アルバ会社説明会





第58号 メタボリックシンドロームについて

2006/8/7

目次:

※ご覧になる項目を上の目次よりお選び下さい。


“メタボリックシンドローム”

今回の処方せん豆知識は、最近よく耳にする「メタボリックシンドローム」についてお話しします。メタボリックシンドロームについては、既に処方せん豆知識第54号「動脈硬化について」で簡単にご紹介しました。今回の処方せん豆知識では、その原因・改善方法・日常生活の注意点などについても触れることにします。

厚生労働省が平成15年に発表したデータによると、男性の30〜50代で肥満者の割合が30%を超えており、女性の60代でも20%を超えています。現代社会における食生活の乱れやストレスが原因とされていますが、誰もが生活習慣病にかかりやすい状況にさらされているともいえます。
また、日本人の死亡原因は、糖尿病・高血圧・高脂血症・心臓病・脳卒中などの生活習慣病が2/3を占めています。特に、心臓病・脳卒中などを引き起こす原因は動脈硬化です。
「メタボリックシンドローム」は、これらの生活習慣病を引き起こす前段階的な状態のことで、動脈硬化を引き起こし悪化させる原因にもなっています。いわば、生活習慣病の予備軍のような状態といえます。
今回は、メタボリックシンドロームについて解説し、多くの生活習慣病は日常生活を少し改善するだけで防ぐことが出来るということを知っていただきたいと思います。




◇メタボリックシンドロームとは

「内臓脂肪型肥満」は、糖尿病・高血圧症・高脂血症・肥満症などの生活習慣病を起こしたり、悪化させる要因として大きく関わっていることが解っています。この内臓脂肪型肥満であって、さらに血糖値・血圧・血中脂質のうち2つ以上に異常(軽度の異常も含む)がある場合をメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と呼んでいます。つまり、メタボリックシンドロームとは、一人の人に内臓脂肪型肥満・高血糖(糖尿病)・高血圧・高脂血症などが重複して存在している状態を指します。

また、これらの生活習慣病や内臓脂肪型肥満は、動脈硬化を引き起こし進行させる要因となります。動脈硬化が悪化していくと心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすだけでなく、人工透析や失明などの重い合併症を招き、最悪の場合は死に至ることもあります。

メタボリックシンドロームの人では、糖尿病を発症するリスクが通常の7〜9倍になるといわれています。また、肥満・高血糖・高血圧・高脂血症などの動脈硬化要因のうち2つの要因を複合的に有している人は、その要因の重度・軽度に関わらず要因を保有していない人と比較して心筋梗塞などを起こす危険性は10倍とされており、3〜4の要因を保有している人は30倍も高いとされています。
日本における中高年世代の男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドロームだともいわれています。

〔メタボリックシンドロームの診断基準〕

メタボリックシンドロームでは、内臓脂肪蓄積があることが必須条件になります。

ウエスト周囲径 男性で85cm以上
女性で90cm以上
内臓脂肪面積が男女とも
100cm2に相当

☆へその周りを測ってください!!  腰の一番細いところではありません。

内臓脂肪蓄積の他に、次の項目の内2つ以上当てはまる方がメタボリックシンドロームの可能性があります。

中性脂肪 150mg/dL以上
かつ/または
HDL(善玉)コレステロール 40mg/dL以下

収縮期血圧 130mmHg以上
かつ/または
拡張期血圧 85mmHg以上

空腹時血糖 100mg/dL以上


◇内臓脂肪型肥満が悪いとされる理由

肥満のタイプ

肥満には、皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満の2つのタイプがあります。
皮下脂肪型肥満は、下腹部・腰のまわり・太もも・おしりの周りなどの皮下に脂肪が蓄積するタイプの肥満です。それに対して、内臓脂肪型肥満は内臓の周りに脂肪が蓄積するタイプの肥満です。また、体型から皮下脂肪型は「洋ナシ型肥満」、内臓脂肪型は「リンゴ型肥満」と呼ばれています。



なぜ内臓脂肪が悪いのか?

脂肪細胞から分泌される生理活性物質を総称して「アディポサイトカイン」といいます。

動脈硬化を予防する「善玉アディポサイトカイン(アディポネクチン)」
動脈硬化を促進させる「悪玉アディポサイトカイン(PAI-1・TNF-αなど)」

正常な状態では、これら善玉・悪玉アディポサイトカインの分泌はバランスよく保たれていますが、
内臓脂肪が蓄積した状態では、善玉アディポサイトカインの分泌量が減り、悪玉アディポサイトカインが過剰に分泌されていることが解りました。
この分泌の乱れが糖尿病・高血圧・高脂血症などの生活習慣病を招き、動脈硬化を進展させると考えられています。また、悪玉アディポサイトカインは皮下脂肪細胞の2〜3倍も多く内臓脂肪細胞から分泌されていることも解りました。
内臓脂肪型肥満が悪い肥満といわれる理由は、このように内臓脂肪が蓄積されればされるほど、悪玉アディポサイトカインが過剰に分泌され、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を引き起こす原因となるからです。

逆に、1年間で体重の5〜10%を減量できれば、善玉・悪玉アディポサイトカインの分泌のバランスが改善し、過剰な悪玉アディポサイトカインにより引き起こされていた糖尿病・高血圧・高脂血症などの生活習慣病が改善されていきます。

◇メタボリックシンドロームを放置しておくと・・・・・



メタボリックシンドロームを放置しておくと、糖尿病・高血圧・高脂血症を引き起こしたり悪化させるだけでなく、やがて動脈硬化を引き起こし心筋梗塞・狭心症・脳梗塞・閉塞性動脈硬化症などの生命に関わる重大な病気の原因となります。また、動脈硬化は初期の段階では、ほとんど自覚症状がなく静かに進行していくやっかいな病気です。


◇メタボリックシンドローム予防と改善

メタボリックシンドロームの改善では、それぞれのリスク要因を個別に治療するのではなく、食生活の見直しや生活の中に運動を取り入れるなどのライフスタイルの改善によって、内臓脂肪を減少させることが最も有効な手段と考えられています。
もちろん、ライフスタイルの改善だけでは高血圧や高脂血症などの軽快が見られない場合は、個別の疾患に即した薬物治療が必要となります。しかし、メタボリックシンドロームは、過剰な栄養摂取と運動不足による内臓脂肪の蓄積を基盤に、複合的なリスクが集積している状態ですので、薬物治療だけで内臓脂肪の蓄積という根本的な原因を解決することはできません。薬物治療だけに頼るのではなく、内臓脂肪を減らすためのライフスタイルの見直しこそが最も重要な改善策であるといえます。
目標:内臓脂肪蓄積の改善
生活習慣の改善
●食生活の見直し
●適度な運動
●禁  煙

ライフスタイルのチェック
メタボリックシンドロームになりやすい生活習慣の例を挙げます。                 あなたは、いくつありますか? たくさんある人は要注意です!!少しずつ生活習慣を改善し、メタボリックシンドロームを未然に防ぎましょう。

腹八分目が守れない。
間食をすることが多い。
お料理の味付けに砂糖をよく使用する。
味付けの濃い料理が好き。
緑黄色野菜をあまり食べない。
アイスクリームが大好き。
階段よりエレベーターを使うことが多い。
日常生活で運動をする機会が少ない。
ストレス解消にお酒を飲むことが多い。
喫煙習慣がある。

肥満度チェック
自分自身が肥満であるかを簡単に算出できる方法として、BMIという計算法があります。BMIは、22が最も理想的で疾患にかかる可能性が最も少ない数値で、25を超えると生活習慣病になる確率が2倍以上になり、30以上では肥満症の治療が必要になります。

BMI=体重(kg)÷身長(m)2
また、メタボリックシンドロームを防ぐためには、まず自分の適正体重を知って維持することが必要です。
EX.) 身長170cm・体重70kg場合、
70÷(1.7×1.7)=24.22となり、
もう少しで肥満1となります。

BMI 判定
18.5未満 やせ
18.5以上25未満 普通
25以上30未満 肥満1
30以上35未満 肥満2
35以上40未満 肥満3
40以上 肥満4
☆標準体重の計算の仕方

適正体重=身長(m)2×22

EX.) 身長170cmの人なら、1.7×1.7×22=63.6kgとなります。
この22という数字は、BMIの最も病気になる確立が低いといわれている数値です。

自分の適正体重を知り、体型をコントロールしましょう。

内臓脂肪を減らす
内臓脂肪を減らすために最も効果的なのは運動です。ゆったりペースで毎日続けられるような運動を生活の中に取り入れましょう。また、好き嫌いなどの偏食や極端に栄養の偏った食事は生活習慣病を招きやすくなります。動物性脂肪を減らし、野菜が多めの献立にしましょう。

1. 毎日運動をする

中高年になると太りやすくなるのは、基礎代謝の低下も原因の一つです。若い頃は基礎代謝が高いので脂肪もしっかり消費してくれますが、年齢を重ねると筋肉量が減り、基礎代謝も低くなって、消化能力も低下するなどの原因で、体内に脂肪という形で蓄積されていきやすくなります。「太りにくい体」を作るには、筋肉量を増やして基礎代謝を上げることが大変効果的です。例えば、ひとつ手前の駅で降りて歩く、エスカレーターではなく階段を使うなど、毎日続けられ負担にならない程度の運動を生活の中に取り入れて、筋力をしっかりつけましょう。

2. 1日3回規則正しい食事を

30〜40代の男性の約半数(30代:52.5%、40代:48.9%)が、決まった時間に食事をとっていないという報告があります。また、近年、朝食を摂らない人の割合が増えているのも問題になっています。朝食を摂ることは生活リズムを整え、ストレスを軽減することにもつながりますので大変重要なことです。1日2食だと、食事と食事の間が長くなるので、その間のエネルギーを確保するために、インスリンの分泌が活発になり脂肪を貯えやすくなります。また、お腹がすくために、ついつい1食あたりの食事量も増えてしまうという面もありますので、1日3回規則正しい食事を心がけましょう。

3. バランスの取れた食事を

健康にとってバランスのとれた食事をすることは、最も大切なことです。食事の内容だけでなく、過食やアルコールの取りすぎに注意することも重要なことです。理想的な食事は「1日30品目を目標にバランスよく腹8分目を心がけること」といわれていますが、一人暮らしの方や外食の多い方などでは難しいことです。
そこで、内臓脂肪がたまりやすい食品に注意することを心がけてください。          脂っこいもの・甘いもの・カロリ−の高い食べ物・濃い味付けのものなどは出来るだけひかえるようにして、ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富な野菜を積極的に食事に取り入れましょう。
また、サバやイワシなどの青魚には、エイコサペンタエン酸(EPA)やイコサペンタエン酸(IPA)など良質の脂肪が豊富に含まれており、血液をさらさらにしたり、中性脂肪を下げる作用があります。こちらも食事に積極的に取り入れましょう。また、最近では、これらのサプリメントも手頃な値段で販売されていますので、それらを利用することも検討しましょう。


内臓脂肪を減らす
タバコは、動脈硬化に対してさまざまな悪影響を与える危険因子といえます。
例えば、HDL(善玉)コレステロールを減少させ、動脈硬化を促進させるLDL(悪玉)コレステロールを増加させます。同時に、喫煙で血が固まりやすくなり、血栓症を起こす危険も高まります。
また、タバコの煙に含まれる一酸化炭素が動脈壁の内皮細胞に悪影響をおよぼし動脈硬化を促進させます。
さらに、喫煙は心筋梗塞など虚血性心臓病の重大な危険因子の一つであり、喫煙者が虚血性心臓病や心筋梗塞になる危険性は、非喫煙者の2〜3倍で、突然死はなんと5〜10倍になるとの報告もあります。
喫煙は、動脈硬化を促進させる危険因子としてだけではなく、胃ガン・肺ガンやその他の呼吸器疾患など、体にとっても大変悪影響をおよぼします。
☆禁煙外来が保険適用になりました。 これを機会に禁煙をしよう!!

まとめ

メタボリックシンドロームの診断基準や予防法についてお分かりいただけたでしょうか? 「生活習慣を改善する」というと難しそうに聞こえますが、最初からあきらめず、少しずつ頑張ることが大切です。メタボリックシンドローム自体は、まだ病気といえませんが、本文でも書きましたように放置しておくと命に関わる病気を引き起こします。診断基準にあてはまっても目に見える形では症状は分かりません。だからこそ、自分自身が気づかないうちにメタボリックシンドロームにかかっている可能性があります。この処方せん豆知識が、少しでも皆様の生活習慣を見直すきっかけになれば幸いです。


アルバ薬局  新長田店
薬剤師  竹野 有希


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