アルバ会社説明会





第60号 副鼻腔炎(ふくびくうえん)

2006/10/10

目次:

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“副鼻腔炎(ふくびくうえん)”

今回の処方せん豆知識は、よくある鼻の病気“副鼻腔炎”についてお話しします。
“副鼻腔炎”という病名は聞いたことがない方も“蓄膿症(ちくのうしょう)”という病名には聞き覚えがあるのではないでしょうか? 副鼻腔炎は、俗に言う蓄膿症のことです。鼻症状のある最も一般的な病気は“かぜ”ですが、副鼻腔炎もかぜと同様によく見られる病気の一つです。鼻の重要な機能の一つは、においを感じ取る“嗅覚”ですが、嗅覚障害の原因で一番多いのが副鼻腔炎です。
「副鼻腔って何?」という方もいらっしゃるでしょうから、まずは、簡単に鼻のしくみと副鼻腔についてお話ししてから、副鼻腔炎について述べていくことにします。



◇ 鼻のしくみ

鼻の重要な機能の一つが、においを感じ取る“嗅覚”であるのは、皆さんもよくご存知でしょう。この嗅覚器官としての働きの他に、もう一つ、重要な機能があります。それは、「肺に出入りする空気の主な通り道」としての働きです。つまり、肺に出入りする空気に含まれるちりなどを取り除いてきれいにしたり、肺に冷たい空気が入らないよう空気を暖め、湿り気を与えて気管支や肺を守るという役目です。


◇ 鼻の構造

鼻は、外鼻・鼻腔・副鼻腔の3つの部分からできていますが、日常で“鼻”というと、顔の前に突き出た部分(外鼻)のみをさして呼ばれています。それは鼻のごく一部でしかなく、実際の“鼻”の構造は非常に複雑で、顔面の約3分の1を占めるさまざまな洞窟(どうくつ)からできています。それぞれの部分について、もう少し詳しく説明することにします。

●外 鼻(がいび)
顔の正面に突き出して、一般に鼻といわれる部分です。

●鼻 腔(びくう)              
鼻の穴の奥からのどに続く空間のことです。鼻腔は、血管が密集した粘膜に覆われており、表面積も広いため、外気を素早く暖め加湿することができます。空気と共に吸い込んだほこりなどの粒子や細菌などの異物は、鼻粘膜細胞から分泌される粘液で吸着され、線毛(せんもう)という小さな毛の働きによって、鼻孔(鼻の穴)またはのどまで運び出されて、気道から除去されます。この働きのおかげで、肺に入る空気は、あらかじめきれいにされています。

●副鼻腔(ふくびくう)                  
鼻腔からつながった顔面の骨の中にある空洞のことで、鼻腔を取り囲むように左右対称に4種類あります。これらの空洞は、骨の強さや形を保ちつつ顔全体の骨の重量を軽くすることにも役立っています。

篩骨洞(しこつどう) 両目の間にあり、蜂の巣のように複雑な小さな空洞からできている
前頭洞(ぜんとうどう) おでこのところにある
上顎洞(じょうがくどう) 両側のほおの部分にある
蝶形骨洞(ちょうけいこつどう) 鼻の奥の一番深いところにある

副鼻腔も鼻腔と同じように、粘液や線毛によってほこりや細菌などを除去しています。
副鼻腔と鼻腔は、小さな穴でつながっていて、粘液で吸着されたほこりや細菌などは、線毛の働きにより、その小さな穴から鼻腔へと運ばれます。

副鼻腔炎の説明に入る前に、鼻の重要な機能である“嗅覚”についても、少しお話しておきます。


◇ 嗅覚について

嗅覚については、他の感覚(視覚・聴覚・味覚・触覚)のように、まだ完全には解明されていませんが、そのしくみはかなり複雑なようです。
一般に、動物はヒトよりもずっと嗅覚が敏感とされていますが、ヒトでも最高1万種類のにおいを識別できるといわれています。
例えば、視覚はずっと同じものを見続けていたからといって、ものが見えなくなることはありませんが、嗅覚は同じにおいを嗅いでいるとにおわなくなったり、自分の放つにおいには気付かないという性質があります。

《においを感じる仕組み》

鼻腔の上部には、においを受け取る嗅細胞(きゅうさいぼう)があります。嗅細胞は線毛をもち、この線毛はさまざまな化学物質に反応し、刺激を受けると神経インパルスを生じます。神経インパルスは鼻のすぐ上の頭蓋骨内にある嗅球(きゅうきゅう)の神経細胞へと送られ、嗅神経(きゅうさいぼう)によって脳に伝えられ、においとして認識されます。
色々な種類のにおいをどのようにしてかぎ分けているのかは、現在でも詳しいことは解っていないようです。

においを受け取る<嗅細胞>
神経インパルス
<嗅 球>
においを伝える <嗅神経>
<大 脳>
においとして認識


◇ 副鼻腔炎とは

副鼻腔の粘膜が炎症をおこした状態です。
副鼻腔には、4種類あるということは先に述べましたが、副鼻腔炎は、これら4種類のどこにでも起こります。上顎洞(じょうがくどう)が最も頻度が高く、次に篩骨洞(しこつどう)が多いようです。左右のどちらかだけに炎症を起こすことは少なく、両方が同時に炎症を起こすのが一般的です。
短期的な急性副鼻腔炎と、長期にわたる慢性副鼻腔炎があります。

●急性副鼻腔炎
かぜのときなどの急性鼻炎にひきつづいて、細菌の二次感染によって、粘膜の炎症が鼻腔から副鼻腔に波及しておこります。まれに、虫歯や外傷からの感染が原因の場合もあります。

〔症 状〕
炎症を起こした副鼻腔に痛みや腫れが起こります。
主な症状としては、発熱・悪寒・頭痛・頭が重い感じがする・ほおの痛み・歯の痛み・目の奥の痛み・黄〜緑色を帯びた鼻汁(初めはうすく水っぽいが、だんだん濃くなり、膿のような黄から緑色を帯びた鼻汁となる)・においのある鼻汁・息苦しい(鼻腔の奥からのどに鼻汁がたれて気管をふさぐため)・鼻づまりなどがあります。

〔治 療〕
炎症や粘膜の腫れをとる治療が行われます。

薬の服用
抗生物質(細菌を殺す)・タンパク分解酵素剤(膿を排泄しやすくする)・消炎鎮痛剤(炎症を抑え痛みをとる)

噴霧法(鼻ネブライザ−・点鼻薬)
鼻腔内の鼻汁を取り除いた後に、抗生物質や消炎剤などの薬液を噴霧器を用いて霧状にし、鼻腔より吸入して副鼻腔に薬を直接到達させる治療法をネブライザ−療法といいます。また、鼻づまりがひどい時には、粘膜の腫れをとり、鼻腔〜副鼻腔間の通気を良くする目的で、鼻腔内に血管収縮剤の点鼻薬をスプレ−します。
上顎洞穿刺(じょうがくどうせんし)
症状が強い場合や、薬の服用やネブライザーの使用でも症状の改善が見られない場合には、鼻腔から上顎洞に針を刺し、中にたまった膿みを吸い出す方法です。

急性の場合には、自然に治ったり、薬の服用により比較的短期間に、簡単に治ります。
しかし、副鼻腔炎の炎症が長引くと、膿を排出する粘膜の働きが悪くなり、粘膜自体が腫れあがって、さらに炎症が治りにくくなり悪循環に陥ってしまい、慢性化してしまうことがあります。症状が治らない場合は、耳鼻科を受診し慢性化しないように医師の指示に従いましょう。



◇ 慢性副鼻腔炎

副鼻腔炎の症状が8〜12週間以上続く場合をいいます。慢性副鼻腔炎の原因は複雑で明らかではありませんが、急性炎症の繰り返しやウイルス感染・重症のアレルギ−・大気汚染・遺伝的要因などが関係していると考えられています。

〔症 状〕
急性副鼻腔炎とほぼ同じですが、急性に比べると症状はかなり軽く、痛みや熱もほとんどありません。主な症状としては、鼻づまり・粘りのある鼻汁・においが分からない・息苦しさ(鼻腔の奥からのどに鼻汁がたれて気管をふさぐため)・頭が重い(急性ほどひどくはない)などがあります。

〔治 療〕
急性副鼻腔炎と同じように、初めは、薬の服用(抗生物質・タンパク分解酵素剤・消炎鎮痛剤)や鼻ネブライザ−を使用します。しかし、慢性化した状態では、充分な効果が得られないことも多いため、最近では、マクロライド系抗生物質の少量長期投与がポピュラ−になっています。

マクロライド系抗生物質の少量長期投与
抗生物質は通常、抗菌作用による効果を期待して使用しますが、マクロライド系の抗生物質には抗炎症作用や免疫系の作用もあることが知られています。炎症を抑える作用を持つマクロライド系の抗生物質を使用することによって、鼻の粘膜の炎症を改善する治療が行われています。抗炎症効果が出るのに数ヶ月かかるため、少量(通常量の半量)を3〜6ヶ月程度続けて服用します。薬剤としては、クラリスロマイシン(薬品名:クラリシッド・クラリスなど)・ロキシスロマイシン(薬品名:ルリッド)・エリスロマイシン(薬品名:エリスロシン)などがあります。


マクロライド系抗生物質の少量長期投与をおこなっても症状の改善が見られない場合や、レントゲン検査やCTでの経過観察で軽快が見られない場合には、手術が行われる場合もあります。




◇ 併発する鼻の病気:鼻茸(はなたけ)

鼻ポリープとも呼ばれます。慢性副鼻腔炎が続き、肥厚した粘膜の一部が浮腫を伴って異常に成長し、鼻腔にまであふれて鼻腔を塞ぎます。
同様に、副鼻腔の通路も塞ぎ、さらに副鼻腔炎を悪化させるという悪循環をもたらすこととなるため、薬物治療だけでは難しい場合があります。このような場合には、手術によって鼻茸の除去と副鼻腔炎の病的粘膜を除去し、副鼻腔への通路の通気改善を図るという治療が行われます。



◇ 小児の副鼻腔炎について

小児で、咳・痰のからんだ咳がいつまでも続く、発熱・鼻汁・喘鳴(喘息のようなにヒュ−ヒュ−という呼吸音)などの症状が10日以上続いたり、このような症状を繰り返す場合は、副鼻腔炎が原因となっていることがよくあります。かぜがきっかけとなって副鼻腔炎が発症し、悪化している場合がよく見られます。特に小児の場合、症状が鼻水や鼻づまりという典型的なものよりも、咳や鼻水・鼻づまり・発熱などの呼吸器症状など、かぜや気管支炎と似た症状であることが多いため、耳鼻科以外の領域では、副鼻腔炎が見過ごされることもあるようです。また、中耳へ鼻汁の細菌が入って急性中耳炎になったり、中耳への空気の通りが悪くなるために浸出性中耳炎(処方せん豆知識第34号 耳のお話 参照)を起こしやすくなります。咳や鼻水・鼻づまり・発熱などの呼吸器症状が長引いて、改善が見られないときには、副鼻腔炎の併発を疑って耳鼻科を早めに受診するようにしましょう。


まとめ


副鼻腔炎は、本人の副鼻腔の構造的特徴や体質など、先天的な要因が影響することも多いため、なかなか予防することが難しい病気の一つです。ウイルスや細菌によるかぜなどに続いて起こることを考えると、かぜをひかないように注意することが、予防の一つであるといえるでしょう。偏食を避けて栄養のバランスのとれた食事を心がけることや、適当な運動で体を鍛えて抵抗力をつけることが、日常生活において気をつけるべき基本となります。喫煙や過度の飲酒は、鼻腔内の血管をうっ血させるので注意して下さい。急性から慢性へと移行することも多い疾患ですので、かぜのような症状が長引くときには、早めに耳鼻科受診をすることをおすすめします。
慢性の場合には、治るまでに長い期間を要するため、根気強く、しっかりと治すことが大切です。



アルバ薬局  鈴蘭台店
薬剤師  冨依 美里


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