アルバ会社説明会





第81号 バセドウ病と橋本病について

2008/12/25

目次:

※ご覧になる項目を上の目次よりお選び下さい。


“バセドウ病と橋本病について”

今年最後の豆知識は「バセドウ病と橋本病」についてお話しします。
聞いたことのない病気だなと思われる人や、名前は聞いたことがあるけれどよく知らないという人が多いのではないでしょうか。バセドウ病も橋本病も、甲状腺ホルモンの異常による病気で、全身に様々な辛い症状が現れます。例えば、症状が多岐にわたっているため「自律神経失調症」や「更年期障害」などと間違われたり、その他、動悸・息切れ・体重減少・むくみ・かゆみ・血圧が上がるなど、他の疾患を疑うような様々な症状が現れます。しかし、診断を受けてきっちりと治療すれば、元気に生活のできる病気です。
これらの甲状腺の病気についてお話しする前に、まずは、甲状腺についてお話しします。
では、さっそく始めましょう。


◇ 甲状腺とは?

甲状腺は首の前面、のどぼとけの下にあります。左右に分かれ、蝶の様な形をしています。重さは成人で約20gです。通常は、外見からも、また触っても分からない程度ですが、甲状腺が大きくなると、のどぼとけの辺りが腫れ、手で触ることが出来るため、触診でもすぐに分かります。そのため、のどぼとけの腫れ(首の腫れ)を自分自身で感じたり、他人から指摘されて、甲状腺の病気に気付くことも多いようです。


◇ 甲状腺と甲状腺ホルモン

甲状腺ホルモンは甲状腺で作られ、血液中に分泌されます。甲状腺の働きは食物中のヨードを原料にして甲状腺ホルモンを合成することです。甲状腺ホルモンには、ヨード原子3個を含むT(トリヨードサイロニン)とヨード原子4個を含むT(サイロキシン)の2種類があります。生体で強い活性を示すのはTの方で、Tの4倍の活性を示します。甲状腺で主に作られるのはTですが、このTが肝臓や腎臓などで活性の強いTに変化します。
体には、甲状腺ホルモンの量を調節するしくみが備わっており、甲状腺ホルモンの量は、脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって、一定の値を維持するように調節され、健康な様態が保たれています。
今回は詳しく述べませんが、甲状腺にはその他に、カルシウム調節ホルモンの一つであるカルシトニンを作る作用もあります。


◇ 甲状腺ホルモンの働き

新陳代謝を促す
脳や身体を成長させる→胎児や子供の成長・発育に不可欠です。
精神神経機能の調節

さて、甲状腺についてお話しましたが、ここからが今回のテーマである“バセドウ病と橋本病”についてです。
甲状腺機能亢進を起こす原因の代表がバセドウ病、その逆に甲状腺機能低下を起こす原因の代表が橋本病です。
それでは、それぞれの病気についてお話しします。

◆ バセドウ病 ◆

バセドウ病は、甲状腺機能亢進症を起こす病気の代表とも言えます。
男性より女性の割合が多く、男女比は1:4くらいで、20〜40代に多い病気です。
日本ではバセドウ病と言われていますが、グレーヴス病とも呼ばれます。

原 因
甲状腺機能が亢進して、甲状腺ホルモンが過剰に作られるために起こります。バセドウ病は自己免疫疾患の一種であると考えられています。体の中に甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体に対する抗体が出来て、これが甲状腺刺激ホルモン(TSH)の代わりに甲状腺を常に刺激するため、甲状腺ホルモンが過剰に作られます。しかし、本当の原因は未だ解明されていません。
また、家族的に発病することが少なくありませんので、家族にこの病気の方がおられる場合は注意をしてください。

症 状
体の新陳代謝を促す甲状腺ホルモンが大量に生産されるため、新陳代謝が活発になり以下のような症状が現れます。また甲状腺ホルモンは、人間の体のあらゆる部位に作用するので、症状は多岐にわたります。
甲状腺が腫れる。ただし、高齢で発症すると、あまり腫れが見られないため、病気の発見が遅れる傾向があります。
疲れやすい・身体がほてる・暑がる・過剰に汗をかく・食欲があるのに体重が減る
微熱がある
頻脈がある・動悸がする・息切れがする・呼吸が苦しい
手が震える・筋力が低下する
集中力がない・イライラする・神経が過敏になる・不安を感じる・不眠になる
眼球が飛び出す。代表的な症状としてよく言われていますが、全ての人に出るわけではなく、2・3割程度であると言われています。
下痢・食欲亢進・食欲低下・口渇
皮膚のかゆみ

治 療
甲状腺ホルモンが過剰につくられないようにコントロールします。
治療方法には、薬物療法・放射線治療・手術があります。
それぞれに、長所と短所がありますし、ご自身の生活環境や年齢などによっても、どの方法が最適であるかは異なってきます。
どの方法で治療するのが良いかは、医師とじっくり相談して選ぶことが必要でしょう。


1. 薬物療法
<抗甲状腺ホルモン薬> 
甲状腺ホルモンの働きを抑えます。

成分名 薬品名
作用
チアマゾール
メルカゾール
甲状腺ホルモンの生成を抑えます。薬の量を調節しながら、甲状腺ホルモンが正常となるようにコントロールします。
プロピルチオウラシル
チウラジール
プロパジール
服用時の注意


指示された量を守り、きっちりと服用してください。
薬の服用により、甲状腺ホルモンの量が正常値になって自覚症状がなくなったからといって、勝手に薬の服用をやめると、再発してしまいます。自己判断で薬の服用を中止してはいけません。甲状腺ホルモン量が正常になっても、検査をし、薬の減量をしながら中止の時期を決めますので、必ず医師の指示に従って服用を続けてください。
ほとんどは2〜3年間、薬の服用を続けなければなりません。
服用を始めた初期には、数週間に一度の受診が必要です。これは、検査をして薬の量を調節するために、以下で述べるような副作用が出ていないかをチェックするためですので、面倒くさがらずに必ず受診するようにしましょう。
医師の指示により薬の中止をしても、再発する可能性はゼロではありません。そのため自覚症状が無くても、必ず数ヶ月に一度は、検査を受けて甲状腺ホルモンの量が正常かどうかのチェックをする必要があります。

副作用


かゆみ:

飲みはじめて数週間以内に起こる事が多いです。
かゆみがひどければ、かゆみ止めと併用して服用を続けます。ただし、発疹が出るような場合は、薬の中止をしなければならないこともあります。

肝機能障害: 服用を始めてから、数週間〜3ヶ月位に起こると言われています。甲状腺機能亢進によっても見られる症状であるため、薬の副作用かどうかの見極めが必要です。甲状腺機能亢進によって起こる肝機能障害は、抗甲状腺薬の服用により甲状腺の機能が正常になればおさまってきます。

無顆粒球症・白血球減少: 非常に稀に現れることがあります。初期症状が、発熱・全身倦怠感・喉の痛みなど風邪の症状と似ていますが、死に至ることもある非常に危険な副作用です。服用を始めてから、数週間〜3ヶ月位に起こると言われていますが、その後に起こる事もあるので注意が必要です。

<βブロッカー>
甲状腺機能亢進によって起こる頻脈・動悸・手の震えなどの症状がひどい時には、βブロッカーを使います。
成分名(薬品名): 塩酸プロプラノロール(インデラル)・アテノロール(テノーミン)・酒石酸メトプロロール(セロケン・ロプレソール)など

2. 放射線ヨード治療(アイソトープ治療)
放射性ヨードカプセルを飲み、甲状腺の組織を破壊する方法です。甲状腺は、ヨードを原料として甲状腺ホルモンを作っていることは、既に述べました。放射性ヨードカプセルを飲むと甲状腺に取り込まれ、そこで放射線を出すことによって、甲状腺細胞が破壊されて、甲状腺ホルモンの生成も抑えられます。治療前は、放射性ヨードの取り込みを妨げないよう、食事でのヨード制限や、ヨードを多く含む医薬品の使用を避けることが必要となります。この方法を用いた場合、将来、甲状腺機能低下症になることがありますが、そのようなケ−スでは、甲状腺ホルモンを服用して甲状腺ホルモンの量をコントロールしていきます。
また、妊婦の方・授乳婦はこの方法は行われません。

3. 手 術
甲状腺の一部を残して切除する方法で、甲状腺ホルモンの生成量を減らします。
薬を服用しても効果が無い場合や、薬の副作用などにより薬物療法が出来ない場合などに行います。手術後の再発がゼロではありませんが、短期間で高い効果があります。先に述べた放射線ヨード治療(アイソトープ治療)と同様に、将来、甲状腺機能低下症になることがありますが、そのようなケ−スでは、甲状腺ホルモンを服用して甲状腺ホルモンの量をコントロールしていきます。

◆ 橋本病 ◆

橋本病は慢性甲状腺炎とも呼ばれており、甲状腺全体が腫れて甲状腺の機能が低下する病気です。しかし、橋本病の人全てに甲状腺機能低下が見られるわけではなく、低下が見られるのはむしろ半数以下と言われています。ほとんどの場合、甲状腺全体が腫れているだけで自覚症状はありませんが、一部の方で甲状腺機能の低下にともなって、甲状腺ホルモンの量が不足し、新陳代謝の低下が見られます。従って、橋本病の人全てが治療対象ではありませんが、将来、甲状腺機能低下をきたす場合もありますので、専門医とご相談ください。
また、40〜50歳代の女性に最も多く見られ、男女比は1:10〜20とも言われています。

原 因

原因はまだはっきり解っていませんが、バセドウ病と同様に自己免疫疾患の一種と考えられています。何らかの原因で甲状腺を攻撃する抗体が作られ、この抗体が甲状腺を破壊するため、甲状腺の機能が低下し甲状腺ホルモンが不足するようになると全身の新陳代謝が悪くなり、様々な症状が現れます。しかし多くの場合、甲状腺が炎症を起こして腫れているだけで、すぐに他の症状が現れるわけではありません。
また、橋本病はバセドウ病と同様に、家族的に発病することがあります。

症 状

新陳代謝が低下するために、全体的に老けていくような症状が見られます。

疲れやすい・だるい・冷える・寒がる・原因も無く体重が増える・声がかれる

脈拍が少ない・顔や手足のむくみ

甲状腺が腫れる・のどの違和感

物忘れが多くなる・ぼーっとして気力がわかない・いつも眠い
特に高齢者の場合、これらの症状により、認知症と勘違いされることもあります。

筋力が低下する

便秘・食欲低下
肌が乾燥する・汗をかかなくなる・髪の毛が抜ける

コレステロール値が上昇する・貧血

治 療

薬による治療が必要な場合と、そうでない場合があります。
甲状腺機能が正常であれば、特に薬による治療は必要ありません。
ただし、甲状腺の腫れがひどい場合には、甲状腺機能が正常であっても薬による治療を行うことがあります。

1. 薬による治療が必要な場合


甲状腺の腫れがひどい場合
甲状腺の腫れを小さくすることを期待して、薬を服用することがあります。


甲状腺機能が低下している場合
たとえ症状がひどくなくても、不足している甲状腺ホルモンを補うために薬を服用します。ホルモン不足の状態が長く続くと、その影響が体の様々な臓器に現れてくるからです。

<甲状腺ホルモン薬>
成分名
レボチロキシンナトリウム
(サイロキシン)
リオチロニンナトリウム
(トリヨードサイロニン)
乾燥甲状腺
商品名
チラーヂンS
チロナミン
乾燥甲状腺
チラーヂン末
作用
不足している甲状腺ホルモンを補います
特徴
製剤
体内で活性の高いTに変換される
半減期が長く、基本的には1日1回の服用でよい
血中濃度が維持しやすいたため、よく用いられている。
製剤
半減期が短いので、複数回の服用が必要
通常の維持療法には用いられない。
他の疾患で、甲状腺ホルモンの補充が緊急に必要な場合に、即効性の面から用いられることがある。
、Tを含む
牛や豚の甲状腺の抽出物
現在ではあまり使われない。

2. 薬が必要ない場合

甲状腺機能が正常な場合(甲状腺機能の低下が見られない場合)は、基本的には薬の服用は必要ありません。ただし、定期的に検査を行って経過観察をします。



◇ ヨードの摂りすぎに注意

甲状腺ホルモンは、食物中のヨードから作られるので、甲状腺機能の低下がある人は、たくさんヨードを摂ったらいいような気がしますが、実際にはそうではありません。ヨードの過剰摂取が、逆に甲状腺機能を抑え、甲状腺ホルモンの生成が抑制されてしまいます。
甲状腺に異常のない人の場合は、ヨードを摂りすぎていったん甲状腺の機能が低下しても、その状態がずっと続くわけではなく、再び甲状腺の機能が戻りますので、甲状腺機能低下症になることはほとんどありません。しかし、甲状腺機能に異常がある人の場合は、甲状腺機能が低下したままになってしまう場合があります。そうすると、せっかく薬を飲んでいても、薬の効き目が悪くなってしまったり、症状が悪化してしまいますので、主治医の指示に従うようにしましょう。

では、ヨードはどのような食品に多く含まれているのでしょうか?

昆布 昆布そのもの・根昆布・こんぶ加工食品(佃煮・とろろ・調味料・ダシ・スポーツ飲料などにも含まれる)など

海藻 ひじき・ワカメ・のり・もずく・てんぐさ・てんぐさ加工食品(寒天・ところてん・羊かん)・その他の海藻加工品など

ヨード卵
いわし・さば・かつお・ぶり・まぐろ・さけ・ます・さわら・シーチキンなど
その他 ヨード含有サプリメント

ところで、私たちは、どのくらいヨードを摂取すればいいのでしょうか?
甲状腺ホルモンを作るのに必要なヨードの量は、ごくわずか1日0.05〜0.15mgと言われています。昆布や海藻を食べる習慣の少ない海外では、ヨード不足の対策のために、塩にヨードを添加することが義務付けられている国もあるようです。しかし、私たち日本人の食生活では、ヨード不足になることはまずありません。それは、上記の食品の表を見ても分かるのではないでしょうか?むしろ、過剰摂取が問題になることの方が多いくらいです。
妊婦がヨードを過剰に摂ることにより、胎児や新生児に甲状腺の異常が見られることは、一般的にはまだ良く知られていないようですが、知っておくべきことであると思います。
ヨードに関して言えば、普通の食生活をしていれば、特に過剰も不足も心配する必要はありません。むしろ、極端な摂取をしないよう注意するようにして下さい。
また、検査や手術の前など、ヨードの摂取の制限がある場合は、必ず医師の指示に従うようにしましょう。


まとめ

バセドウ病と橋本病について、お分かりいただけたでしょうか?
初めにも述べましたが、これらの病気は、甲状腺の検査によって診断のつきやすい病気であるにも関わらず、見過ごしてしまっていることも多い病気です。女性の場合は特に、更年期障害やうつ病と思い込んでいたり、高齢者の場合は認知症と誤解されていることも多いようです。何となく不調を感じている人の中に、実はこれらの病気が原因だったという可能性もあるのです。甲状腺の異常は、甲状腺の検査をすればすぐに分かります。この豆知識を読んで、何か思い当たる症状があれば、ぜひ一度、専門の病院を受診してみることをお奨めします。

アルバ薬局  鈴蘭台店
管理薬剤師  鵜鷹 奈美


ご 挨 拶

今年も残すところ後僅かになって参りました。皆様にとってこの1年はどのような年でしたでしょうか。昨今、アメリカ発の金融恐慌の煽りを受け、日本を代表する大企業が次々と非正規社員の解雇を発表し大きな波紋を投げかけています。同時に、世界の景気は急速に悪化しており、我が国においても想像を絶するような早さで景気は悪化の一途をたどっております。私は専門家ではありませんが、今回の不況は非常に根深く今後ますます深刻になるのではないかと危惧いたしております。
そのような中、アルバ薬局グル−プの各薬局におきましては、「一層のサ−ビスの向上と徹底した効率化」を合い言葉に、この難関を乗り切っていこうと考えております。サ−ビスの向上と効率化は、一見すると相反する矛盾した行為のように思われがちですが、私はむしろ逆に比例するものだと考えております。特に、我々調剤薬局におきましては、安全性つまり間違いなく正確にお薬を調剤し服用して頂くという、最も基本的で当たり前のことを大切にしていきたいと考えております。この正確・安全・迅速に調剤できることには、決して手抜きをせず、効率化を進めていく考えでございます。これらの基本業務に加え薬剤師本来の薬学的知識の習得におきましても社内研修の充実を図り、質の高い薬剤師を育成し、皆様のお役に立てるよう社員一丸となって努力して参る所存でございます。とは申しましてもいたらぬ面も多々あろうかと存じます。お気づきの点がございましたら、お気軽にお申し付けくださいますようお願い申し上げます。
最後になりましたが、これからが冬本番となります。インフルエンザも流行しておりますので、くれぐれもお体ご自愛のうえ佳い年をお迎えください。皆様にとって2009年が明るい年になりますよう心よりお祈り申し上げます。

株式会社 アルバ 
代表取締役  横田 裕昭

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