アルバ会社説明会



第79号 C型肝炎について

2008/10/9

目次:

※ご覧になる項目を上の目次よりお選び下さい。


“C型肝炎について”

今年に入ってようやく、薬害C型肝炎に苦しむ患者が国および製薬企業との和解にいたり、テレビや新聞で話題になりました。C型肝炎ウイルスに汚染された血液製剤を、出産時や手術時に止血剤として知らずに投与されて感染したものです。
日本には、C型肝炎ウイルス感染者が約150〜200万人いると推測されていますが、実際に治療を受けているのは約50万人しかいないそうです。C型肝炎は放置しておくと、肝硬変や肝がんに移行する場合もあります。肝がんによる死亡率は年々増加しており、肝がんの原因の約80%はC型肝炎ウイルスによるものであることも分かっています。
そこで、今回の処方せん豆知識は、肝炎とくにC型肝炎について紹介します。




◇ 肝臓の働き

肝臓は、体の中で一番大きな臓器であり、栄養・新陳代謝・解毒・排泄などさまざまな働きがあります。昔から“肝腎要(かんじんかなめ)”といわれるように、肝臓は腎臓とともに私たちが健康に生きていく上で非常に重要な臓器なのです。
血液に関する機能 ビリルビン代謝による老廃した赤血球の処理
血液の自然凝固に必要不可欠な蛋白の合成
骨髄が病気のときなどは、骨髄に代わって赤血球を生成するなど
循環系に関する機能
大量の血液が出入りし、体液循環・血圧コントロールなど
栄養素に関する機能
アルブミンをはじめとする蛋白質・脂肪・グリコーゲンなどを合成し、全身の臓器に供給するなど
代謝・解毒・排泄に関する機能 胆汁の産生・胆汁酸の合成
身体に入った薬物・毒物などの代謝・排泄
体内で内分泌され、不要になったホルモンの分解・排泄など

詳しくは処方せん豆知識第26号 いきいきとした肝臓で楽しい年末年始を!をご覧ください。


◇ 肝炎とは

肝炎とは、肝臓に炎症が起こって細胞が壊れ、肝臓の働きが悪くなる病気です。肝炎は、ウイルス・薬物・自己免疫性などさまざまな原因で起こりますが、日本では肝炎ウイルスによる肝炎が80%を占めています。なかでも多いのはA型・B型・C型肝炎ウイルスによる肝炎です。A型肝炎のほとんどは急性肝炎ですが、B型の一部とC型の多くは慢性化し、肝硬変や肝がんに移行する可能性があります。


肝炎の種類
原因
感染ルート
肝炎ウイルスによる肝炎
A型肝炎ウイルス
経口感染
B型肝炎ウイルス
垂直感染: 妊娠中に母親のウイルスが胎児へ移行
性行為感染
C型肝炎ウイルス
医原性:輸血・血液製剤等
D型肝炎ウイルス
血液感染
E型肝炎ウイルス
経口感染
G型肝炎ウイルス
血液感染
TTウイルス
経口あるいは血液感染
肝炎ウイルス以外のウイルスによる肝炎
EBウイルス
サイトメガロウイルス
自己免疫性肝炎ヘルペスウイルスなど
アルコール性肝炎
薬剤性肝炎
自己免疫性肝炎など
詳しくは処方せん豆知識第26号 いきいきとした肝臓で楽しい年末年始を!をご覧ください。

肝炎ウイルスによる肝炎は、ウイルスが肝細胞を破壊するために起こるのではありません。肝細胞内で増殖しているウイルスに対し、私達の体がウイルスを殺そうとする“免疫反応”によって、ウイルスだけではなく肝細胞も一緒に障害を受けてしまうことにより起こります。


◇ C型肝炎とは

C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染により引き起こされる肝炎です。一度感染すると約70%の人は持続感染状態になり、徐々に病気が進行して慢性化します。多くの場合、急性の肝炎で見られるような全身倦怠感・食欲不振・悪心・嘔吐などの自覚症状はほとんどありません。そのまま放置すると、10〜30年後にはその約30〜40%が肝硬変、さらに肝がんに移行するといわれています。

肝硬変は、長期間にわたる炎症の結果、肝細胞が壊れたり新しくできたりすることを繰り返すうちに肝臓に線維化がおこり、肝臓が硬くなった状態です。初期にはやはり自覚症状はありませんが、進行すると腹水・黄疸・こむらがえり・浮腫・意識障害などがあらわれます。肝硬変になると、肝がんが発生しやすくなるだけでなく、生命に関わる重大な合併症が起こりやすくなるので注意が必要です。



◇ C型肝炎は血液で感染する

C型肝炎ウイルスは、感染している人の血液が他の人の血液中に入ることで感染します。
実際には、C型肝炎ウイルスが含まれる血液の輸血や血液製剤、注射針の使い回しなどによって感染します。ただし、あくまでC型肝炎ウイルスが発見される前の、あるいは注射針が使い捨てになる前のものと考えられており、現在ではこのような原因で新たに感染することはほとんどありません。現在、献血された血液は高精度でC型肝炎ウイルスのチェックが行われています。空気感染や経口感染はしないため、単に握手したり抱き合ったり、また一緒に入浴したりキスしたりしても感染することはありません。

C型肝炎ウイルスが含まれる血液の輸血など
C型肝炎ウイルスに感染している人と注射針・注射器を共用
適切な消毒などを行わずに、C型肝炎ウイルスに感染している人が使用した器具を用いた、入れ墨・ピアスの穴あけ・覚せい剤などの回し打ち・鍼治療など
ごくまれに、性交渉による感染や母から子への感染

C型肝炎ウイルスが発見されたのは1989年のことです。特に以下の2点の可能性がある場合は、早急に検査する必要があります。

1992年以前は、C型肝炎ウイルスに汚染された血液かどうかを高感度に検査する方法がなかったため、1992年以前に輸血や臓器移植手術を受けたことのある人は、C型肝炎に感染している可能性があります。
1994年以前にフィブリノゲン製剤を投与された人、1988年以前に血液凝固第IX・第VIII因子製剤を投与された人は、これらの製剤原料である血液の検査やウイルスの除去が不十分だったものがあり、やはりC型肝炎に感染している可能性があります。



◇ C型肝炎の診断

C型肝炎は気づかないうちに感染し、ゆっくりと悪化し、気づいた時にはかなり進行してしまっているという病気です。できるだけ早い発見と、早期の治療が大切になります。
肝細胞にはGOT(AST)・GPT(ALT)という酵素が多く存在します。肝臓が障害を受けて肝細胞が壊れた場合、血液中にこれらの酵素が出ることになるため、血液検査でGOT・GPTの数値が高い場合は肝炎が疑われます。この場合、ウイルス性・アルコール性・薬剤性などの鑑別を進めて診断します。
C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかは、血液検査でC型肝炎ウイルス抗体を調べることで分かります。抗体は細菌やウイルスに感染すると作られる物質だからです。さらに、C型肝炎ウイルス抗体の量・コア抗原の検出・遺伝子検出により、現在感染している人と過去に感染していたがすでに治癒した人との区別もできます。
また、血小板の数値で肝炎や肝硬変の進行具合を予測できますが、より詳しい程度を知るためには、超音波(エコー)やX線(CT)などで実際に肝臓の様子を確認する画像検査も行われます。肝臓の組織を一部採取して、顕微鏡で観察する肝生検が行われる場合もあります。



◇ C型肝炎の治療

C型肝炎は、適切な治療を行うことで病気の進行を抑え、肝硬変や肝がんを予防したり遅らせたりすることができます。
治療法には、C型肝炎ウイルスを体内から駆除する原因療法と、肝炎の悪化を防ぐ対症療法の2種類があります。

■原因療法:抗ウイルス療法

抗ウイルス作用(肝炎ウイルスの増殖を抑える)を期待して、インターフェロン製剤(注射薬)が用いられます。リバビリン(内服薬)との併用療法も有効です。最近では、ペグインターフェロン(注射薬)という新しい製剤も出てきました。インターフェロンにペグという物質が結合したもので、体内で分解されにくくなることでインターフェロンの血中濃度が長時間に維持され、週1回の注射で優れた効果を得られるようになりました。
しかし、C型肝炎の治療方法は、患者さんの全身状態や肝炎の進行状態などに合わせて異なり、一律ではありません。インターフェロンの効果は、血液中のウイルスの量や遺伝子型などによって異なり、また人によってはインターフェロンが使えない場合もあります。妊婦や子供に対しては安全性が確立していないため、通常は行われません。副作用としてうつなどの精神症状や間質性肺炎・甲状腺機能異常などがあらわれることがあり、注意が必要です。詳しくはかかりつけの医師に相談してください。

〜肝炎インターフェロン治療費助成〜
肝炎に対するインターフェロン治療は、奏効すれば根治が可能であり、肝硬変や肝がんへの進行を防止することができますが、非常に高額な治療です。しかし、平成20年4月より、肝炎インターフェロン治療にかかる月々の医療費の自己負担額が助成され、各世帯の所得に応じて軽減されることになりました。
対象はB型慢性肝炎・C型慢性肝炎およびC型代償性肝硬変で、肝がんの合併のない人です。「肝炎インターフェロン治療受給者証」を提示することで、保険適用となっている治療にかかる、平成20年4月1日以降の初診料・再診料・検査料・入院料・薬剤料などが助成されます。
具体的には、患者の世帯の市町村民税課税年額に応じ、その自己負担限度額を月額10,000円から50,000円までに軽減されます。

区分
世帯の市町村民税(所得割)課税年額
自己負担限度額(月額)

65,000円未満の場合
10,000円

65,000円以上235,000円未満の場合
30,000円

235,000円以上の場合
50,000円

助成を受けるには手続きが必要です。実際の必要書類・提出先などは都道府県によって異なることがありますので、詳しくはお住まいの都道府県にお問い合わせください。

(参考:厚生労働省ホームページ “新しい肝炎総合対策の推進”)


■対症療法:肝庇護(ひご)療法

肝炎を沈静化させ、肝機能を改善する“肝庇護(ひご)療法”です。ウイルスを体内から排除する効果はありませんが、肝硬変や肝がんへの進行を抑えたり遅らせたりすることができます。抗ウイルス薬の適応がない場合や、効果が見られなかったり副作用がでたりする場合でも、肝庇護療法により肝機能を正常に保つことで、肝がんの発生リスクが軽減することが分かっています。
主に、胆汁の流れをよくすることで肝機能低下を改善する
ウルソデオキシコール酸(内服薬)や、肝機能を改善するだけでなくインターフェロン誘起・免疫調節・肝細胞増殖作用なども有するグリチルリチン製剤(注射薬)が使用されます。



日常生活での注意点

できるだけ普通の生活をした方がよいと考えられています。
また、体力保持のためには、安静にするよりむしろ適度な運動が勧められます。


■食事はバランスよく

偏った食事や暴飲暴食は肝臓に負担をかけるため、バランスのとれた規則正しい食生活を心がけます。特に蛋白質は、大豆など植物性のものを含め、いろいろな食品からとるようにします。食欲がないときは、1回の食事量を減らして回数を多くしたり、あるいは好きなものを中心にした献立にしたりするなど、カロリー不足にならないよう気をつけます。
ただし、アルコールは避けてください。

■他の人にうつさないための注意

血液中のC型肝炎ウイルス量は非常に少ないため、日常生活の中で他の人に感染することはほとんどありません。しかし、念のために次のようなことに注意しましょう。

血液や分泌物がついたものは、しっかりくるんで捨てるか、流水でよく洗う。
外傷・鼻血などはできるだけ自分で手当てし、手当てを受ける場合は、手当てする人に血液や分泌物がつかないよう注意する。
カミソリ・歯ブラシなど血液がつく可能性のあるものは、他の人と共用にしない。
乳幼児に口うつしでものを食べさせない。
献血はしない。


まとめ

肝臓は予備能力が高いため、慢性肝炎や肝硬変になっても自覚症状が出ない場合も多く、“沈黙の臓器”と言われています。肝炎のなかでも特にC型肝炎は、早期に発見し治療することが必要な病気です。症状がなくてもきちんと検査を受けましょう。
以下のチェック項目をチェックしてみてください。
40歳以上で、一度もC型肝炎の検査を受けていない。
1992年以前に輸血を受けたことがある。
長期間血液透析を受けている。
血液凝固因子製剤・フィブリノゲン製剤の投与を受けたことがある。
大きな手術・臓器移植などを受けたことがある。
適切な消毒をしていない器具で入れ墨・ピアスの穴あけ等を行ったことがある。
過去に肝機能検査で異常を指摘されたにも関わらず、肝炎の検査を受けていない。

C型肝炎は進行してからでは、中々取り返しがつきません。チェック項目に一つでも当てはまるのであれば、一度病院で検査を受けることをお勧めします。

相生薬局 
管理薬剤師  大前由香利


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