性の疾患が原因でできる結石です。
10代あるいはそれ以前でも発症し、再発を繰り返すことが特徴です。



◇治療法

治療法には、自然に石を出す「保存療法」と外科的治療を行う「侵襲(しんしゅう)療法」があります。

〔保存療法〕
保存療法とは、自然に石を尿道から出す方法です。尿路感染症などの合併症がなく、結石の大きさ・位置・形などから判断し、自然に排出が可能と考えられる場合に選択される治療法です。   一般に、1日2リットル以上の尿量があれば、自然に石が出やすくなるといわれています。水分を多く摂取するなどの食事療法を行ったり、場合によっては点滴で水分を入れたり、縄跳びなどの運動療法などを取り入れて、尿とともに石を排出させる自然排出促進法という治療を行います。 また、自然排石の補助として薬物療法が用いられることもありますが、薬によって結石を溶かすということに関しては、結石の大半を占めるシュウ酸カルシウム結石を溶かす妙薬は現在のところ見つかっていません。

●結石治療に用いられる主な薬品

治療目的 薬品名 備   考
結石の排出を促進 ウロカルン
ロワチン
上部尿路結石
結石を溶かす ウラリットU
ウラリット
尿酸結石やシスチン結石では、尿がアルカリ化するほど溶けやすくなるので、尿をアルカリ性に変えて、結石を溶けやすくしたり、結石をできにくくする目的で用いる。
ザイロリック
アロシト−ルなど
体内での尿酸の合成を抑える作用があり、尿酸結石に用いる。
チオラ
シスチン結石では、シスチンが水に溶けにくい性質があるので、シスチンを水に溶けやすい状態にする目的で用いる。
再発を予防する ウラリットU
ウラリット
酸性尿の改善を目的に、尿酸結石・シスチン結石の再発予防に用いる。カルシウム結石においても、適切な飲水指導や食事療法によって再発防止が期待できる。
ザイロリック
アロシト−ルなど
高尿酸血症および高尿酸尿を伴う、尿酸結石・シュウ酸カルシウム結石の再発予防に用いる。
酸化マグネシウム
一般に、緩下剤や制酸剤として用いられているが、シュウ酸カルシウム結石の発生防止にも用いられる。マグネシウムがシュウ酸カルシウムと可溶性の複合体を形成することにより、その排泄を促進すると考えられている。
その他 鎮痛剤
鎮痙剤
疼痛緩和に用いる。発作的な痛みが激しい場合は、即効性のある坐薬が効果的。
激しい痛みによる不安定な精神状態の緩和に抗不安薬が用いられることもある。
抗生剤
細菌感染が原因のリン酸マグネシウムアンモニウム結石に用いる。

〔侵襲療法〕
外科的療法で、石が大きく自然排石が困難なときなどに選ばれます。以前は開腹手術で石をとることが多かったのですが、現在では切らずに石を壊すという治療が中心となっています。代表的な治療法として、体の外から衝撃波をあて石を砕き、尿から排出させるMSWL(体外衝撃波結石破砕術・たいがいしょうげきはけっせきはさいじゅつ)があります。他に、TUL(経尿道的尿管砕石術・けいにょうどうてきにょうかんさいせきじゅつ)とPNL(経皮的腎砕石術・けいひてきじんさいせきじゅつ)という内視鏡を使い、石を砕き取り除く治療法があります。


◇再発予防

尿路結石症になった人の半数近くが再発するといわれています。尿路結石症の原因には、食生活や代謝が大きく関係しています。治ったからといって元の生活を続けていると、また結石ができる可能性がありますので、治療後の生活改善が重要となります。

水分を十分にとりましょう
再発予防のためには、まず水分を十分とることがどんな結石でも予防の基本となります。水をあまり飲まないと、尿の成分が濃縮され濃い尿となります。つまり、尿が濃いということは、尿中の尿酸などが濃縮され石ができやすくなりことにつながります。夏に結石になる人が多いということも、水分と関係しています。夏は汗をよくかきますので、体内の水分量が少なくなります。当然、尿も濃くなり、結石ができやすくなります。夏は水分をより多くとるように心がけましょう。また、寝ている間は、尿が濃くなる傾向があります。寝る前に一杯の水を飲むのも有効な方法でしょう。毎日、食事時以外に約2リットルの水分をとるように心がけましょう。緑茶・紅茶・コ−ヒ・ココアはシュウ酸を含んでいますので、水をメインに飲むようにしましょう。

カルシウムをとりましょう
尿中にシュウ酸が多いと尿中のカルシウムと結合して、シュウ酸カルシウム結石が出来やすくなります。そういう意味で以前は、結石にはカルシウムを制限した方がいいといわれていました。  しかし、結石を予防するためには尿中のシュウ酸を減らすことが重要で、むしろはカルシウムを十分にとった方がいいということが分かってきました。つまり、シュウ酸を多く含む食物を食べる時に、カルシウムを含む食物を十分とることで腸内のシュウ酸とカルシウムが結合して、不溶性のシュウ酸カルシウムとなり、便として排出され、尿中にシュウ酸が増えないということがわかりました。 小魚類・大豆製品・緑黄野菜は、低脂肪でカルシウムを豊富に含んでいますので積極的にとるようにしましょう。

シュウ酸の多い食品は食べ方に工夫をしましょう。
シュウ酸は、さまざまな食品に含まれています。特に多く含むものとしては、ほうれん草・ココア・未熟なバナナ・芽キャベツ・レタス・サツマイモ・ブロッコリ−・なす・ピ−ナッツなどがあります。また、コーヒー・紅茶・緑茶・ココアなどの飲み物にも含まれています。上記しましたように、シュウ酸を含む食品を食べてもカルシウム含む食品をを同時に食べれば、シュウ酸の腸からの吸収が抑えられます。例えば、コーヒー・紅茶・ココアなどを飲むときは牛乳を入れる。ほうれん草にはちりめんじゃこやかつお節を添えるなどの工夫をしましょう。これらは、食べてはならなでいのではなくて、食べすぎは良くないということですので、バランスのよい食事を心がけましょう。

動物性脂肪を取り過ぎないようにしましょう
動物性脂肪を含むものを沢山とると、吸収されなかった脂肪が脂肪酸となり、腸内で脂肪酸がカルシウムと結合し、シュウ酸と結合するカルシウムが減少してしまいます。そのため、腸内にシュウ酸が増えてしまい、尿中へのシュウ酸排泄も増加します。肉の脂身は捨てるなどの工夫をしましょう。

動物性たんぱく質もとり過ぎに注意しましょう
たんぱく質にはプリン体という物質が含まれており、体内で分解されて尿酸になります。尿酸は便や尿に混じって排出されますので、動物性タンパク質を多くとると、必然的に尿中に尿酸が多くなります。尿中の尿酸量が多くなると腎臓や尿路で結晶化しやすくなり、尿酸結石や尿酸結晶を核にしたカルシウム結石ができやすくなります。                                また、動物性タンパク質は体を酸性に傾けるといわれています。体が酸性化すると、尿中にカルシウムが増加するということがわかっています。尿中のカルシウムが増えるということは、結石ができやすいということにつながります。(処方せん豆知識第24号「痛風と高尿酸血症の話/参考資料」参照)

尿酸値に注意しましょう
尿酸結石の場合は、尿酸値を下げることが大切です。プリン体を多く含むレバ−・煮干し・魚の干物・干し椎茸・大正エビ・ビールなどは尿酸値を上げます。プリン体からできた尿酸は、尿がアルカリ性になると結晶化せず、溶けて尿として出ていきやすくなるため、アルカリ性食品の海藻類や野菜・みかんやレモンなどの柑橘類を一緒にとるようにしましょう。(処方せん豆知識第24号「痛風と高尿酸血症の話/参考資料」参照)

野菜・海草・果物などを適度にとりましょう
野菜・大豆・海草類などに多く含まれるマグネシウムは、尿中のシュウ酸を減らす働きがあります。また、野菜はアルカリ性の性質があり、体の酸性化を防ぎ、尿中のカルシウムを減らすク工ン酸も含んでいます。特に、オレンジやグレ−プフル−ツなどの柑橘類は、クエン酸を多く含んでいますので、積極的にとるようにしましょう。ただし、市販のジュ−スには糖分も多く含まれていますので、注意が必要です。また、野菜だけではシュウ酸の摂り過ぎにつながこともありますので、カルシウムを含む食物を一緒に食べましょう。

塩分や砂糖もとり過ぎないようにしましょう
砂糖や塩分のとりすぎは、尿路結石に関係なく健康によくありません。                     砂糖のとりすぎは、尿中のカルシウム濃度を上げるといわれています。特に、缶入りのソフトドリンクには、想像以上の砂糖が含まれているだけでなく、リン酸も含まれていますので要注意です! リン酸もリン酸カルシウムの結石をつくる原因となります。                        また、塩分も尿中のカルシウムを増加させるといわれています。他の生活習慣病とも関係が大いにありますので、塩分・糖分のとりすぎには十分注意しましょう。

適度な運動をしましょう
結石を予防するのに、食事と運動は欠かせません。もちろん、他の病気の予防にも運動は大切であることが、最近特に強調されています。また、体を動かすことが少ない職業の人は、結石になりやすいともいわれています。たまに激しい運動をするのではなく、毎日続けられる軽めの運動を心がけてください。特に夏場は、汗を多くかきますので、体の水分量が低下します。結石の予防は、まず水分をしっかりとることですので、水分補給に注意をしながら楽しく運動を続けてください。



まとめ

処尿路結石について述べてきましたが、尿路結石も生活習慣病の一つといえます。食生活を見直し適度な運動を心がけて結石にならないようにしましょう。また、ほうれん草にシュウ酸が多く含まれているからといって一切食べないということは無意味なことです。偏った食事をせずバランスよく食べるということを心がけるべきです。特に、再発予防には水分補給が重要です。これから夏場にかけて、特に水分補給に気をつけましょう。また、アルコ−ル類については、あまりふれませんでしたが、ワインを除くアルコ−ル類は酸性の飲み物なので、体を酸性化して結石ができやすくなります。ビ−ルがおいしい季節になりましたが、ビ−ルにはプリン体も含まれていますので、ほどほどにお願いします。
尿路結石は、結石がなくなっても再発率が非常に高い病気ですので、定期的に専門医で受診することも忘れないようにしたください。

朝陽薬局  甲東園店
薬剤師  清水 奈央


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