アルバ会社説明会



第70号 関節リウマチについて

2007/10/02

目次:

※ご覧になる項目を上の目次よりお選び下さい。


関節リウマチについて

今月の豆知識は、関節リウマチについてお話いたします。

関節リウマチ(Rheumatoid arthritis:RA)は、手足をはじめとする全身の関節に痛みや腫れを生じる、炎症性の病気をいいます。現在、わが国では70〜100万人が関節リウマチに悩んでいるといわれています。女性に圧倒的に多く、男性の3〜4倍といわれています。どの年齢でも発症する可能性がありますが、発症のピークは30〜40歳代です。
今の段階では、関節リウマチのはっきりした原因や確実な治療法は分かっていません。したがって、関節リウマチはできるだけ早く発見して治療を始め、病気の進行を遅らせることが最善の方法となります。



◇ 関節の構造

わたしたちのからだには、68個の関節があります。関節は骨と骨を連結しており、関節包(かんせつほう)によって包まれています。関節包は外側の線維包(せんいほう)と内側の滑膜(かつまく)によって構成され、骨の間には関節腔(かんせつくう)といわれる隙間があります。関節腔は滑液(かつえき)で満たされており、滑液は関節の動きを滑らかにする潤滑油の役割を果たしています。

関節リウマチでは、骨を包む滑膜が炎症を起こし、増殖して厚くなり腫れます。炎症が慢性化すると、骨や軟骨が破壊されて関節が変形します。


◇ 関節リウマチの症状

関節リウマチというと、関節の腫れ・痛みが特徴的なために“関節局所の病気”と思われることが多いのですが、実際は、関節以外の症状を伴う全身の炎症性疾患です。

関節の症状
《こわばり》
関節が動かしにくくなる状態です。朝起きたときに最も強く感じるので“朝のこわばり”といわれます。一般的には、少なくとも30分以上続きますが、使ううちにだんだん動かせるようになります。

《関節の痛み・腫れ》
特に症状が現れやすいのが、手首や手足の指の関節です。症状が左右両側の関節に“対称性”に現れるのが特徴です。


《指の変形》
炎症が長期間続くと、関節の組織や軟骨の破壊が起こり、手足の指にリウマチ特有の変形が見られます。指が変形することで日常生活への支障も現れます。
ボタン穴変形 白鳥の首変形 尺側偏位 槌趾変形

全身の症状
《初期にみられる症状》
関節リウマチは非常にゆっくりと進行する病気です。ごく初期の症状として、倦怠感(だるい感じ)・食欲不振・微熱などが見られます。

《リウマトイド結節》
皮膚症状として、外から圧迫されやすい肘や膝・後頭部・お尻などに、こぶのような硬いものができることがあります。痛みはありません。関節リウマチの活動性が高いときにできやすく、大きさが変わったりなくなったりします。

《その他》
関節リウマチが進行すると、貧血や体重減少がみられます。その他、心臓・肺・腎臓・眼・血管など全身のさまざまな部位にも炎症が起こるため、息切れ・空咳、目の乾き・充血・視力低下、口の渇き・口内炎などがみられることがあります。


◇ 関節リウマチの重症度による日常生活に与える影響

関節リウマチの重症度によって日常生活に与える影響を以下の4つのクラスに分類できます。

クラス1 身体機能は完全であり、自分の身の回りのこと・普通の仕事・趣味やスポーツなど不自由なく全部できる。
クラス2 体を動かすと1〜数ヶ所の関節に苦痛や運動制限があるが、自分の身の回りのこと・普通の仕事はなんとかできる。
クラス3 自分の身の回りのこと・普通の仕事はごくわずかにできるか、ほとんどできない。
クラス4
寝たきりあるいは車椅子に座りきりで、自分の身の回りのこともほとんど、できない、あるいはまったくできない。


◇ 関節リウマチの経過のタイプ

関節リウマチの経過は人により様々で、症状の現れ方や進行の仕方に違いが見られます。
経過によって主に以下の3つに分類することができますが、初発時に経過を予測することはできません。

分類 症状・進行
単周期型 症状が数年で消えて、ほとんど治ったような状態になり、軽く終わるタイプ(30%)
多周期型 良くなったり悪くなったりを繰り返すタイプ
増悪型 繰り返しながら、徐々に関節症状が悪化する(30%)
寛解型 徐々に症状がおさまっていく(30%)
進行型 症状が急速に悪化するタイプ(10%)


◇ 関節リウマチの原因

関節リウマチの原因は不明な点が多く、はっきりとは分かっていませんが、免疫機構の異常であると考えられています。人には体を守る免疫機能が備わっていますが、関節リウマチの場合は、免疫細胞が自分の体を攻撃してしまうことにより、関節に炎症を起こすと考えられています。
また、遺伝的要素があり、家族に関節リウマチにかかった方がいる場合は、いない場合よりも4倍発症率が高くなります。
また、女性に多くみられる原因として、女性ホルモンが関係していると考えられます。とくに、妊娠すると関節リウマチの症状が一時的に軽減し、出産後は増悪します。
その他、過労やストレス、栄養不足なども誘因として考えられています。


◇ 関節リウマチの検査

関節リウマチにおいては、診断・活動性の評価・副作用や合併症のチェックなど、多くの検査を行います。また、1回の検査では診断を下せず、経過を観察しながら何回か検査を繰り返すこともよくあります。
検査項目には、主に以下のようなものがあります。

検査項目 検査の目的・ポイント
血液検査 免疫 リウマトイド因子 関節リウマチの炎症の原因となる“免疫異常”を調べる因子です。患者の8〜9割で陽性となりますが、関節リウマチでなくても陽性となることもあります。この検査のみでは関節リウマチの診断はできませんが、診断上重視される検査項目です。
炎症 赤沈値 体内に炎症があると、赤血球が沈む速度(赤沈)が早くなります。この値は、炎症や組織崩壊の程度を反映します。様々な病気で異常値を示すため、この検査のみでの診断はできませんが、関節リウマチの炎症の程度とかなり相関します。
CRP 体内に炎症が起こると、血液中にCRPという蛋白があらわれます。全身の炎症を表す指標で、炎症の程度を最も敏感に反映します。関節リウマチの活動性や治療効果のチェックに有用です。
赤血球数 関節リウマチでは貧血を合併しやすくなります。赤血球は酸素の運搬の役目をしており、赤血球が減少すると酸欠状態になり、貧血が起こります。
白血球数 関節リウマチの炎症により、白血球が増加します。白血球が少ない場合は、薬の副作用も考えられます。
ヘモグロビン ヘモグロビンは赤血球の成分です。増加すると多血症、減少すると貧血が考えられます。
X線検査 関節 骨の破壊や骨のびらんなどを確認し、症状が進まないようにコントロールするのに役立ちます。
胸部 リウマチの症状が胸部に及ぶと、間質性肺炎・気道病変・胸膜炎などの呼吸器障害の合併が見られます。
抗リウマチ薬(DMARDs)による薬剤性の肺障害や、ステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)・免疫抑制剤による日和見感染などにも注意が必要です。


◇ 関節リウマチの診断

関節リウマチの診断基準としては、1987年に米国リウマチ学会で作成されたものが、世界的に広く使用されています。
下にあげた7項目のうち、4項目以上が認められれば、関節リウマチと診断されます。
これらの診断基準は医師向けに示されたものですが、わたしたちでも簡単にチェックできる項目もありますので、一度自己チェックしてみてください。

関節リウマチの診断基準(1987年・米国リウマチ学会)


1. 朝のこわばりが少なくとも1時間以上続く
2. 3ヶ所以上の関節領域の腫脹(炎症による腫れが見られる)
3. 手首・中手指節関節(手指のつけ根の関節)・近位指節関節(手指の第2関節)の腫脹
4. 対称性関節腫脹(左右の同じ関節に腫れがある)
5. 手・指のX線の変化(手・指に定型的なレントゲン像が見られる)
6. 皮下結節(リウマトイド結節)がある
7. リウマトイド因子陽性

1.〜4.は6週間以上持続


関節リウマチは、できるだけ早期に治療をはじめる必要があります。しかし、早期のリウマチを診断するには、この基準では少し厳しすぎるという意見もあります。そのため、発症1年以内の早期関節リウマチの診断を目的に、以下の診断基準が作成されました。
6項目のうち、3項目以上当てはまれば、早期関節リウマチとします。


早期関節リウマチの診断基準(1994年・日本リウマチ学会)


1. 3関節以上の圧痛または他動運動痛(指で押さえたり動かしたりすると痛みを感じる)
2. 2関節以上の腫脹(炎症による腫れが見られる)
3. 朝のこわばりが15分以上続く
4. 皮下結節(リウマトイド結節)がある
5. 赤沈20mm以上の高値またはCRP陽性
6. リウマトイド因子陽性

1.〜3.は1週間以上持続


◇ 関節リウマチの治療

関節リウマチの治療のポイントは、“痛み・炎症を抑え、関節の破壊を今以上進行させない”ことです。残念ながら、関節リウマチの原因がはっきりしていない今日では、根本的に治療することは大変難しいといわざるを得ません。生活指導を基本に、薬物療法により痛みや炎症を抑え、リハビリテーションにより身体機能を保持・改善することになります。

<薬物療法>

種類 作用 一般名(商品名)
抗リウマチ薬
(DMARDs)
■炎症の原因である“免疫異常”に作用して、炎症が広がるのを抑え、病気の進行を抑えます。
■一般的に、効果があらわれるまでに1〜数ヶ月かかると言われています。そのため、効果判定は1〜数ヶ月の長い期間で行います。すぐに効果があらわれないからといって、自己判断で勝手に中止しないようにしましょう。
■効果は、一度現れると比較的長く続きます。
免疫調節 金チオリンゴ酸ナトリウム(シオゾール)
オーラノフィン(リドーラ)
ペニシラミン(メタルカプターゼ)
ロベンザリット二ナトリウム(カルフェニール)
ブシラミン(リマチル)
アクタリット(オークル・モーバー)
サラゾスルファピリジン(アザルフィジンEN)
免疫抑制 レフルノミド(アラバ)
メソトレキサート(リウマトレックス・メソトレキセート)
非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs) ■痛みや炎症を抑えます。
■即効性があります。
■関節リウマチでは長期間服用することが多いため、副作用である胃腸障害が問題となり、注意が必要です。
◆多くの種類があるため、効果や副作用を考慮しながら、処方が決定されます。
最近では、胃腸障害の少ない新しいタイプのNSAIDsも出ています。
ステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤) ■炎症を抑える作用が強力であるため、関節炎がひどい場合や、発熱やリンパ腺の腫れ・全身症状が強い場合などに用います。また、肺・心臓などに重症の合併症がある場合にも用います。
■副作用を考慮して、少量から使用し、効果があらわれたら減量したり休薬したりします。服用量の調節が難しいため、必ず医師の指示に従って服用するようにしてください。
◆多くの種類があるため、効果や副作用を考慮しながら、処方が決定されます。
◆関節リウマチ以外にも、免疫に異常のある他疾患にも用いられます。
生物学的製剤(抗サイトカイン製剤) ■関節リウマチにおける炎症反応や免疫機能に関係する「TNF」という物質の働きを直接抑えます。
■DMARDsに比べて、非常に高い抗炎症作用がありますが、投与中には感染症(肺炎・結核など)に注意が必要です。
■従来の治療で効果が見られない場合に用います。
◆日本で使用されているのは、下記の2種類でともに注射薬です。
インフリキシマブ(レミケード)
エタネルセプト(エンブレル)

<手術療法>

適切な薬物療法やリハビリテーションを行っても痛みが緩和されない場合や、関節の障害がひどく、歩けないなど日常生活が困難な場合に、手術が検討されます。
■滑膜切除術:痛みの原因となる増殖した滑膜を取り除き、炎症を鎮めます。
■人工関節置換術:関節を金属・セラミックス・超高分子ポリエチレンなどの材料で置換し、破壊の進んだ関節の機能を取り戻します。

<リハビリテーション(リハビリ)>

筋力の回復や、関節可動域を広げる訓練を行います。基本的に、関節が痛くても、リハビリは毎日継続して行う必要性があります。毎日リハビリを行っている人は、いない人よりも痛みやこわばりの改善が見られる割合が多いといいます。ただし、どのような運動をどの程度行えばいいかということは、あらかじめ医師にも確認しておく必要があるでしょう。日常生活がある程度可能な方であれば、日常生活の中で、家事や仕事をすることもリハビリになります。あまり難しく考えすぎずに、「毎日根気よく・無理をせず・自主的に」行うことを心がけて下さい。


◇ 関節リウマチにおける日常生活

■十分な睡眠をとりましょう。
関節リウマチは全身が疲労します。また、関節リウマチの活動性が高いときは、微熱があり疲れやすくなります。睡眠をしっかりとるだけでなく、昼寝も効果的です。

■適度な安静を保ちながら、適度な運動を行いましょう。
関節の痛みがあるからと言って安静にばかりしていると、関節が固まって動かなくなってしまい、日常生活にも支障をきたしてしまいます。適度な安静を保ちながら、運動を行うことが大切です。ただし、無理は禁物です。主治医とよく相談して行うようにしてください。

■規則正しいバランスのとれた食生活を心がけましょう。
特に食べてはいけないものがあるわけではありません。鉄分やカルシウムが豊富で、バランスのとれた食事をとりましょう。関節への負担をかけないために、体重の管理は必要です。

■湿気に注意し、関節を冷やさないようにしましょう。
関節リウマチの症状が悪化する原因には、体の冷えや湿気があります。夏はエアコンによる冷えに注意し、冬は防寒対策をしっかりしましょう。サポーターを使用して関節を冷やさないようにしたり、除湿機を利用して湿気を除いたりすると効果的です。また、入浴や温かいシャワーで関節を温めると、関節の痛みやこわばりが和らぎます。

■その他
寝 具:ベッドは布団よりも寝起きの動作が楽に行えるのでお勧めです。
トイレ:和式よりも、足の関節に負担の少ない洋式がお勧めです。


まとめ

関節リウマチは、早期に病気を発見して治療を始めることが、病気の進行を遅らせる最善の方法です。また、関節リウマチかどうかの診断には、検査値だけでなく自覚症状も大きなポイントとなります。少しでも関節の痛みやこわばりが感じられたら、早めにお医者さんにかかるようにしてください。


アルバ薬局  甲南病院前店
管理薬剤師  鵜鷹 奈美


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