アルバ会社説明会



第57号 あせもについて

2006/7/11

目次:

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“あせも”は予防が一番

今回の処方せん豆知識は、「あせも」についてご紹介します。エアコンの普及にともない、昔に比べるとずいぶんと減った「あせも」ですが、汗っかきな子供には今がまさにあせもの季節。今回はそんな「あせも」について予防法と「あせも」になったときの対処法について紹介します。



◇皮膚の構造と働き

皮膚は人の体と外界との境界となる、人の体で最も大きい器官で、その総面積は大人で1.5平方メートル位あるといわれています。その構造は、処方せん豆知識第25号「ニキビげきたい法」でもご紹介しましたように大きく分けると「表皮(ひょうひ)」「真皮(しんぴ)」「皮下脂肪組織(ひかしぼうそしき)」の3層からなっています。また、皮膚の働きは大きく次の4つに分けられます。

1. 体の内部を保護する働き
表皮の中で最も外側にある角質(かくしつ)が外部からの細菌や化学物質の侵入を防ぎます。さらに、体が乾燥するのを防ぎ、紫外線から体を守る役目も果たしています。

2. 体温を調節する働き
真皮にある毛根や汗腺がこの役割を果たしています。暑いときは汗を分泌してその気化熱(汗が蒸発するときに一緒に奪っていく熱のこと)で体を冷やし、寒いときは毛穴を小さくして体温の発散を防ぎます。

3. 外界からの感覚装置としての働き
真皮の層には触覚・温覚・冷覚・圧覚・痛覚という5種類の感覚受容器があり、重要な外界情報の窓口になっています。

4. 皮下脂肪の働き
皮膚の最下層の皮下脂肪は、栄養分の貯蔵庫として重要な役目を果たしています。よい断熱層であり、体温維持の上でも大切です。また、外界からの強い衝撃に対してクッションの役割も果たしています。



◇汗の働き

私たちは、汗をかいていると感じていないときでも、1日1〜1.5Lの汗をかいています。汗の主成分は水で、塩分(ほとんどは塩化ナトリウム)やその他の化学物質も含まれています。
汗は、皮膚にある汗腺から分泌されます。汗腺は全身に約200〜500万個あるといわれ、このうち活発に汗を分泌するもの(能動汗腺)は、日本人で平均約230万個といわれています。汗腺には、エクリン汗腺・アポクリン汗腺という2種類の汗腺があります。
エクリン汗腺は唇・外陰部を除いた全身に分布しており、毛のない手のひらや足の裏にも汗を分泌しています。エクリン汗腺から出る汗は、体温の調節・表皮の代謝・湿度調節などを行っています。それに対して、アポクリン汗腺は腋窩(えきか/わきの下のくぼんだところ)・乳輪(にゅうりん)・ヘソの周り・耳の中・外陰部・肛門周辺にあります。アポクリン汗腺で作られた汗は、毛包の上部から皮膚へ出ますが、ヒトではほとんど機能的な意味はないといわれています。このアポクリン汗腺からでる汗がワキガ臭などにかかわっているといわれています。

エクリン汗腺で作られる汗には、生命の維持のために自然に出る汗(不感蒸泄:ふかんじょうせつ)・高温の環境や激しい運動によって出る汗(温熱性発汗)・辛いものなどを食べたときに出る汗(味覚性発汗)・驚いたり緊張したりしたときに出る汗(精神性発汗)があります。このうち、温熱性発汗があせもの原因となります。


◇あせもの原因

普段の生活で自然に出る汗であせもができることはありませんが、夏の高温多湿の環境で長時間汗をかき続けたり、激しい運動をして短時間のうちに大量の汗をかいたりしたときにできやすくなります。
あせもは、汗の出口が汗に含まれる成分の乾いたもの・ほこり・垢などでふさがってしまうことが原因で、通常ならエクリン汗腺から導管を通じて皮膚表面に出てくる汗が、出られなくなって皮膚の中にたまり、炎症を起こして小さなぶつぶつができたものです。医学的には「汗疹(かんしん)」といいます。

また、最近の研究では汗をかいたまま放っておくと、誰の皮膚にも常在する表皮ブドウ球菌が繁殖し、それが原因であせもができやすくなるということもわかってきました。

赤ちゃんは大人よりあせもができやすい!!

汗腺の数は生まれてから死ぬまで変わらないといわれています。つまり、体の表面積が小さい赤ちゃんや子供では、大人よりも汗腺の密度が高いということです。また、子供のほうが基礎代謝が高いので汗をかきやすく、大人よりもあせもになりやすいといえます。
また、高温多湿な夏だけでなく、冬でも暖房をかけすぎたり厚着をしすぎたりすると、赤ちゃんは汗をかいてあせもができてしまいますので要注意です!!



◇あせもができやすいところ

手のひらや足の裏は、最も汗腺が密集しているところですが、だからといってあせもができやすいわけではありません。むしろ、首・肘の内側・膝の裏側など汗の溜まりやすい場所や、脇の下・股などの皮膚と皮膚がこすれるところ、皮膚と衣服がこすれるところ、特に赤ちゃんの場合はおむつとこすれるおしりや腰などにもあせもがよくできます。
また、アトピー体質の人は表皮のバリアが薄いため、汗の刺激に敏感で、あせもができやすいといえます。

<赤ちゃんのあせもができやすいところベスト3>
1位:おしり・腰
2位:頭・首
3位:背中



◇あせもの種類

汗が皮膚の中に溜まる深さによって3種類に分けられます。

1. 水晶様汗疹 (すいしょうようかんしん)
皮膚の最も浅いところ(皮膚表面の角質層内またはそのすぐ下)に汗がたまったときにできます。高熱を出した後や強い日焼けで起こります。多くは額・下あご・首・前胸部などにできます。その大きさは1〜2mmととても小さく、小さな透明の玉のような水疱が宝石の水晶のように見えることから水晶様汗疹と呼ばれており、また「白いあせも」とも呼ばれています。赤み・かゆみ・痛みといった症状は一切なく、水ぶくれはこするだけで簡単に破れます。放っておいてもひどくなることはなく、2〜3日で自然に治ります。

2. 紅色汗疹 (こうしょくかんしん)
一般にあせもといわれているのは、この紅色汗疹のことです。白いあせもよりも深いところ(角質層より深い表皮内)に汗がたまったときにできるあせもで、「赤いあせも」ともいわれます。暑さの厳しい中で長時間汗をかき続けたり、激しい運動をして短時間のうちに大量の汗をかいたりしたときに突然できます。特に、乳児期の子供に多くみられます。大きさは粟粒大から半米粒大で、赤色のぶつぶつが集まってできます。熱感と強いかゆみを伴い、汗が出るとぴりぴりとした感じがあります。
乳幼児では、摩擦やかき傷によってとびひなどの二次感染を起こすことがありますので注意をしましょう。

3. 深在性汗疹 (しんざいせいかんしん)
表皮より深い真皮内で汗管がつまっておこります。発汗できないので、体内に熱がこもり、熱中症になることがあります。かゆみや赤味はほとんどなく、体中の広い範囲に平たい発疹ができます。この種類は、熱帯地方や高温多湿の環境下で長時間いた人にみられるもので、日本ではほとんどありません。


◇あせもが悪化すると・・・

一般的に見られる赤いあせも(紅色汗疹)は、かゆみが強く無意識にかきむしってしまいがちです。かき傷が化膿して悪化してしまう場合もあります。あせもといえども、2〜3日ごとにまめに経過を見ることをおすすめします。

汗孔周囲炎 (かんこうしゅういえん)
あせもをかきむしったりして、汗孔(汗の出る出口)に黄色ブドウ球菌が感染し、皮膚の浅い部分に膿疱(水疱の中に膿がたまったもの)が生じたもの。これがひどくなると、多発性汗腺膿瘍(あせものより)になります。

多発性汗腺膿瘍 (たはつせいかんせんのうよう)
「あせものより」とよばれるものです。黄色ブドウ球菌が汗の導管を下って真皮深層で増殖し、膿がたまって大きなおできになったものです。頭や顔にできやすく、強い痛みや熱をともなうこともあります。あせもができてから数日の間に悪化し、いったんできると多くの場合は次々とあちこちにできてしまいます。とくに夏は高温多湿でたくさん汗をかくうえに、細菌が繁殖しやすいため悪化しやすく、体温調節の未熟な2歳以下の乳幼児に多くみられます。また、アトピー性皮膚炎がある子供に合併しやすいといわれています。
ひどくなると切開して膿をださなければいけなくなるほか、放っておくとその部分だけ髪の毛が生えなくなったり跡が残ったりすることがありますので、早めに受診することをおすすめします。

◇あせもは予防から

夏は高温多湿な日々が続くため、あせもがくり返し起こることもめずらしくありません。あせもはなってからよりならないことが大切です。汗が出たままの状態で放っておいてはいけません。皮膚を乾いた涼しい状態で清潔に保ち、汗をかきすぎない環境をつくりましょう。

涼しい環境での生活
室温が高くなりすぎると、過度に汗をかく原因になります。風通しをよくし、またクーラーや除湿機を有効に利用して、冷やしすぎず適度な温度と湿度を調節しましょう。

ぬらしたタオルで汗をふきとる
汗をいつまでも肌に残しておくのはよくありません。ぬらした冷たいタオルで汗や汚れをふきとり、汗の出口がつまらないようにしましょう。ひんやり気持ちよくなります。また、お湯でしぼったタオルを使うと、汗腺が開いて中に入り込んでいた汚れが落ちやすくなります。乾いたタオルはぬれたタオルよりも摩擦がおこるので、肌への刺激を考えると控えたほうがよいでしょう。

こまめに着替える
汗をかいて湿った衣服はこまめに着替え、細菌が繁殖しにくい状態を保ちましょう。赤ちゃんでは、おむつのゴムギャザーの部分にあせもができやすいので、衣服だけでなくおむつもこまめに替えてあげるとよいでしょう。

こまめにシャワーをあびる
1日1回の入浴以外にも、日中から、汗をかいたらぬるめのシャワーで流すようにしましょう。過度な入浴は体温を上昇させ、かえって汗をかく原因となります。シャワーは体温があがりすぎないので、1日に何度も汗を流す場合は効果的です。手や軟らかい素材のもので洗い、肌を強くこすらないようにしてください。石鹸が肌に残ると逆に汗の出口がつまる原因となりますので、きれいに洗い流しましょう。

体が乾いてから服を着る
入浴後は、体をふいたあとしばらく裸にしておくと汗をかきません。体がしっかり乾いてから衣服を着るとよいでしょう。

木綿素材の薄いものを身につける
暑いからといって、裸のままでいることはよくありません。汗を吸い取るものがないので逆効果になります。吸水性がよく放湿性の高い木綿素材の衣類を身につけましょう。タオル生地は保温性が高いので、体温がたまりやすく汗をかく原因となります。ガーゼ生地のような薄く風通しのよいものがおすすめです。
寝具も同様で、吸湿性のない合成繊維や、防水性のものにおおわれた寝具は避けましょう。

ベビーパウダーは薄くつける
ベビーパウダーは汗を吸着し、皮膚を乾燥させるものです。ベビーパウダーのつけすぎは、逆に汗の出口をつまらせる原因となります。あせもの予防には有効ですが、あせもができてしまった場合は使用を避けましょう。
赤ちゃんにつけてあげる場合は、お母さんの両手につけてすり合わせ、その手でなでる程度で十分です。

ツメは短くきっておく
かきむしって悪化させないように、ツメは短くきっておきましょう。手を洗い清潔にしておくことも大切です。頭にあせもができている場合は、髪の毛を短く切るとよいでしょう。


◇あせもの治療

少しブツブツができている程度であれば、しばらく様子をみてください。ブツブツが広がってきたり、痒がってかきむしったり、化膿しておできのようになったりしたら早めに受診しましょう。
一般に、軽いステロイド外用薬を使用すれば良くなります。かゆみの強い場合は、抗ヒスタミン剤などのかゆみ止めを内用することもあります。
悪化して化膿してる場合は、抗菌薬を内服し、抗生剤の軟膏を塗布します。多発性汗腺膿瘍に移行しているときは、切開してうみを出す場合があります。



◇昔からの知恵

民間療法として殺菌作用や消炎作用のある薬草をご紹介します。

ビワの葉
ビワの葉に含まれるタンニンには、細菌の繁殖をおさえ、炎症をおさえる作用があるので、かぶれやあせもなどに効果があります。
必要なときに採集し、葉の裏の毛を取り除いて水洗いします。これを布袋にたくさん詰めて、入浴剤としてお風呂にうかべて入浴します。葉の裏の毛はとても細かく、口に入るとのどに刺激を与えることがありますので注意が必要です。
虫さされ・しっしん・かぶれ・あせもなどに、煎じたものを冷湿布しても同様に効果があります。
ビワの葉は外用薬としてだけでなく、煎じて服用することで暑気払いや暑気あたりなどにも大変有用です。

モモの葉
モモの葉にもタンニンが含まれ、殺菌・消炎作用があります。昔からあせもや湿疹・かぶれなどにひろく使われてきました。あせもといえばモモの葉です。
夏に葉をつみとり、生のままかあるいは乾燥させたものを入浴剤として使います。乾燥させる場合は、2〜3日天日干しして紙袋に保存しておきます。乾燥した桃の葉は、漢方薬を取り扱っている薬局・薬店で市販されています。
入浴剤として用いる場合、浴槽の大きさにもよりますが、乾燥した葉30〜50gを500〜600mLの水に入れ、中火で沸騰させ、沸騰したら弱火に変え、約10分程煮立ててください。煎じ終わったら熱いうちにガ−ゼなどでこして、こした薬液を浴槽に入れてください。家族皆で「桃の葉湯」はいかがでしょうか!!
また、塩もみした生の葉を貼り付けても効果があります。
乾燥した葉5〜10gを200〜300mLの水で半量に煎じた液を、ガーゼに浸して患部に塗り、パウダーをはたいておくと早く治ります。ただし、パウダーの使いすぎは逆に汗腺をつまらせる原因になることもあるので注意が必要です。毎日気軽にモモの葉の効果を期待するのであれば、モモの葉ローションもおすすめです。
〔モモの葉ローション〕
モモの葉500g(乾燥したものの場合は150g位)を水洗いし、丁寧に水気をふきとっておきます。ビンにモモの葉を入れ、薬用アルコール500mLを加えて一昼夜漬け込みます。ガーゼでこして葉とカスを取り除き、密閉できるビンにうつしかえます。冷蔵庫で保存しておきましょう。コットンに含ませて、1日数回患部にぬります。かゆみがひどいときは、ガーゼに浸して湿布をするとおさまります。


まとめ

汗のかきすぎは皮膚のトラブルにつながることがありますが、汗は生命維持のために必要不可欠のものです。汗をかかなければ、体温が環境の温度変化に対応できなくなり、生命の危機に陥ります。あせもは一過性のものですし、肌を清潔にして予防することで十分対応できますので、日頃からのスキンケアに心がけ、快適な夏を過ごしましょう。

〜主な参考文献〜
『メルクマニュアル医学百科家庭版』
『新・病気とからだの読本 第6巻』
『医者がすすめる手作りの家庭秘薬』


朝陽薬局  神戸店
薬剤師  吉澤 千絵子


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