アルバ会社説明会



第65号 シミについて

2007/03/28

目次:

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“シミについて”

今回の処方せん豆知識は、お肌の天敵ともいえる「シミ」を取り上げることにします。
シミは、「チロジナーゼ」という酵素の働きにより、色素細胞で作られたメラニン色素が皮膚に沈着し、淡褐色から黒褐色の境界が比較的はっきりした斑となったものです。
通常は、皮膚のターンオ−バー(新陳代謝)によって新しい皮膚と入れ替わりますが、このターンオ−バーが上手くいかずに、メラニン色素が残ってしまったのがいわゆる「シミ」です。
思春期から更年期まで広い年齢層で発生します。かゆみや痛みなどの自覚症状がないのが特徴です。



◇ 皮膚の構造とシミの関係

皮膚の構造は、処方箋豆知識第25号「ニキビげきたい法」でもご紹介しましたように大きく分けると「表皮(ひょうひ)」「真皮(しんぴ)」「皮下脂肪組織(ひかしぼうそしき)」の3層からなっています。

さらに、表皮は外側から角質層・顆粒層・有棘層・基底層からなっています。
表皮の細胞は常に基底層から生まれ有棘層(ゆうきょくそう)→顆粒層→角質層(角層)へと変化しながら移動し、最後に古くなった角質層は角片となって自然にはがれ落ちます。このサイクルを「皮膚のタ−ンオ−バ−」といいます。基底層でつくられた細胞が、角質細胞になるまで約14日間、さらに角質細胞となってから角片となってはがれ落ちるまで約14日間かかるといわれています。つまり、通常28日サイクルで皮膚の新陳代謝を繰り返していますが、高齢になるにしたがって、この28日サイクルが長くなっていくといわれています。※1

※1 皮膚のターンーオーバーに要する時間は、基底細胞の細胞周期を加えずに使われるのが一般的なようですが、正しくは基底細胞の分裂周期(2〜3週間)と角質細胞になるまでの時間(1〜3週間)、はがれ落ちるまでの時間(2週間)の総和で表されます。ターンーオーバー時間は皮膚の状態や年齢・身体部位などによりかなりの変動幅があります。


<角質層の重要な役割>

★外界の刺激から皮膚を守る障壁
角質層の最も重要な働きは「バリア」としての機能です。
肌の一番表面にある角質細胞(死んだ細胞)の層が角質層です。場所によって異なりますが、顔では約20層の角質細胞がレンガのように積み重なってできており、厚さは0.02ミリほどです。
角質層がなければ、体の水分が蒸発し、乾燥してしまいます。同時に、ウイルスや細菌・紫外線などの物理的刺激や化学物質・ホコリ・ダニなどのアレルゲンなどが体内に侵入してしまいます。
レンガのように積み重なった角質細胞の隙間は、「細胞間脂質」と呼ばれる成分で埋められて角質細胞どうしをつなぎ合わせています。細胞間脂質の約40%が最近話題のセラミドで、あとは遊離脂肪酸などが含まれます。
健康な角質層は、約20〜30%の水分を含んでいますが、細胞間脂質により角質層の水分は保持されています。角質層の水分が低下すると、いわゆる乾燥肌になり、同時にバリア機能も損なわれます。

★シミの原因物質メラニンって・・・実は人間の身体を守る大切な働きをしています

「メラニン」は紫外線を吸収して散乱する働きがあり、実は細胞を紫外線の害から守る重要な物質なのです。

皮膚のメラニンは、表皮と真皮の境界である基底層の上に並んでいる「メラノサイト(色素細胞)」と呼ばれる細胞で作られます。
強い紫外線を長く浴び続けていたり、繰り返し浴びると、メラノサイトは紫外線の肌への侵入を防ごうとして「チロジナーゼ」というメラニンを作る酵素を活性化します。このチロジナーゼがアミノ酸の一種であるチロジンに働きかけて、メラニンが作られます。
作られたメラニンは、周囲にある表皮細胞に移動してターンオーバーによって角質とともに自然にはがれ落ちます。しかしメラニンが多量に作られると通常のターンオーバーでは追いつかなくなるため、表皮に残って色素沈着をおこし、やがてシミとなって肌に現れます。

★角質層の最後・・・役目を終えると・・・

皮膚の表面には絶えず皮脂と汗とが分泌されています。皮脂腺から出た脂(毛穴から出てきます)と汗や水蒸気がうまく混り合って、天然クリームの薄い膜を作っています。これは皮脂膜といわれ、皮膚の表面をおおっていて、皮膚に潤いとなめらかさを与えています。
皮脂膜に外からのほこりがつき、それに角片がまざってできたものが、俗にいわれている「垢」です。



◇ 主なシミの種類

シミは、年齢やできる部位によりいくつかのタイプに分けることができます。次に、主なシミの種類と特徴をご紹介しましょう。

●肝斑(かんぱん)

主に顔面のほほ・こめかみ・目の下・額(ひたい)などに左右対称に見られ、色は暗褐色で境界がはっきりしています。「肝斑」といういい方は、このシミの色が肝臓の表面の色に似ているからといわれています。
このシミのできる主な原因は、やはり紫外線で、紫外線の強い春から夏にかけて、増えたり色が濃くなったりします。
もう一つの原因として、女性ホルモンが影響しているといわれ、妊娠とも深く関わっており、成人女性に多く見られますが、思春期から更年期まで、広い年齢層で発生します。また、経口避妊薬の連用でも生じることがあります。

●老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)

男女を問わず高齢者のほとんどにみられ、大小様々な褐色または黒褐色の色素斑で薄茶色の盛り上がりのないシミが、体中に生じます。特に顔・腕・手の甲などの直接日の当たるところに多くみられます。また、肝斑のように左右対象にはあらわれることはありません。
長年にわたって日光(紫外線)を浴びることにより、皮膚にメラニンが蓄積されることが原因とされています。



●雀卵斑(じゃくらんはん)

一般的には「そばかす」と呼ばれています。直径数ミリくらいの大きさの薄茶色の色素斑が、鼻を中心に両ほほにかけて散らばるようにできます。遺伝的要素が強く、色の白い人に多く見られます。小さい頃から見られるのも特徴です。

●炎症後色素沈着(えんしょうごしきそちんちゃく)

火傷・にきび・かぶれ・傷など、炎症が治った後にできる茶色い痕のことです。時間がたてば消えることもありますが、消えるまでの間に日焼けしてしまうと、消えなくなることもあります。


◇ シミの主な原因

シミができる原因には、様々な要因がありますが、全てが解明されたわけではありません。ここでは、その主なものについてお話しします。

●紫外線

先程もご紹介したように、紫外線を浴びると皮膚を守ろうとしてメラニンが生成されます。若いときは、大量の紫外線を浴びても皮膚のターンオーバーが正常ですので、生成されたメラニンは角質とともに自然にはがれ落ちます。しかし、皮膚の老化にともないターンオーバーの期間が長くなるため、メラニンが表皮に蓄積されシミとなってあらわれます。また、いったん薄くなったシミも紫外線を大量に浴びることで色が濃くなることがあります。

●精神的ストレス

精神的ストレスが続いたり、自律神経のバランスが崩れている状態が続いたりすると、ストレスから身体を守るために脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモンが分泌されます。この副腎皮質刺激ホルモンは、副腎から副腎皮質ホルモンを分泌するほか、メラニン細胞のメラニン合成を刺激するといわれています。

●ホルモンのアンバランス

妊娠・月経不順・経口避妊薬の服用により、シミが発症・増悪することからホルモン異常が原因と考えられています。妊娠によるシミは、分娩後2〜3ヶ月すると自然に消えていくことが多いようです。また、経口避妊薬についても、同様に服用を中止するとシミは消えることが多いようです。

●その他

冷え性・血行不良・喫煙・不規則な生活・睡眠不足・便秘なども原因の一つと考えられています。
例えば、冷え症や血行不良では、新鮮な血液が皮膚まで届かないので、皮膚に十分な栄養を与えられずにターンオーバーのリズムが狂ってきてしまいます。



◇ シミの治療について

レーザー治療・フォトフェイシャル(光治療)・ケミカルピーリング・外用薬(レチノイン酸・ハイドロキノンなど)・内服薬(トラネキサム酸・ビタミンCなど)などの治療方法が、症状によって使い分けられていますが、一般的には保険対象外です。
ひと言で「シミ」といっても、多くの種類があり、種類別に適した治療法も異なりますので、自己判断せずに必ず専門医の診察を受け、シミのタイプ別に適切な治療をすることが必要です。


◇ 生活上の注意点

いったんシミができてしまうとシミを消すことは容易なことではありません。日頃の生活を見直し、シミを作らないようにしましょう。

日焼けをしない
シミを予防するには、メラニン色素を必要以上に作らないことが大切です。
紫外線が強くなる5月から夏にかけてはもちろんのこと、日差しが暖かく感じる冬場であってもしっかりと日焼け止めクリームなどを使用して紫外線をカットすることが大切です。処方せん豆知識第31号「紫外線と日焼け」参照
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洗顔にも注意
正しい洗顔により、古い角質や深部の汚れをしっかりと落とすことが大切です。
化粧や石けんの残りカスも、肌にとっては刺激物となります。しかし、ゴシゴシ洗いは禁物です。ゴシゴシこすらずに、泡で包み込むように汚れを落としましょう。
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肌の保湿
乾燥肌になると、肌のバリア機能が低下するので外部からの刺激を受けやすくなり、シミの原因のもなります。洗顔後は、化粧水で十分保湿をした後、乳液などで肌の表面に油分を補いましょう。
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血行をよくしましょう
血行が悪くなると代謝が低下し、肌がくすみやすくなります。日頃からゆっくりと入浴するなど、体を冷やさないようにしましょう。

規則正しい生活を心がけましょう
肌のターンオーバーが最も活発になるのは、午後10時〜午前2時といわれています。夜更かしや睡眠不足はターンオーバーの妨げになり、シミの原因となります。
また、バランスのとれた食生活を送り、肌に十分栄養を与えることは、肌のターンオーバーを正常にします。




◇ 美肌維持に効果的なビタミン・ミネラル

ビタミン・
ミネラル
はたらき 不足すると
ビタミンA・
β−カロチン
1. 皮膚や粘膜上皮の分化、増殖の調節

2. 免疫機能の維持

3. 抗酸化作用(βカロテン)

ビタミンAが不足すると、皮膚が乾燥してカサカサになり、皮膚のバリア機能が落ちてしまいます。しかし、ビタミンAは、身体にたまりやすく、摂りすぎると過剰症が問題となります。
ビタミンAの過剰症には、皮膚の剥離(はくり)・食欲低下・悪心・嘔吐・頭痛などの症状が出ることが知られています。
過剰症を避けるため、摂取にはβ−カロチンがよいでしょう。
ビタミンB群 脂質・糖質・蛋白質の代謝に不可欠です。 のぼせる・毛細血管拡張(赤ら顔)・頭皮のフケがでる・舌や口腔・口唇・口角の炎症が起きやすくなります。
皮膚では、ビタミンB2(リボフラビン)とB6(ピリドキシン)が特に重要です。

ビタミンC
1. コラーゲン合成に必要

2. 抗酸化作用により、ビタミンEと共同してラジカルや活性酸素の消去に働く

3. シミや日焼けによるメラニンの増加に対して美白効果を持つ

コラーゲンを作るためにビタミンCは重要な働きをします。ビタミンCが不足すると、コラーゲンが上手く作られずに、皮膚や粘膜・血管などで細胞間の結合が弱くなります。このため、歯茎から出血する・傷が治りにくくなる・肌のハリがなくなる・骨や歯が弱くなるなどの症状が出やすくなります。また、メラニン色素が沈着してシミやそばかすが現れたり、免疫力が落ちて風邪をひきやすくなったりします。
ビタミンE
1. 抗酸化作用
ビタミンEは、活性酸素と呼ばれるフリーラジカルを消去して酸化を防ぎ、過酸化脂質の生成を抑制する

2. 生体膜安定化作用

3. 血行促進作用(血管保護作用)         
4. 血管の透過性を抑え、酸化したLDL(悪玉コレステロール)を防ぐ働きが報告されています。

5. ホルモン分泌調整作用

6. 抗血栓作用
血小板が固まるのを抑えたり、過酸化脂質を低下させたりすることにより、血栓ができるのを防ぐと考えられています。

血行が悪くなり、冷え性・肩こり・頭痛・しもやけ・肌がカサカサになるなどの症状が出てきます。また、女性ホルモンの働きにも関わっており、月経不順や月経痛が起こりやすくなるともいわれています。
亜鉛
1. 200種類以上もある亜鉛含有酵素の構成成分。様々な化学反応に関与する

2. 核酸代謝、特にチミジンの生成は亜鉛がないと進まない(亜鉛は、DNA合成をコントロールしている)

皮膚炎・脱毛・創傷治癒遅延・免疫機能低下などが起こるといわれています。
※食物中のフィチン酸・食物繊維・銅・鉄などにより吸収が落ちることがあります。


まとめ

シミにとって、大敵は何といっても紫外線です。年中、紫外線を防御する必要がありますが、5〜8月頃は、1年の中でも最も紫外線の強い時期ですので、特に注意が必要です。いくらシミを消したり薄くするための治療や美白化粧品を使用しても、紫外線防御なしには十分な効果は得られません。日焼け止めをこまめに塗ることが基本ですが、日傘や帽子なども上手に利用しましょう。


アルバ薬局  兵庫駅前店
管理薬剤師  桾本 愛子


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