アルバ会社説明会





第78号 ステロイド(副腎皮質ホルモン)外用剤はこわくない!

2008/9/9

目次:

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“ステロイド(副腎皮質ホルモン)外用剤はこわくない!”

今回の処方せん豆知識では、ステロイド外用剤について取り上げることにします。
皆さんは「ステロイド」と聞くとどのようなイメ−ジを持っていますか?
ステロイドと聞けば、きついお薬である、副作用が多そう、あまり使ってはいけないというイメ−ジがあるかもしれません。

実際、私たち薬剤師がステロイド外用剤が処方されている患者さまから、「使って大丈夫?」と聞かれることはよくあります。
怖いという印象のせいで、処方されたステロイド外用剤を患者さま自ら中止してしまい、その結果よくなっている症状が悪化してしまうこともよくあります。
ステロイド外用剤は医師の指示通りに使用すれば決して怖いものではありません。むしろ、治療の上では症状を早く確実に治すために必要な薬です。ステロイド外用剤に対する怖いイメ−ジをなくし、安心して治療を受けることができるように、私たち薬剤師はお手伝いできればと思っています。




◇ ステロイド外用剤ってホルモンなの?

みなさんは、「ステロイド」と聞いてどのようなイメ−ジをお持ちですか?

ここでは、ステロイド外用剤について説明をしますが、その前に、まず「ホルモン」の説明をしましょう。
ホルモンとは、体の中の特定の器官で作られ、血液中に放出されて、血液の流れにのって体の中を駆け巡り、特定の器官でその働きを調節する生理活性物質のことをいいます。
生体内で活躍するホルモンは、生体環境の調節・ストレスに対する生体の反応・成長のコントロ−ル・生殖機能の発達などに微量で重要な働きをしています。
これらのホルモンは、その構造から大きく

・ペプチドホルモン (タンパク質の原料となるアミノ酸が数百個つながっている構造をもつもの)

・ステロイドホルモン (コレステロ−ルを原料とし、ステロイド骨格をもつもの)

・アミノ酸誘導体 (アミノ基を持つアミノ酸が他の物質と結合した形をとるもの)

の3つのグル−プに分けられます。

今回取り上げた、ステロイド外用剤は、「副腎皮質ホルモン剤」ともいわれます。
副腎皮質とは腎臓の上にある副腎という臓器の外側の部分で、ここから私たちの体の活動に必要な様々なホルモンが分泌されます。
この副腎皮質から分泌されるこれらのホルモンを、総称して「副腎皮質ホルモン」といいます。

副腎皮質ホルモンは、大きく以下の3つに分けられます。

1)硬質コルチコイド(電解質コルチコイド)
2) 糖質コルチコイド
3) アンドロゲン(性ホルモン)

この中で、糖質コルチコイドにはいろいろな炎症を抑える働きがあり、この働きお薬として利用するために、科学的に合成されたものが「ステロイド剤」または「副腎皮質ホルモン剤」と呼ばれるもので、内服薬・外用薬・
注射薬などがあります。


◇ ステロイド外用剤の抗炎症作用

皮膚科領域で多くみられる、湿疹・皮膚炎などの非感染性の炎症疾患に対し、ステロイド外用剤は、強い抗炎症作用を発揮し、症状を和らげたり治癒に導いたりします。

■血管透過性の抑制

紅班※1や浮腫を和らげます。血管から漏出して炎症を引き起こす原因となるサイトカインやロイコトリエンなどの物質が、その漏出を抑えられることによって炎症が治まります。

炎症性ペプタイドの放出抑制・Tリンパ球機能抑制・抗体産生抑制・白血球遊走抑制

これらの過剰な免疫反応が原因となって起こる紅班・丘疹※2および水疱などの症状を和らげます。

■線維芽細胞(せんいがさいぼう)増殖抑制作用

肉芽の増殖やケロイドの形成を抑えます。

その他、コラ−ゲンの合成抑制や血管新生抑制など、過剰な免疫反応やアレルギ−反応を抑え、皮膚の炎症を強力に抑えます。

※1紅班・・・ 皮膚の表面が盛り上がらず、限られた部位で紅色に変色したもの。一過性の血管拡張によって起こり、指で圧迫すると消えるのが特徴です。

※2丘疹・・・ 皮膚がふくらんで、盛り上がっている部分のこと。丘疹は主に小さな盛り上がりのことをいいます。


◇ ステロイド外用剤の経皮吸収について

ステロイド外用剤などの薬剤を皮膚に塗ったとき、皮膚の表皮の外層から深層へ、毛包〜脂腺〜汗腺などを経由して真皮に達し、血中・リンパに移行する過程のこと「経皮吸収」と言います。 (皮膚の構造については第65号 シミについて参照
ステロイド外用剤を塗ったとき、皮膚の炎症部位で効力を発揮するだけでなく、お薬の成分は一部経皮吸収により血液の中に入りますが、経皮吸収のしやすさはお薬の成分の強さや用いられる基剤によっても違います。
近年では、局所(塗った部位)で抗炎症作用を発揮したあと、血液の中に入ってからは急速に代謝されて、不活化され、全身性の副作用を軽減した薬剤も販売されています。

いずれにしても、適切な部位に、適切な量を適切な期間塗る場合においては、ステロイドの飲み薬にみられるような、副腎皮質不全(副腎皮質の機能低下)・糖尿病・骨粗鬆症・高血圧・全身性の浮腫などの副作用は起こらないといえます。


◇ ステロイド外用剤のランクについて

ステロイド外用剤は、血管収縮能をスコア化した血管収縮指数の比較によって、その抗炎症作用が評価され、抗炎症作用の強い順からストロンゲスト・ベリ−ストロング・ストロング・マイルド(ミディアム)・ウィ−クの5段階に分類されています。

ある疾患に対して、ある強さのステロイド外用剤を使うという決まりはありません。

ただし、効果が高いステロイドは、それだけ皮膚の吸収がよく、皮膚表面での副作用や全身性の副作用のリスクが高くなるといえます。

一般的には、顔などの皮膚の薄い場所、皮膚のバリア機能が未発達な乳幼児や小児、皮膚のバリア機能が低下している高齢者、広範囲に大量に使う場合などには、効果の高いステロイドを避ける傾向があります。

また、慢性疾患であるアトピ−や慢性蕁麻疹など、長期にステロイドの使用が行われる場合においても、経皮吸収後の全身性への影響を考慮して効果の高いステロイドは使用を避けることがあります。

一方、虫刺されなど、かゆみや腫れなどの自覚症状が強く、短期間で治療が終了することが予測される場合には、効果の高いステロイドを集中的に使用する場合があります。

薬の効果
一般名 代表的な製品名
I群
ストロンゲスト
プロピオン酸クロベタゾ−ル
酢酸ジフロラゾン
デルモベ−ト
ジフラ−ル、ダイアコ−ト
II群
ベリ−ストロング
フランカルボン酸モメタゾン
酪酸プロピオン酸ベタメタゾン
フルオシノニド
ジプロピオン酸ベタメタゾン
ジフルプレドナ−ト
アムシノニド
吉草酸ジフルコルトロン
酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン
フルメタ
アンテベ−ト
トプシム、シマロン
リンデロンDP
マイザ−
ビスダ−ム
ネリゾナ、テクスメテン
パンデル
III群
ストロング
プロピオン酸デプロドン
プロピオン酸デキサメタゾン
吉草酸デキサメタゾン
ハルシノニド
吉草酸ベタメタゾン
プロピオン酸ベクロメタゾン
フルオシノロンアセトニド
エクラ−
メサデルム
ボアラ、ザルックス
アドコルチン
リンデロンV・VG、ベトネベ−ト
プロパデルム
フルコ−ト
IV群
マイルド
(ミディアム)
吉草酸酢酸プレドニゾロン
トリアムシノロンアセトニド
ピバル酸フルメタゾン
プロピオン酸アルクロメタゾン
酪酸クロベタゾン
酪酸ヒドロコルチゾン(0.1%)
リドメックス
レダコ−ト、ケナコルトA
ロコルテン
アルメタ
キンダベ−ト
ロコイド
V群
ウィ−ク
プレドニゾロン(0.5%)
酢酸ヒドロコルチゾン(1%)
プレドニゾロン
コルテス


◇ ステロイド外用剤の基剤による特徴の違い

普段私たちが患者さまからお話を聞くなかで、同じ成分であっても、軟膏を使ってよくならなかったものが、クリ−ムに変えたところよくなったということも耳にします。またその逆のケ−スもあります。

ステロイド外用剤を使う場合には、その病態だけでなく、使う部位を考慮して、一番効果が期待できるものを選んで処方されます。
同じ成分のステロイド外用剤であっても、使われている基剤によって、その特徴が異なります。
ここでは、よく使われている 1.軟膏 2.クリ−ム 3.ロ−ション 4.テ−プについてそのメリットとデメリットを挙げてみましょう。

軟膏
メリット
刺激感が少なく、じゅくじゅくしている場所や、びらん面にも使えます。
ほとんどの病変およびその部位に適しています。
デメリット
油分が多いのでべたつきがあります。
塗ると、塗布部だけが光って見えます。
水で洗っただけはとれません。
クリ−ム メリット
べたつき感が少なく、塗った後もさらっとしています。水洗いでとれます。
のびがよいなど、使用感に優れています。
通常軟膏よりも皮膚への吸収がよく、効果が高いといわれます。
デメリット
乳化に必要な海面活性剤や防腐剤などの添加物が入っているため、軟膏に比べて刺激があります。(最近では、この刺激性が少ない薬剤も販売されているようです)
ロ−ション メリット
頭部などの有毛部に塗ってもべたべたせずに塗ることができます。
デメリット
アルコ−ルが入っているものは、軟膏やクリ−ムに比べて刺激性が強いといわれます。
スプレ− メリット
広い範囲へ、手を汚さずに使用できます。
背中などの手が届かないところに簡単に塗ることができます。
重度の日焼けなど、痛みがあって軟膏やクリ−ムが塗れない場合に適しています。
デメリット
アルコ−ルが入っているものは、軟膏やクリ−ムに比べて刺激性が強いといわれます。
テ−プ メリット
密封性が高く、皮膚吸収に優れているため他の基剤に比べて高い効果が期待できます。
荒れていてかゆみが強い場合に、テ−プを貼ることで掻くことを予防できます。
デメリット
皮膚吸収がよく、密封性が高いために毛のう炎などの感染症が起きやすいといわれています。


◇ ステロイド外用剤使用時の注意事項

■もらったステロイド外用剤を他の部位には使わない。

どのステロイド外用剤を使うかは、医師が、症状の重症度や皮疹の部位に加えて、ステロイド外用剤の効果の強さ、基剤の種類、また患者さまの年齢に応じて選んだものです。指示された部位以外に使う場合には、吸収されにくく十分な効果が出ない場合や、逆に吸収が良すぎて副作用のリスクが高くなることもあります。同じような症状であっても、使用する部位によって使うお薬を選ぶ必要があるため、自己判断で使うことは避けましょう。特に、顔や陰部などの皮膚が薄く吸収がよい部分への使用は注意する必要があります。

■指示された使用期間を守る

ステロイド外用剤による毛細血管拡張・皮膚萎縮などの局所的な副作用は、使用期間が長くなるほどリスクが高くなります。指示された使用期間を超えて使用すると、これらの副作用のリスクが高くなります。

■良くなっているからといって勝手に止めない。

慢性的な症状では、長期間使っている間に症状がよくなってくると勝手にやめてしまう場合があります。十分に炎症が治まり、正常な皮膚に戻るためには、少しずつ効果を弱めていき、正常な皮膚に回復させることが必要となります。勝手にやめてしまうことで症状がぶり返してしまうこともあるため、勝手に止めないようにしてください。
また、炎症が起きているときには、それを抑えられる強さのステロイド薬をきちんと用いて、しっかりと症状を抑えることが大切です。怖がって使わなかったり、十分に炎症が治まらないうちに止めてしまうと、長引く炎症により皮膚が変色したり、さらに炎症が広がってしまったりします。

■必要以上にたくさん塗らない。

ステロイド外用剤を塗るときには、適切な量を守ることが必要です。必要以上に広範囲に塗ってしまうと、正常な皮膚からステロイド外用剤が吸収されて、副作用が起こりやすくなります。また、たくさん塗っても、吸収される量には限りがあり、別の場所についてしまうことにもなるため、触ってもべとつかない程度の量を、症状がある部位にのみのばして塗りましょう。

■ステロイド外用剤をすりこまない。強くこすりながら塗らない。

入浴後は、角質層が軟らかくなり、ステロイド外用剤の吸収がよくなります。清潔な状態で塗るためにも入浴後は適していますが、ほてりがある間に塗ると皮膚が敏感になっており、刺激を感じることがあるため、少しほてりが落ちついてから塗るとよいでしょう。

■塗るときには清潔な状態で。入浴後に塗るときの注意点

慢性的な症状では、長期間使っている間に症状がよくなってくると勝手にやめてしまう場合があります。十分に炎症が治まり、正常な皮膚に戻るためには、少しずつ効果を弱めていき、正常な皮膚に回復させることが必要となります。勝手にやめてしまうことで症状がぶり返してしまうこともあるため、勝手に止めないようにしてください。
また、炎症が起きているときには、それを抑えられる強さのステロイド薬をきちんと用いて、しっかりと症状を抑えることが大切です。怖がって使わなかったり、十分に炎症が治まらないうちに止めてしまうと、長引く炎症により皮膚が変色したり、さらに炎症が広がってしまったりします。

決められた使用回数を守る。かゆみがあるからといって決められた回数以上に塗らない。

ステロイド外用剤は、かゆみ止めではありません。炎症の原因を抑えて、炎症自体を治療していくものです。かゆみ止めのように、かゆいからといって塗っていたのでは必要以上に塗ることになり、副作用のリスクが高まります。また、かゆみがないからといって塗らなければ十分な炎症抑制効果を得られず、炎症が悪化したり長引いたりします。


◇ ステロイド外用剤の副作用

ステロイド外用剤を皮膚に塗った場合、局所的な副作用として、以下のような副作用が起こることがあります。もしもこれらの副作用が出たとしても、ステロイド外用剤の中止、あるいは適切な処置により副作用の症状は早期によくなります。

■ステロイドざそう(ニキビ)

ホルモン作用によるものといわれています。ニキビができている部位では、ニキビが悪化する可能性があります。

■ステロイド潮紅

主に顔に生じます。顔全体が赤くなり、赤くぽつぽつとしたようになることもあります。酒さ様皮膚炎ともいい、女性や小児に多くみられます。

■皮膚萎縮

皮膚が線状に筋が入ったようになり、皮下の静脈が透けて見えることもあります。

■多 毛

ホルモン作用により、周囲の皮膚よりも毛が多く生えてきます。

■細菌・真菌・ウイルス感染症

塗ったところの免疫力を低下させるので、ばい菌や水虫菌がいるところでは、かえって症状が悪化します。原則として、化膿した部位や水虫の部位には使用しません。(水虫の場合には、かゆみが強い場合に抗真菌薬と一緒に使う場合や、疑いがある時に、水虫菌を検出するために使うなど、ステロイド外用剤を使う場合はあります。)

■皮膚の薄化

塗ったところの皮膚が薄くなり、毛細血管が透けて見えるようになります。

これらの副作用が起こらずに、安全に治療するためにも、出されたお薬を医師の指示に従って適切に使用することが最も大切なこととなります。


◇ ステロイド外用剤Q&A

これまでご説明してきたように、ステロイド外用剤を安全に、そして効果的に治療に使用するためには、その特徴についてよく知り、正しく使用することが何よりも大切です。

ここでは、私たち薬剤師が患者さまからしばしば受ける質問を取り上げ、より詳しくご説明いたします。

Q 一度ステロイド外用剤を使うと、ずっと使わないといけないのですか?
A 医師の指示通りに使用し、症状がよくなり、皮膚が正常になればもちろん止めることができます。
ステロイド外用剤は炎症を抑えるもので、アトピ−や蕁麻疹といった病気そのものを治すものではありません。これは、ステロイド外用剤を使って症状がよくなっても、止めるとまた再発する可能性があるということです。医師は、患者さまの症状に合わせてステロイド外用剤を使用するかどうかを決めますが、ステロイド外用剤を使用する症状には、虫刺されや急性蕁麻疹・接触性皮膚炎など、効果の高いステロイド外用剤を短期間使用すればすぐによくなるものや、その逆に、長期間治療を続けなければならない病気もあります。
その代表がアトピ−性皮膚炎などの慢性アレルギ−性疾患です。しかし、このような慢性の病気の場合も、ステロイド外用剤だけで治療を続けるわけではなく、保湿剤や内服薬など様々な薬を適切に選びながら治療をしていきます。よくなるに従って、ステロイド外用剤のランクは強いものから弱い者へ、使用量も、治療を始めた時に比べれば、次第に少量ですむようになるのが一般的です。

Q ステロイド外用剤を止めると症状が悪化するのですか?
A 十分に治らないうちに、勝手に止めてしまったり、指示通りに使用しない場合には、症状が悪化することがあります。
症状が十分に治らないままに、ステロイド外用剤を止めてしまうと、症状が元に戻ったり、元よりも悪くなったりすることがあります。症状を悪化させないためには、治療の途中で、自分の勝手な判断で中止することなく、決められた通りに使用することが大切です。この治療の過程で、ステロイドのランクを少しずつ下げていったり、使用量を減らしていったりすることがあります。この場合にも、自己判断で量の加減をしてはいけません。

Q ステロイド外用剤を使用すると、ニキビができやすくなるのですか?
A ステロイド外用剤のホルモン作用によってニキビなどの症状が悪化することがあります。また、免疫力を低下させることにより、バイ菌が入りやすい状態になることがあるため、傷や化膿している部位へ塗るのは避けましょう。
ステロイド外用剤を指示通りに使用した場合、全身的な問題はありませんが、お薬を塗った部分の皮膚の免疫力が低下します。そうすると、その部分に細菌・カビ・ウイルスがついて、感染が広がる可能性はあります。たとえば、水虫のかゆみや、虫刺されを掻いてしまってとびひになったところにステロイド外用剤のみを使った場合には症状が悪化することがあります。
 このような状態になると、それまでとは違った症状が現れてくるので、何かおかしいと感じたら、すぐに診察を受けましょう。

Q ステロイド外用剤を使用すると、色が黒くなるのですか?
A ステロイド外用剤を使用したから黒くなるのではありません。炎症のあとが一時的に黒くなる(これを炎症後色素沈着といいます)ことがありますが時間がたてば薄くなっていきます。炎症が十分に治まらないのに、塗るのをやめてしまうと結果的に炎症が長引き、皮膚の変色が起こることもあります。
これは、よく受ける質問です。皆さんは、日焼けの後に肌が黒くなることを経験したことがあると思います。これ同様に、何らかの原因で皮膚に炎症がおこり、その皮膚の炎症が治まった後に色素が残り、肌が黒くなることがあります。これは、その炎症部位で黒色の原因であるメラニンの合成が進み、沈着してしまうことが原因です。メラニンは、強い紫外線から皮膚を守る働きがあり、炎症を受けた皮膚に多く作られる傾向があります。
炎症が長引けば長引くほど、この色素沈着は起こりやすくなるといわれています。ステロイド外用剤を塗った後に色が黒くなったように感じるのは、炎症の赤味で見えなかった色素が、お薬の使用し炎症が治まることで、かえって目立ってくるためです。この色素も時間とともに徐々に薄くなってきます。
 適切なステロイド外用剤をなるべく早く使って十分に炎症を治め、炎症を長引かせないことが色を残さないためには大切です。

Q ステロイド外用剤を長く塗っていると皮膚に蓄積していくのですか?
A ステロイド外用剤が皮膚に蓄積することはありません。
ステロイド外用剤を長く塗っていると、皮膚に蓄積していき、いろいろな副作用が現れるのではないかと心配する人がいますが、塗ったステロイド外用剤がそのまま皮膚に蓄積していくことはありません。塗ったステロイド外用剤は、皮膚から吸収されて一部血液中に入ります。体内に入ったステロイドは代謝されたあと尿や便中に排泄されることが知られています。また、皮膚に残ったステロイドは皮膚の新陳代謝により皮膚と一緒にはがれてしまいます。

Q 妊娠中や授乳中にステロイド外用剤を使うのはいいのですか?
A 妊娠中や授乳中のお薬の使用は、ステロイド外用剤に限らず、赤ちゃんへの影響を考えて不安を感じるものです。
皮膚のかゆみが強かったり、炎症がひどく痛みが出たりなどの皮膚の症状がある場合、お薬を使わずに症状を悪化させると、不眠やストレスの原因になることもあり、母体への悪影響も心配されます。
産婦人科医や皮膚科医に相談しながら、症状に合わせたステロイド外用剤を上手に使って、症状を長引かせないようにすることが大切です。また、妊娠中であっても、疾患によってはステロイドの飲み薬を使う場合もあるため、適切に使われた場合のステロイドの安全性は確立しています。

Q ステロイド外用剤を使うと白内障になるのですか?
A 原因は、アトピ−性皮膚炎などで、目の周りのかゆみが強くなり、目のまわりを強くこすってしまうことによります。
ステロイド外用剤が治療薬としてよく使われる疾患に、アトピ−性皮膚炎があります。アトピ−性皮膚炎の患者さんの中には、白内障を生じる患者さんがいることが知られています。
アトピ−性皮膚炎で白内障が生じるのは、ステロイド外用剤を使用したからではなく、かゆみのために目を強くこすったり、目の周りをたたいたりといった、外因性の刺激が原因だということがわかっています。
 ステロイド外用剤が目の中に入らないように、また強くこすったりすり込んだりせずに上手に使って、目の周りの炎症を早期に抑え、かゆみがない状態に保ち、目の周りを刺激しないことが白内障を予防するためには大切なことです。


まとめ

ステロイド外用剤は様々な症状に使用され、症状によって使用する強さも剤形も違います。今回、ご紹介したものはステロイド外用剤についての一部ですが、皆さまが処方されるステロイド外用剤についてご理解いただけたかと思います。
ステロイド外用剤について、怖いお薬だと誤解している部分があったのではないでしょうか?
ステロイド外用剤は、医師の指示通りに正しく使えば、安全でとても効果が期待できるお薬です。
今回の豆知識を通して、その誤解がとけ、ステロイド外用剤に対する理解を深め、より安全に治療をしていただければ幸いです。
もう、ステロイド外用剤はこわくない!!
アルバ薬局  兵庫駅前店
薬剤師  佐藤 慈(さとう めぐみ)


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