アルバ会社説明会



第83号 てんかんについて

2009/5/18

目次:

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“てんかんについて”

てんかんとは、脳の発作で生じる様々な症状の総称で、てんかん症候群というようにいわれたりもします。てんかんというと、「けいれんを起こして卒倒し、アワを吹く病気」と思いがちですが、突然ぼんやりとするような、一見しててんかんとわかりにくい発作もあります。また、てんかんは決してまれな疾患ではく、人口1000人に対して5〜10人、つまり0.5〜1.0%で発生しています。今回の処方せん豆知識で、てんかんについて正しく理解して頂ければ幸いです。


◇ てんかんの発作メカニズム

脳の中では、規則正しいリズムの電気が微量に流れており、大量の神経細胞が電気的な活動を秩序正しく行うことで成り立っています。ところが、何らかの原因により正常な電気的活動が乱れるとてんかん発作を誘発することがあります。脳は内側に向かっていくほど本能的な部分、外側に行くほど人間らしく考えたり、感動したりする部分になります。てんかん発作は最も外側の大脳皮質というところで、脳のネットワークが電気的に乱れた状態になり、脳の活動が一時的に停止することで、痙攣(けいれん)や意識消失などの形で現れます。
発作が長時間持続したり、頻回に繰り返すと、それだけ脳に与えるダメージは大きくなり、ダメージを受けた神経細胞の影響で意識朦朧(いしきもうろう)となったり、場合によっては後遺症を起こす原因にもなります。そのため、発作を起きないようにするための適切な治療が必要になってくるわけです。


◇ てんかんの原因による分類

てんかんは、脳のどの部分が電気的異常を起こしているのかによって、「局在関連てんかん」と「全般てんかん」に分けられ、さらにそれぞれ、突発性と症候性に分けられます。

<局在関連てんかん>(焦点性・局所性・部分性)
電気的異常が脳の特定の部分だけにおこる発作のことです。

<全般てんかん>
脳全体に電気的興奮が生じて起こる発作のことをいいます。

突発性てんかん
検査をしても特に脳には異常が見つからない原因不明のてんかんです。しかし、発作が起こりやすい性質(てんかん素因)があり、特に突発性の全般てんかんでは遺伝的な原因がある程度関与しているともいわれています。

症候性てんかん
脳に何らかの障害や傷などの器質的な病変が原因となってて起こるてんかんです。
てんかんを引き起こす脳の病気としては、脳腫瘍・脳梗塞・脳出血・脳外傷・脳炎などがあります。


◇ てんかんの発作による分類

発作は突然起こり、数十秒から数分以内で回復しますが、その症状は以前起こった発作のパターンと同一の型で起こるのが大半です。人によっては一生に1度かもしれませんが、2回以上繰り返すとてんかんと診断を受けます。
てんかんはその原因や症状によって、その後の検査や薬の選択に大きな影響を与えますので、発作がどのような症状であったかを正確に医師に伝えることは適切な診断をする上でとても大切なことです。また、頭部の外傷後や周産期異常、熱性けいれんなどの既往歴も発作の引き金に関係しておりますので、そのような背景をきちんと医師に伝えることも大切です。
発作を大きく分けると「部分発作」と「全般発作」に分けられます。

<部分発作>
発作の症状が体の一部分で起こっているもの。

単純部分発作
意識は保たれており、発作時のことを覚えている。

複雑部分発作
意識が消失し、発作時のことを覚えていない。

二次性全般化発作
部分発作が長く続くことによって、周りの神経にも飛び火して全身のけいれんが起こるもの。

<全般発作>
発作の症状が体の全体で起こっているもの。脳全体、つまり右半球と左半球の両側で起こるもので、症状も両側性で現れるのが特徴です。

欠神(けっしん)発作
発作は10〜30秒ほどボォーとしたり、一点を見つめ続けたりする症状で小児に多く見られます。

ミオクローヌス発作
顔面・四肢・体幹に筋肉の短期間のけいれんが起こるもの。

強直発作
突然、四肢や頸部・体幹の筋肉がひきつり、肩がいかるような状態になります。直立時に起こると転倒の危険がありますので注意が必要です。発作が収まると力が抜けてしまい、しばらくは朦朧(もうろう)とします。

間代発作
手足をはじめ全身の筋肉が短い間隔で律動的にけいれんを起こし、転倒してガクガク震える発作で、小児によく見受けられます。

強直間代発作
突然、強直発作が起こり、これに続いて間代発作がみられます。数分で収まるケースが多いですが、発作後30分〜1時間は朦朧とします。

脱力発作
急激に体の筋肉がガクッと抜ける発作です。転倒による怪我に注意が必要です。

てんかん重積症
てんかん発作が20分以上続いたり、一回の発作が治まる前に次の発作が現れます。
てんかん重積状態のうち、筋硬直によるものは、呼吸筋の強直性収縮のため呼吸不能で低酸素脳症になることがあり、早急な対処が必要な症状の一つです。



◇ てんかんの診断

てんかんの診断は、どのような発作が起こったかということを本人や家族から聞き出すことから始まります。

1. 発作が起きた時間と状況、発作を引き起こす誘因があったか。
2. 意識があったか、なかったか(本人が発作のことを覚えているかどうか)。
3. けいれんがあったか、なかったか。
4. 発作はどのぐらい続いたか。
5. 顔色や唾液がでていたなどの身体の変化。
6. 行動異常や精神症状があったか。
7. 発作後の様子はどうであったかなど。

いずれにしても、本人が覚えていないことが多いので、発作の状況・状態を知る目撃者と一緒に診察に行き、医師に発作の状況を正確に伝えることが重要です。

<検 査>

脳波検査
覚醒時と睡眠時に測定します。睡眠時にてんかん波と呼ばれる特有の波形が現れるのが特徴的です。しかし、このてんかん波は必ずあらわれるわけではありません。

脳のCT検査・MRI検査
脳の構造上の異常があるかどうか調べます。

SPECT検査
脳血流を測定します。脳血流量が低下している部分は、てんかん発作の病巣と考えられるからです。

血液検査・尿検査
てんかんの原因を検査する以外に、薬を長期間飲み続ける必要がありますので、てんかんの薬を服用する前の身体の状態を調べるのにも欠かせません。


◇ てんかんの薬物治療

薬を服用する目的は、発作が起こらないように脳のネットワークを安定化させておくことです。多くのてんかん薬は体の中にどのくらいの量があれば効果があるのかがわかっていますので、定期的に血液検査をし、薬がどのくらい血液中にあるかを調べることは大切です。しかし、患者さん個々によって治療量が異なることも少なくなく、その期間も長期に渡ることが多いため、副作用が少なく、なおかつ体にあったものを選ぶことが大切です。
てんかんの薬物治療は単剤投与が原則ですが、薬の効きが悪い場合や効果が不十分な場合は追加するケースもあります。用いる薬の多くは、神経細胞の異常興奮を抑える薬ですが、本来体に備わっている抑制系の神経伝達物質γアミノ酪酸(GABA)の働きを補って、興奮性神経伝達物質を抑え込む、新しいタイプのてんかん薬も現れてきました。

デパケンなど(バルプロ酸)
全般てんかんに対して、第一選択薬として用いられます。発作抑制効果以外に、てんかんに伴う性格行動障害の改善にも用いられます。

テグレトールなど(カルバマゼピン)
部分発作に対する第一選択薬です。

リボトリール(クロナゼパム)
抗けいれん作用が強力で、ミオクローヌス発作に用います。

アレビアチン(フェニトイン)
大脳皮質運動領域に作用し、神経細胞膜の過敏な状態を抑えます。

フェノバール
異常放電が他の神経に広がらないようにする作用があります。

エクセグラン(ゾニザミド)
部分てんかん、全般てんかんの各発作型、これらの混合型に対して効果があります。

ガバペン(ガバペンチン)
抑制系伝達物質GABAの誘導体。新しいタイプの抗てんかん薬で、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められない部分発作(二次性全般発作を含む)に対す抗てんかん薬との併用療法に適応があります。

発作が起きないからといって自己判断で服用を中止すると、かえって発作を誘発する原因になる場合もあります。服用中止後の再発作は3年以内に起こりやすいといわれています。
最終発作後2〜5年間発作が起きず、脳波異常が2年以上見られない場合に医師が服薬中止が可能だと判断すれば、3ヶ月〜6ヶ月かけてゆっくりと薬の量を減らしてゆきます。
服用中止後も半年〜1年に1回程度は、脳波検査を含む診断を定期的に受けるようにしましょう。


◇ 日常生活

特に日常生活による制限はありませんが、発作が生じたときに誰かが気づくような体制を整えておくことが大切です。寝不足や過労も発作のきっかけになることがあるので、規則正しい生活を送るようにしましょう。
テレビゲームやアニメを見ている途中に、てんかん発作を起こすことがあるとの注意事項を時々目にしますが、多くは点滅する光に過敏に反応する過敏性素質がある人に起こりやすい傾向があります。脳波検査によって過敏かどうかは確認することが可能で、この光過敏性は一般的に年齢とともに減弱していきます。このタイプの発作も、薬を服用することによって、起こりにくい状態にしておくことが可能です。


◇ てんかんとよく似た症状

次の症状はてんかん症状とはよく似ていますが、脳の原因とは異なる症状です。

■偏頭痛
偏頭痛が生じる前兆目として、ものがまぶしく見えたり、物がゆがんで見えたりする場合があります。

■失神
低血圧によってめまいから立っていられなくなり、倒れてしまうもの。強い失神の場合は、強直状態や眼球上転が生じます。

■泣き入りひきつけ
突然の驚きやしかられることにより誘発され、激しく泣くことから無呼吸・チアノーゼ・強直をきたします。

■非てんかん発作
ヒステリー性てんかんともいわれます。女性・幼児期虐待・性的不適応・うつ・不安症状がその要因になります。

まとめ

てんかんについてご理解いただいたでしょうか。てんかんは、脳の異常興奮によって起こる症状のことをいいますが、その症状はてんかんの起こった本人にははっきりわからないことも多いため、周りの人が、いつ(朝・寝る前など)、どのように(発作の症状はどのようなものであったか)、どのくらい(何十秒・何分間)起こったのかを覚えておくことは、てんかんのタイプを正しく診断するためにとても重要です。また、転倒などによる二次災害にも気をつけましょう。
てんかんは不治の病と思われがちですが、治療薬の進歩によって70〜80%の人はコントロールすることができるようになり、ふつうに社会生活を営んでいます。てんかんを正しく理解し、てんかんが起こらないようにしっかりと薬を服用して症状をコントロールすることが最も大切です。

朝陽薬局  甲東園店
管理薬剤師  宮下 等

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