アルバ会社説明会



第84号 骨粗しょう症<薬物治療編>

2009/7/31

目次:

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“骨粗しょう症<薬物治療編>”

今回の豆知識は、骨粗しょう症(骨粗鬆症)の薬物治療についてご紹介します。骨粗しょう症について
は、処方せん豆知識第16号「骨粗しょう症について」でも取り上げ、症状・原因・予防については既にお話ししています。今回は主に、骨粗しょう症に用いる薬についてお話しいたしますので、第16
号と併せてご覧ください。
では、早速ですが、補足をしながら、簡単におさらいから始めましょう。


◇ 骨粗しょう症とは

骨の量が減って、骨がもろくなり、骨折しやすくなった状態です。


◇ 症 状

自覚症状は乏しく、骨粗しょう症の初期では全く自覚症状がありません。自覚できるほどの症状が現れた時には、かなり進行している場合が多いです。
骨がもろくなり、軽くぶつけたり、転んだりするようなささいな外圧でも骨が潰れてしまう「圧迫骨折」を起こしやすくなります。
骨折は椎体(ついたい)・大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)・橈骨遠位端(とうこつえんいたん)などでよく起こります。その他、腕の付け根や肋骨など様々な部位でおこります。骨折による急性・慢性的な痛みが苦痛であることはもちろんですが、日常生活の動きにも支障をきたし、歩行障害や寝たきりの原因にもなってしまうことがさらに問題となります。


椎体骨折(ついたいこっせつ)
背骨は、首から腰まで24個の椎体と椎間板がつながったものです。 骨粗しょう症で骨がもろくなると、ふとしたはずみに体の重みで椎体が押し潰されることがあります。これが椎体骨折で圧迫骨折ともいわれます。骨粗しょう症が原因で起こる骨折の中でもっとも頻度が高いものです。骨折が多発すると、背骨が変形して背中が丸くなり、それに伴って身長も低くなることが多いです。また、骨折の部位によっては、歩行障害・尿失禁・麻痺などの症状を起こすこともあります。背骨の変形が強い場合には、心肺機能の低下が起こったり、胃食道逆流症をはじめとする消化器機能への影響も見られます。
これまでは、鎮痛剤の投与や安静、コルセットの使用などで治療してきましたが、最近では切らずに針1本でできる『経皮的椎体形成術(PVP)』という治療方法が普及しているようです。圧迫骨折した椎体に針を刺して、そこから医療用のセメントを注入して、補強固定し、痛みをとる治療です。


大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)
太ももの骨(大腿骨) の脚の付け根に近い部分の骨折です。この部位の骨折のほとんどは転倒によるものです。発生率は年齢とともに上昇し、女性の方が男性の約3倍多いという結果があります。



橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)
橈骨とは前腕(手関節と肘の間)を形成する2本の骨のうち親指側の骨のことです。この橈骨の手の関節のすぐそば(手首部)の骨折のことを橈骨遠位端骨折といいます。転倒して手の平をついた時によく起こります。



◇ 原 因

骨は、古い骨が壊され、新しい骨が作られて、たえず新陳代謝を繰り返しているということは、処方せん豆知識第16号「骨粗しょう症について」でもお話しましたが、この過程を、「骨のリモデリング」と呼びます。
破骨細胞によって古い骨が壊されることを「骨吸収」といい、骨芽細胞によって新しく骨が作られることを「骨形成」といいます。骨吸収と骨形成のバランスが保たれていれば問題ないのですが、骨吸収と骨形成のバランスが崩れて、骨吸収の方が優位になると、骨量が減ってしまいます。その結果、骨がスカスカになり、もろくなって骨折しやすくなってしまうのです。これらのバランスが崩れる原因には、加齢や閉経などがあります。骨のリモデリングに影響を与えるホルモンがいくつかありますが、そのうちの一つに女性ホルモンであるエストロゲンがあります。女性の場合、閉経後はエストロゲンの分泌が急激に減ってしまいます。骨粗しょう症が、圧倒的に女性に多いこともうなずけますね。


◇ 骨のリモデリングとホルモン

骨のリモデリングは、様々なホルモンの影響を受けます。骨のリモデリングに影響を与えるホルモンには、副甲状腺ホルモン・活性型ビタミンD・カルシトニン・性ホルモン(エストロゲン・アンドロゲンなど)・グルココルチコイドなどがあります。



◇ 薬物治療

骨粗しょう症の治療では、他の疾患でもよくいわれるように、食生活を見直し、適度に運動を行なうことが重要です。食事・運動に関しては、処方せん豆知識第16号「骨粗しょう症について」を参照していただくこととし、今回は、骨粗しょう症に用いられる薬についてお話しします。

<ビスフォスフォネート製剤>
作用 一般名(商品名例)& 服用上の注意点・特徴など
骨からカルシウムが流出するのを防ぎ、骨量の減少や骨がもろくなるのを防ぎます。 <一般名(商品名例)>
アレンドロン酸ナトリウム水和物(フォサマック・ボナロン) 
リセドロン酸ナトリウム水和物(アクトネル・ベネット)
連日服用するタイプと、1週間に1回服用するタイプがあります。
ミノドロン酸水和物(リカルボン・ボルテオ)
連日服用するタイプのみです。
<服用の注意点>
これらの薬が食道に留まると、食道炎や食道潰瘍の原因になることがあり、また、食事や薬(特にカルシウム・マグネシウム・アルミニウム・鉄などを含有するもの)の影響を受けやすいため、以下の注意を守って服用して下さい。
起床時に十分量(約180ml)の水とともに服用する。その際、カルシウムやマグネシウム含量の高いミネラルウォーターでの服用も避ける。
服用後、少なくとも30分は横にならない。
水以外の飲み物・他の薬剤と一緒に飲むことを避ける。それらは、30分以上あけて摂る。
<一般名(商品名例)>
エチドロン酸二ナトリウム(ダイドロネル)
<服用の注意点>
1日1回食間に服用する。(服用前後2時間は、食事や他の薬の摂取は避ける):一緒に服用したり、胃の中に食物があると、この薬の吸収が低下してしまいます。
2週間服用し、10〜12週間休薬する。

●歯科治療とビスフォスフォネート製剤

既に、新聞記事などでご存知の方もいらっしゃると思いますが、ビスフォスフォネート製剤服用中に歯科治療を受けた人に顎骨壊死(がっこつえし)・顎骨骨髄炎(がっこつこつずいえん)を生じたという報告が見られています。ビスフォスフォネート製剤は、飲み薬と共に注射剤もあり、骨ページェット病・悪性腫瘍による高カルシウム血症・多発性骨髄炎など、骨粗しょう症以外の疾患にも用いられます(ただし、用法用量は、骨粗しょう症とは異なります)。現在のところ、注射薬での報告が多く、特に抜歯後には、発症率が上がるといわれています。その他、インプラント・義歯装着などの治療を行なった例にも見られているようです。しかし、まだはっきりとした原因が分かっていないのが実状ですが、予防・早期発見の対策としては、歯科治療の際には、医師に必ずビスフォスフォネート製剤を服用中であることを伝えてください。また、治療中に顎(あご)の痛み・痺れ・腫れなどの異常があれば、すぐに医師に相談するようにしてください。もちろん、日常的にうがい・歯磨きなどで口腔内を清潔に保ち感染を予防しましょう。

<エストロゲン製剤>
女性ホルモン(エストロゲン)の低下は、骨吸収を亢進します。
特に閉経によるエストロゲンの低下は著しいため、エストロゲンを補うことは、骨粗しょう症の治療に有用です。

作用 一般名(商品名例)& 服用上の注意点・特徴など
閉経後に、女性ホルモン(エストロゲン)が減少することで起こる、骨からのカルシウム流出を防ぐ。
<一般名(商品名例)>
エストリオール(エストリール・ホーリン)
エストラジオール(エストラーナ貼付剤・エストラジオール貼付剤)
エストラジオ−ル・プロゲスチン配合(ウェールナラ配合錠)
<服用の注意点>
長期投与により、乳癌や心血管系疾患・血栓症の発生頻度が高まるという報告がある。
定期的に房検診並びに婦人科検診を行なうこと。


<選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)>
エストロゲン製剤同様、エストロゲン様作用を現します。骨などではエストロゲン作用を現しますが、乳房や子宮ではエストロゲン作用を現しません。

作用 一般名(商品名例)& 服用上の注意点・特徴など
閉経後に、女性ホルモン(エストロゲン)が減少することで起こる、骨からのカルシウム流出を防ぎます。 <一般名(商品名例)>
塩酸ラロキシフェン(エビスタ)
<特徴>
エストロゲン受容体に結合して、組織選択的に作用を示すため、乳房や子宮での影響は少ないといわれている。(乳房や子宮ではエストロゲン様作用を現さない)

<カルシウム製剤>
カルシウム摂取量が少ない場合に、他の治療薬の効果を十分に高めるために用います。

作用 一般名(商品名例)& 服用上の注意点・特徴など
不足しているカルシウムを補い、血中のカルシウム濃度を高め、骨からのカルシウム流出を防ぎます。 <一般名(商品名例)>
L−アスパラギン酸カルシウム(アスパラ−CA)
リン酸水素カルシウム(リン酸水素カルシウム)

<カルシトニン製剤>
作用 一般名(商品名例)& 服用上の注意点・特徴など
骨粗しょう症による腰背部の痛みを改善します。 <一般名(商品名例)>
サケカルシトニン(合成)(サーモトニン注・カルシトラン注)
エルカトニン(エルシトニン注)
<特徴>
主に、骨折に対する腰背部の痛みの緩和目的で使用される。

<活性型ビタミンD3製剤>
作用 一般名(商品名例)& 服用上の注意点・特徴など
腸管からのカルシウムの吸収を促進したり、腎臓でのカルシウムの再吸収を促進して、血中のカルシウム濃度を高め、骨からのカルシウム流出を防ぎます。 <一般名(商品名例)>
アルファカルシドール(アルファロール・ワンアルファ)
カルシトリオール(ロカルトロール)

<ビタミンK2製剤>
カルシウムを骨に蓄積させる働きをするタンパク質であるオステオカルシンを活性化します。

作用 一般名(商品名例)& 服用上の注意点・特徴など
骨形成を助けると共に、骨からのカルシウム流出を防ぐ作用もあります。 <一般名(商品名例)>
メナテトレノン(グラケー)
<服用の注意点>
ワーファリン服用中は禁忌

<イプリフラボン製剤>
作用 一般名(商品名例)& 服用上の注意点・特徴など
植物性のフラボノイド系化合物で、女性ホルモン様作用があります。 <一般名(商品名例)>
イプリフラボン(オステン)


<蛋白同化ステロイド製剤>
作用 一般名(商品名例)& 服用上の注意点・特徴など
カルシウムの流出を減らし、骨がもろくなるのを防ぎます。筋肉量を増加させ筋力を高めることによって,間接的に骨密度を増加させる作用もあると考えられています。 <一般名(商品名例)>
メスタノロン(メサノロン)
酢酸メテノロン/エナント酸メテノロン(プリモボラン)
デカン酸ナンドロロン(デカ-デュラボリン)


まとめ

カルシウム摂取が不足している現代において、子供の頃から、十分なカルシウム摂取をしておくことが重要であることはいうまでもありませんが、骨量が減ってからでも、骨粗しょう症の進行を遅らせることは十分に可能です。早速、食事や運動などの生活習慣を見直し、改善することからはじめましょう。
また、ご自身の骨の状態を知るためにも、特に閉経後の女性の方は、一度は骨量の検査を受けておく事をお勧めします。
健康な骨作りは、元気な生活を送るための第一歩です。
毎日、少しずつ、骨々(コツコツ)と!

アルバ局  鈴蘭台店
管理薬剤師  鵜鷹 奈美


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