アルバ会社説明会





第66号 腰痛について

2007/05/01

目次:

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“腰痛について”

今回の処方せん豆知識は「腰痛」についてお話しします。腰痛は病気ではなく、原因となる病気や状態(姿勢・生活習慣など)から生じてくる症状のひとつです。腰痛は、5人中4人が生涯のある時期に経験するといわれるぐらい大変多い症状のひとつで、様々な原因によって起こります。腰痛は、年齢とともに訴える人が多く60歳以上では半数の人が何らかのきっかけで腰痛を起こしているといわれており、高齢化にともない増加するものと思われます。また、運動不足による筋力の低下や内臓の病気・ストレスなども腰痛の原因とされています。
まず最初に、背骨の構造と腰痛の関係について説明します。




◇ 背骨(脊柱・せきちゅう)の構造と腰痛の関係

背骨は、私達の身体を支える支柱となっています。32〜34個の脊椎(椎骨・ついこつ)が重なってできたもので、上から順に7個の頚椎(けいつい)・12個の胸椎(きょうつい)・5個の腰椎(ようつい)・その下に骨盤と連結する5個の仙椎(せんつい)・さらに3〜5個の尾椎(びつい)から成っています。それぞれの椎骨の間には、クッションの役割をする軟骨状の椎間板(ついかんばん)があります。さらに椎間板は繊維輪(せんいりん/周辺の硬い部分)と、髄核(ずいかく/中心部分)で構成されています。
腰痛の代表格ともいえる椎間板ヘルニアは、椎間板の線維輪が何らかの原因によりさけ目ができて中の髄核がはみ出し、神経を圧迫することで腰痛が発生します。

背骨の中には、脳から命令を伝える非常に重要な神経が走っており、腰椎(第2腰椎)にいたると神経が束状(馬尾神経)になり、腰椎の間にある椎間孔という穴から出て枝分かれし、手や足の先まで伸びています。従って、腰椎に障害が起きると神経が圧迫されて腰痛を引き起こします。

背骨は、身体を横から見た時、S字形に湾曲しており、この湾曲は脊椎にかかる負担を和らげ、バランスを取る働きをしています。背骨は、腹筋・腰背筋と靭帯(じんたい)で支えられており、これらの筋肉が背骨を支えることにより、自由に体を曲げたり動かすことができます。しかし、これらの腰部の筋肉が姿勢の悪さや生活習慣などによって疲労を繰り返し筋力が弱ると、椎間板などに負担をかけ腰痛を引き起こす原因になります。


◇ 腰痛の原因となる病気

腰痛の原因は、姿勢の悪さ・激しい運動や労働・肥満・老化・背骨の病気・内臓の病気・精神的ストレス・事故など様々ですが、腰痛の原因となる病気には以下のようなものがあります。

●椎間板ヘルニア(ついかんばんへるにあ)

椎間板ヘルニアは、頸から腰までどの場所にも発生する可能性がありますが、ほとんどは腰の部分で起こります。椎間板は、20歳代頃から繊維輪と髄核の水分が徐々に失われ、繊維輪が傷つきやすくなります。激しい運動や長時間一定の姿勢を強いる作業、重い物を持つなどにより、繊維輪が亀裂を起こしさけ目ができて中の髄核がはみ出し、神経を圧迫することで腰痛が発生します。腰椎への運動負荷の多い30〜50歳代によく発症します。

〔症 状〕

腰〜おしりにかけての痛み・足先にはしる痛みやしびれ・少し歩くだけで足に痛みやしびれがあらわれるが、少し休むと再び歩けるようになる(間欠性跛行・かんけつせいはこう)など。さらに進行すると、足に力が入らなくなったり、排尿や排便に異常をきたします。

●腰椎分離症(ようついぶんりしょう)・腰椎すべり症(ようついすべりしょう)

腰椎分離症は、腰椎の椎間関節の間で骨が分離したもので、第4・第5腰椎の間で多く発症します。原因としては、体質的に骨が弱い場合や子供の時期に激しい運動を繰り返したことによる疲労骨折が原因とされています。
腰椎すべり症は、腰椎が前方にずれた状態であり、腰椎分離をともなう腰椎分離すべり症と分離をともなわない腰椎変性すべり症があります。分離の有無にかかわらず、加齢に伴う腰椎の老化現象によりすべり症が発症すると考えられています。

〔症 状〕

腰の痛み・長時間の立ち仕事や同じ姿勢を続けたり重労働のあとに痛みが強くなる・体を後ろに反らせると痛みが強くなる・足のしびれや痛みなど。さらに、すべりが大きくなると、少し歩くだけで足に痛みやしびれがあらわれます。

●変形性腰椎症(へんけいせいようついしょう)

加齢や同じ姿勢での繰り返しの作業・激しい運動などによって、椎間板が変性し弾力性が失われ、クッション作用が弱くなります。
その結果、椎骨同士がぶつかったり、椎間関節がすり減ったりすることで、椎骨に棘状の骨の突出(骨棘・こつきょく)ができたり、椎骨の並びにずれが生じて変形します。
変形性腰椎症は、レントゲンの異常所見をいうもので病名ではありません。また、レントゲンの異常所見が強いからといって、症状がひどいというわけではありません。

〔症 状〕

腰に鈍痛とこわばり感があり、少し無理をすると腰痛が出る。動き始めに痛みを感じますが、体を動かしていると痛みが軽減するのが特徴です。また、立ち上がるときや寝返り時に強く痛むのも特徴です。

●腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)

生まれつき脊柱管の狭い人もいますが、加齢による椎間板や椎間関節の老化・変形などにより、脊柱管が狭くなり、脊柱管の中を通っている神経が圧迫されるために痛みが起こります。

〔症 状〕

腰痛やお尻の痛み・足先にひびく痛みやしびれなど。特徴的な症状としては、少し歩くだけで足に痛みやしびれがあらわれるが、少し休むと再び歩けるよ
うになる(間欠性跛行)があります。

●骨粗しょう症(こつそしょうしょう)

骨粗しょう症は、骨密度が減少し骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。(処方せん豆知識 第16号「骨粗しょう症」参照)
骨密度が低下すると、日常生活におけるささいな外圧でも圧迫骨折をおこし腰痛を引き起こします。骨折を繰り返すと腰が「く」の字のように曲がった状態になります。

●ぎっくり腰(突発性腰椎捻挫・とっぱつせいようついねんざ)

膝を伸ばしたまま前かがみになって重い荷物や物を持ち上げたり、急に身体をねじったり、長時間中腰で仕事をしていたり、十分なウォーミングアップなしで激しい運動をするなど、腰に負担をかけたときに痛みを感じます。また、くしゃみや咳をした瞬間に起こることもあります。
筋肉・靱帯・椎間板・椎間関節の捻挫や損傷が痛みの原因です。


〔症 状〕

耐え難い腰痛で、動けなくなることがあります。一般に、症状は腰痛のみで、足の痛みやしびれ、間欠性跛行などの症状はありません。

●慢性腰痛症(まんせいようつうしょう)

いつ痛めたのかははっきりわからないものの、じわっとした痛みが常にあり、ときどき痛みが強くなるがいつの間にか楽になるようなものを、慢性腰痛症といいます。
原因としては、悪い姿勢・運動不足・肥満などが考えられます。



◇ 腰痛の治療

腰痛の治療には、保存療法と手術療法(詳細は省略)があります。基本的には手術によらず、薬物などによって痛みを軽くし、姿勢の矯正や筋肉の強化などによって再発を防ぐ保存療法をとります。 
急激な痛みを伴うぎっくり腰や椎間板ヘルニアなどは、まずは安静にすることが大切です。エビのように丸くなって寝ることや、コルセットなどを用いて腰から腹部にかけての安静を図ります。
使用薬剤としては、痛みを止め炎症をおさえる消炎鎮痛剤・湿布・坐薬、筋肉の緊張を和らげる筋弛緩剤、末梢神経の損傷による痛みやしびれを改善するビタミンB12などが用いられます。その他、脊柱管狭窄症などでは、末梢血管を拡張する目的で血管拡張薬(プロレナール・オパルモンなど)が用いられます。骨粗しょう症・内臓の病気・精神的ストレスなどによって腰痛が引き起こされている場合は、その原因になる病気を治療しなければなりません。
病状に応じて理学療法や運動療法などもとり入れます。
その他、椎間板ヘルニアなどで痛みが激しい場合には、局所に麻酔剤をうつ神経ブロック療法が行われることもあります。


◇ 日常生活の注意点

●腰にはこんなに負担がかかっています!

椎間板は、背骨のクッションの役割をしていますが、実は姿勢によってそれにかかる圧力には大きな差があります。
立っているときの腰にかかる圧力を100とすると、姿勢によって以下のようになります。腰痛の人は、座っているよりも立っている方が楽な場合が多いようです。

いすに腰掛けて前傾すると 186
立って上体を軽く前に傾けると    150
椅子にまっすぐ腰掛けると 140
立っているときの圧力 100
横向きで寝たときには 75
あお向けに寝た時には  25

●腰に負担をかけない姿勢

立ち仕事のときの姿勢
長い間立って仕事をする場合は、片足を踏み台などに載せてしましょう。

物を持ち上げるとき
持ち上げる物に体を近づけて、膝を曲げて腹筋に力を入れて持ち上げましょう。
腕力だけで持ち上げようとすると、腰に負担がかかります。

前かがみの姿勢では
洗顔などで前かがみの姿勢をする場合は、膝を軽く曲げて行いましょう。

ハイヒールは、3cm以下にしましょう。

座っているとき
股関節より膝関節が高くなるようにしましょう。
反り返って座るのは禁物。


●腰痛の予防

歩くことで腰椎をささえる腹筋・背筋・臀部の筋肉がきたえられます。


水泳は、腰に負担がかかりにくく筋力強化に最適ですが、長時間の平泳ぎは上体を反らすので腰に負担がかかります。

肥満は腰に負担がかかりますので、解消しましょう。


まとめ

人間が2本足で歩く生き物である以上、他の脊椎動物よりも背骨に余計な力がかかりやすく、腰痛が生じやすいといえます。腰痛は誰にでも起こりうる症状です。
腰痛の主な原因は、筋力の低下と加齢による骨の変性といえます。日頃から、筋肉を鍛えるためのウォーキングやストレッチを取り入れ、腰に負担をかけない姿勢を心がけましょう。また、バランスのとれた食生活は、筋肉や骨の衰えを防いでくれます。
腰痛の中にも大きな病気が隠れている場合がありますので、自己判断せず整形外科を受診するようにしましょう。


朝陽薬局  甲東園店
薬剤師  清水 礼奈


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