アルバ会社説明会





第86号 市販薬の選び方

2009/10/8

目次:

※ご覧になる項目を上の目次よりお選び下さい。


“市販薬の選び方”

みなさんは、ふだん市販薬を買うとき、何を基準に選んでいますか?
テレビのコマ−シャルで見たから、値段が安いからなど成分よりも印象に残る映像や宣伝文句で選ぶ場合が多いのではないでしょうか。また、ドラックストアや薬局の薬剤師に選んでもらう場合もあるかもしれません。
今年、6月1日から薬事法が改正され、今までの市販薬が大きく3つに分類されました。
一部の医薬品を除き、薬剤師がいないコンビニエンスストアやス−パ−マ−ケットでも買うことが可能となったのです。
今回の豆知識では、みなさんが薬を選ぶときに目安となる表示成分(薬の中の効能が期待できる成分)に注目し、特に飲む回数が多い、解熱鎮痛薬・風邪薬・胃薬についてその効果や注意事項を取りあげたいと思います。


◇ 一般用医薬品とは

病院に行かなくても、薬局やドラッグストアで買える薬のことを「一般用医薬品」といいます。一般用医薬品は「大衆薬」「OTC薬」「市販薬」などともよばれ、医師の処方せんが無くても買うことができる医薬品です。
「ちょっと風邪気味かな?」「ちょっと頭が痛いな?」といった軽い症状であれば、一般用医薬品(以下市販薬)を上手に使うことで対処できます。
薬局やドラッグストアでは、みなさんの症状にあわせた一般用医薬品を薬剤師や登録販売者が選んでくれるはずです。


◇ 一般用医薬品の分類

少し難しい話になりますが、平成21年6月1日から市販薬の販売方法がかわりました。市販薬をリスクの程度によって3つに分類し、専門家(薬剤師または登録販売者)が市販薬を販売する際に、アドバイスや情報提供をし販売することになったのです。

第1類医薬品:特にリスクが高いもの
一般用医薬品としての市販経験が少なく、一般用医薬品としての安全性評価が確立していない成分または一般用医薬品としてリスクが特に高いと考えられる成分を含むもの。
現在この品目には、H2ブロッカ−(胃薬)含有薬や一部の毛髪用薬等が含まれます。
第1類医薬品は、すぐには手に取れない場所に置くことになっており、医薬品本体にも「第
1類医薬品」と記載されています。

●第一類医薬品(厚生労働省ホ−ムペ−ジ)
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/daiichirui.html

●(参考)新たに承認された第一類医薬品(厚生労働省ホ−ムペ−ジ)
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/newdaiichirui.html

第2類医薬品:リスクが比較的高いもの
まれに日常生活に支障を来す健康被害が生じるおそれ (入院相当以上の健康被害が生じる可能性) がある成分を含むもの。
主な風邪薬・解熱鎮痛薬・胃腸鎮痛鎮けい薬などが含まれます。第1類医薬と同様に「第2類医薬品」と記載することになっています。特に、注意が必要な物を指定第2類医薬品とし、
「第類医薬品」もしくは「第類医薬品」と表記されます。

●第二類医薬品(厚生労働省ホ−ムペ−ジ)
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/dainirui.html

●(参考)指定第二類医薬品(厚生労働省ホ−ムペ−ジ)
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/newdainirui.html

第3類医薬品:リスクが比較的低いもの
日常生活に支障を来すほどではないが、体の変調・不調が起こるおそれのある成分を含むもの。
ビタミンB群・C含有保健薬、主な整腸薬・消化薬などが含まれます。
第1類医薬と同様に「第3類医薬品」と医薬品本体に記載されています。

●第三類医薬品(厚生労働省ホ−ムペ−ジ)
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/daisanrui.html


◇ リスクの程度に応じた情報提供

医薬品の
リスク分類
質問がなくても行う
情報提供
相談があった場合の
応答
対応する
専門家
第1類医薬品 義務 義務 薬剤師
第2類医薬品 努力義務 薬剤師又は
登録販売者
第3類医薬品 不要

新しく「登録販売者」という専門家が増えたことで、第2類医薬品までの薬を取り扱うス−パ−やコンビニが増える、市販薬がより身近なものになるかもしれません。


では、たくさんの市販薬の中から、どのように自分の症状に合う薬を選べばよいのでしょうか?
専門家に選んでもらうとはいえ、知識を持っていれば、自分の体に合う医薬品がより身近に感じられ、いざというときに助けになってくれます。また、薬を飲んで体調が一度でも悪くなった場合には、その成分が入っている医薬品を避けることができます。
次の章では、医薬品を実際に選ぶときに、医薬品の成分を取りあげ、どのような効果があるのか、何に注意するべきかを、症状別にご説明しましょう。


◇ 鎮痛薬(痛み止め)・解熱薬(熱冷まし)を選ぶ

頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・筋肉痛・関節痛などの痛みや、発熱・悪寒(全身がゾクゾクする不快な寒気のこと)等で熱冷ましや痛み止め(以下解熱鎮痛薬)を利用したことがあるのではないでしょうか?
ここでは、現在市販されている解熱鎮痛薬の特徴とその効果・副作用や注意すべきことをご説明いたします。

まず、市販の鎮痛薬にはどのような成分があるのかを見てましょう。
市販の鎮痛薬に含まれる主な成分には、大きく分けて、「アセトアミノフェン」「非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)」「イソプロピルアンチピリン(ピリン系)」があります。
いくつかの解熱鎮痛成分を配合した商品が多く、その他に胃腸障害を予防する成分や、催眠鎮痛成分などを配合した商品があります。
熱はどれくらいか、どこが痛むか、どのような痛みか、どんなとき痛むかを相談して下さい。それぞれの症状に適した鎮痛薬を薬剤師や登録販売者が選んでくれます。

☆例えば

熱がある頭痛では「解熱薬」を配合したもの

激しい頭痛では催眠鎮痛薬(ブロムワレリル尿素・アリルイソプロピルアセチル酸)が配合されたもの

肩こり・筋肉痛・耳の痛みは、抗炎症・鎮痛・解熱薬を配合したもの

生理痛などは速効性のあるアセトアミノフェン・エテンザミド・アスピリンの配合されたもの

神経痛にはアスピリン配合のもの

☆それでは市販の鎮痛薬に含まれる解熱鎮痛成分を詳しくご説明いたしましょう。

分  類 成分名 特   徴
アニリン系 アセトアミノフェン 小児用の解熱鎮痛薬にも含まれる成分で、比較的穏やかな作用としてよく配合されています。
主として中枢性の作用により解熱鎮痛作用を示すと考えられています。
抗炎症作用はほとんど無いため、腫れには効果がありません。
解熱鎮痛薬の副作用の代名詞ともいわれる胃腸障害は比較的少ないとされています。
インフルエンザにおいては、他の解熱鎮痛薬よりもアセトアミノフェンのほうが安全です。特に子供の解熱には、アセトアミノフェンを用いるようにします。
NSAIDs
サリチル酸系
アセチルサリチル酸
(アスピリン)
痛みを感じる神経伝達をブロックして、痛みを感じにくくしたり、炎症を起こす成分が作られるのを抑える働きがあります。また、視床下部の体温調節中枢に作用して、熱を放散させ熱を下げる働きがあります。
これらの効果を発揮するよりも少ない用量で血小板凝集抑制作用を示すため、医療用としては、血栓抑制剤として使用されています。
サリチル酸をそのまま飲むと、胃粘膜を障害するためアセチル化したものがアセチルサリチル酸です。しかし、体内では加水分解されてサリチル酸として効果を発揮するため、NSAIDsの中では胃腸障害が起こりやすいといわれています。
また、ライ症候群(脳内圧亢進・肝障害のために突然の嘔吐や意識障害・けいれんなどを起こして致死率が高い急性脳症の一種)との関連が示唆されており、15歳未満のインフルエンザ・水疱瘡の方への使用は認められていません。
☆アスピリンをピリン系と勘違いされている方が多いようですが、ピリン系ではありません。
エテンザミド アスピリンと同様の作用機序を持ちます。
炎症をしずめて、腫れや発赤・痛みなどの症状をおさえます。解熱の作用もあります。
アスピリンが体内で加水分解されサリチル酸となり胃粘膜障害を起こすのに対し、エテンザミドはサリチル酸にはならないため、アスピリンよりも胃腸障害の副作用は少ない胃に優しい成分です。
アセトアミノフェン(A)・カフェイン(C)・エテンザミド(E)を配合したACE処方として市販薬によく用いられています。
アスピリンと同様にライ症候群を引き起こす可能性があり、15歳未満のインフルエンザ・水疱瘡の方への使用は認められていません。
NSAIDs
プロピオン酸系
イブプロフェン 作用機序はアスピリンと同様ですが、抗炎症・鎮痛・解熱作用はともにアスピリンよりも強力です。
医療用医薬品では、小児に使用されることもありますが、市販薬では15歳未満への使用が認められていません。
作用が強力ですが、アスピリン等と比較して胃腸障害などの副作用が少ない成分です。
ピリン系 イソプロピルアンチピリン 市販薬では唯一のピリン系解熱鎮痛成分です。
解熱効果が高く、視床下部の体温調節中枢に作用し、熱を放散させることで解熱効果を発揮します。
相乗効果を期待して、他の解熱鎮痛成分との配合剤として市販されていることが多いです。
薬疹(ピリン疹)は、発生頻度が高いといわれており、一度でも服用により薬疹が起こった場合には、使用してはいけません。

☆症状別の推奨成分

症 状 説   明 適する成分
熱・頭痛 高熱時は胃の機能が低下していることが多く、そのときにアスピリンやイブプロフェン配合の解熱・鎮痛薬を飲むと胃が荒れてしまうことがあります。
一方、熱はないがつらくて我慢できない頭痛には、効きめがシャープな鎮痛薬を使う方がよいでしょう。
胃への負担が軽い成分 アセトアミノフェン
効き目がシャープな成分 イブプロフェン・イソプロピルアンチピリン
歯痛 催眠鎮静剤は不眠症の治療にも処方される薬剤で、脳が興奮して眠れないときに興奮をしずめて眠りを誘導します。そのため夜中に急に歯が痛み出して眠れないときなどにはこれらの成分を含むものが非常に有効となります。 催眠鎮静成分 アリルイソプロピルアセチル尿素・ブロムワレリル尿素
生理痛 生理痛の原因は、子宮内膜から分泌されるプロスタグランジンが子宮筋を収縮させるために起こります。この収縮を抑える働きのある成分を含むものがよいでしょう。 子宮収縮抑制作用が高い成分 子宮筋の収縮を止める作用のある生薬成分:芍薬エキス、プロスタグランジン産生ブロック作用の強いイブプロフェン
小児発熱 子どもの発熱は原因が特定できないことも多いので、気をつける必要があります。1回使って症状が改善されない場合は、必ず医療機関を受診しましょう。 子供にも比較的安心して使える成分 アセトアミノフェン

◆副作用・相互作用
解熱鎮痛薬全般に、胃腸障害の発生頻度が一番高いようです。これは胃粘膜への直接刺激と、本来の作用機序である体内の酵素COX1(シクロオキシゲナーゼ−1)の阻害が関与します。できるだけ空腹時を避けて服用するようにしましょう。
また気管支喘息の方は、喘息発作が誘発されることもありますので、服用する前に薬剤師にご相談下さい。

<COX1とは>
痛み・発熱などの炎症反応は、数種類のプロスタグランジンと呼ばれる成分が体内に増え、様々なプロセスを経て起こるとされています。
これらプロスタグランジンの合成にはシクロオキシゲナ−ゼ(以下COX)という酵素が関与しており、この酵素を阻害することで、プロスタグランジンができるのを抑えるのが「
NSAIDs」です。
COXには、組織のCOX1と炎症部位に存在するCOX2があります。
COX2は、炎症が起こっている部位に存在するのですが、COX1は胃粘膜保護、胃酸分泌抑制、利尿、血圧・血流の維持、血小板凝集などの作用に関与しています。
多くのNSAIDsは、COX2だけでなく、COX1も阻害するため、胃腸障害の副作用が起こりることになります。また、利尿薬・降圧剤・血液凝集抑制薬などの効果に影響するため飲み合わせに注意が必要です。

処方せん豆知識第21号「痛み止めの使い方」により詳しく説明しています。
以下の薬を服用している方は、お薬を買う前に専門家に相談してみて下さい。安全に使うことができるとわかれば、安心して使うことができます。

◆作用を増強してしまう可能性のある薬

クマリン系抗凝血剤
(ワルファリン)
血漿蛋白に結合したワルファリンを遊離させてしまうので、遊離型ワルファリンが増加して作用が増強することになります。
また、本来の作用であるプロスタグランジン生合成抑制作用により血小板凝集が抑制され、ワルファリンの作用と相乗して血液凝固能が低下すると考えられています。
リチウム製剤
(リーマスなど)
腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、炭酸リチウムの腎排泄が減少し、血中濃度が上昇することでリチウム中毒を起こすおそれがあるといわれています。
しかし、詳しくは明らかにされていないようです。
糖尿病用剤
(ヒトインスリン・トルブタミドなど)
血漿蛋白に結合した糖尿病用剤を遊離させ、遊離型の糖尿病用剤が増えることで作用が増強すると考えられています。
糖尿病剤の作用が増強すると、低血糖を起こすことがありますので糖尿病用剤を減量するなど慎重な投与が必要になります。

◆作用を減弱してしまう可能性のある薬




β-遮断剤 プロスタグランジン生合成を抑制することにより、プロスタグランジンの関係した血圧を下げる効果を減弱させることがあります。
アンジオテンシン変換酵素阻害剤

尿

チアジド系利尿薬 腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、水・ナトリウムの排泄を減少させるため利尿・降圧作用を減弱すると考えられています。
ル−プ利尿剤 腎のプロスタグランジン生合成を抑制することにより、利尿作用を減弱させると考えられています。
また、腎の排泄部位において両剤の競合が起こり、サリチル酸誘導体の排泄が遅れるためサリチル酸中毒が発現するおそれがあると考えられています。

◆それ以外で影響のある組み合わせ

ニュ−キノロン系抗菌薬とNSAIDs→ けいれんを起こす可能性が高まります。

ニューキノロン系抗菌剤は、中枢神経系の抑制性神経伝達物質であるGABAの受容体への結合を阻害し、けいれんを起こすことがあります。本剤の併用によりその阻害作用を増強するためと考えられています。

◆その痛み大丈夫?

ご説明したように、解熱鎮痛薬は、痛みや熱を一時的に抑えてくれる便利な薬です。しかし、痛みには根本原因がある場合が多く、市販薬で対処が可能な一時的な痛みや発熱では問題がありませんが、5〜6回服用しても症状が良くならない場合や、痛みや発熱の程度がひどい場合などは直ぐにでも医療機関を受診することが大切です。
これは「痛み」というのが、眼に見えない体調の変化を訴える生体の手段だからです。鎮痛薬で「痛み」とう体の声をふさいでしまうと、本来の原因が改善されないまま、悪くなってしまう可能性があります。
痛みや炎症を抑えることは大切ですが、それ以上に、その原因を適切に、なるべく早く治療することが大切だからです。

☆以下のような頭痛の場合は医療機関を受診しましょう

頭痛に加えて高熱がある

今までに経験したことのない頭痛

突然起こった激しい頭痛

嘔吐・意識障害を伴う頭痛(脳の障害が考えられます)

くり返しいつまでも続く頭痛

ズキンズキンと心臓の鼓動に合わせて起こる頭痛(片頭痛の可能性があります)
麻痺やしびれなどを伴う頭痛(神経障害が考えられます)


◇ 風邪薬を選ぶ

風邪の大半はウイルス性で、風邪の原因となるウイルスを殺す薬は現在ありませんが、対症療法として症状を軽くする薬は数多く販売されています。軽い風邪の場合は栄養をとり、1〜2日も寝ていれば体の中に抗体ができ、免疫力が向上して回復します。数日から一週間で自然に治るといわれていますが、市販の風邪薬を使うことで症状が緩和され、体力の消耗を防ぐことができます。
しかし、市販の風邪薬に、総合感冒薬・解熱鎮痛薬・鼻炎治療薬・鎮咳去痰薬など症状別にさまざまなのもがあり、何を選べば良いのか困ってしまいます。

◆市販の風邪薬にはどのような成分が入っているのでしょうか?

総合感冒薬は、発熱・鼻水・咳などすべての症状に対応できるように成分が複数配合されています。商品によって成分の配合量に差があり、効果のある症状も違うので、まずはどのような症状が強くでているのかを相談して下さい。
また、熱だけ鼻水だけといった症状の場合、総合感冒薬はおすすめできません。必要のない成分が含まれているからです。そのような場合は解熱鎮痛薬や鼻炎治療薬・鎮咳去痰薬を使うことになります。

☆総合感冒薬に含まれる代表的な成分とその特徴(解熱鎮痛成分を除く)

分  類 成分名 特   徴
抗ヒスタミン薬 マレイン酸クロルフェニラミン ヒスタミンH1受容体に結合して、ヒスタミンの働きを弱め、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状を抑えます。
ヒスタミンは、外部刺激によって、細胞から分泌され、血管の透過性を亢進させ浮腫を起こす・気管支平滑筋を収縮し、血管を拡張して血圧を低下させる・腺分泌を促して鼻水を出すなどの作用を持つ物質で、アレルギー反応や炎症・咳の発現に関与する物質です。
中枢神経抑制作用により
眠気が現れることがあるため、眠くなっては困る方は、抗ヒスタミン薬が含まれる成分を避ける方がよいでしょう。
また、副交感神経の働きを阻害する「抗コリン作用」により便秘・口渇・排尿困難が現れることがあります。
閉塞隅角緑内障の患者さんや下部尿路に閉塞性疾患のある患者さん(前立腺肥大等)は、症状を悪化させることがあるため、原則的に使用することは禁止されています。
マレイン酸カルビノキサミン
副交感神経遮断薬 ヨウ化イソプロパミド 副交感神経の働きを阻害し、粘液の分泌抑制作用により鼻水などの症状を抑えます。
抗ヒスタミン薬と同様に、便秘・口渇・排尿困難が現れることがあります。散瞳により目のかすみやまぶしさなどもでることがあります。また、閉塞隅角緑内障の患者さんや下部尿路に閉塞性疾患のある患者さん(前立腺肥大等)は、症状を悪化させるため、使用することは禁止されています。
ベラドンナ総アルカロイド
血管収縮薬
(交感神経興奮薬)
塩酸プソイドエフェドリン・塩酸ナファゾリン α1受容体刺激作用に基づく末梢血管収縮作用により鼻粘膜のうっ血を抑え鼻づまりを改善します。医療用では主に、鼻づまりの症状が強いときに、点鼻薬として使用します。
気管支拡張薬
(交感神経興奮薬)
dl−メチルエフェドリン塩酸塩 β2受容体刺激作用に基づく気管支拡張作用により鎮咳・去痰作用を示します。また、中枢性の鎮咳作用もあります。生薬のマオウに由来する成分です。交感神経を興奮させるため、不眠や神経過敏が現れることがあります。また、高血圧・心疾患・糖尿病のある方は症状を悪化させる可能性があるため注意が必要です。
鎮咳薬
(中枢性)
ジヒドロコデインリン酸塩
(麻薬性)
延髄の咳中枢に作用して咳反射を抑制し、咳を鎮めます。
ジヒドロコデインは気道分泌を抑制するため痰の排出が困難になることがあります。咳は、痰を出すための生理反応ともいえるため、
痰を伴う咳にはお勧めできません。
ノスカピン
デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物
去痰薬 グアイフェネシン 気道粘膜からの粘液の分泌を促進して痰の粘稠度を低下させ去痰作用を示します。痰を出すためには、痰を切れやすくする必要があります。痰を切れやすくするためには、水分を多く摂り、痰の粘度を低下させる必要があります。べたべたした痰は、気道にくっついてなかなか出てきませんが、さらさらした痰は、出やすくなるのです。去痰薬を飲むときには、こまめに水分を摂ることも忘れないでください。
ブロムヘキシン塩酸塩
塩酸アンブロキソ−ル 気道壁を潤滑化する物質の分泌促進作用、気道分泌促進作用、線毛運動亢進作用により去痰作用を示します。線毛とは、細胞表面に無数にあり、表面の粘液を動かす働きをするものです。医療用としても、痰を出すためによく使用されている成分です。
抗炎症薬 リゾチ−ム塩酸塩
(消炎酵素)
膿汁・喀痰に含まれるムコ多糖類を分解し、痰や膿の粘稠度を低下させて排出を容易にします。また、粘液分泌を正常化して、鼻水や痰を排出しやすくします。また、炎症を生じた組織の修復を促進する働きもあります。
塩化リゾチームは、卵白から生成・抽出されるため、卵白の成分が含まれています。
卵白アレルギ−の患者さんには服用できません。
トラネキサム酸
(抗プラスミン薬)
プラスミンという血液を溶かす物質の働きをおさえることで、出血を止める作用をします。また、プラスミンはアレルギ−や炎症作用にも関わっており、プラスミンの働きを弱めることでアレルギー症状や炎症(腫れ)がやわらぎます。喉の痛みやはれを緩和する目的で配合されています。
最近は、風邪薬だけでなく、その色素沈着抑制効果により、肝班(シミ)に効果があるとして市販されています。
血栓のある患者 さん(脳血栓・心筋梗塞・血栓性静脈炎等)や血栓症があらわれるおそれのある患者さんには血栓ができやすくなるおそれがあるので慎重な投与が必要となります。

◆副作用・相互作用

眠気に注意しましょう
抗ヒスタミン薬・中枢性鎮咳薬は、中枢性に働くため眠気が起こりやすくなります。
風邪薬の中にも眠気をもよおす成分が含まれているものがありますので、自動車の運転などはひかえるようにしましょう。また、アルコ−ルを飲むと眠気が増強しますので注意をしてください。

同じ成分や同じ効能の成分を重複して飲まないように注意しましょう
眠気以外に、風邪薬を使うときに気をつけて頂きたいことに、気付かないで同じような成分が含まれる薬を複数飲んでいる場合があります。
例えば、花粉症の薬にはかゆみを抑えるために抗ヒスタミン薬が配合されていますが、これは風邪薬にもくしゃみ・鼻水を抑えるために配合されていることがよくあります。同じ成分や、同じ効果の成分を重複して摂取するのは思わぬ副作用がでることがありますので、何か飲んでいるお薬がある場合は、風邪薬を買う前に専門家に相談しましょう。

閉塞隅角緑内障・前立腺肥大の患者さんはご用心
風邪薬や鼻炎の薬に配合されている抗ヒスタミン薬には、口の渇き・便秘・排尿障害などの抗コリン作用という副作用があります。この抗コリン作用は、閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしょう)や前立腺肥大による排尿困難の患者さんに悪い影響を与えることがあります。従って、これらの疾患の方には、原則使ってはいけないことになっています。しかし、最近の研究では使用できるケ−スもあるようですので、かかりつけの医療機関で相談するようにしてください。


◆風邪とインフルエンザの違い

インフルエンザは市販薬では対処できません。以下のような症状がある場合は、インフルエンザの可能性がありますので、なるべく速やかに医療機関の受診をお勧めします。処方せん豆知識第14号「冬になるとインフルエンザに気をつけて」を参照。

☆風邪とインフルエンザの症状の違い

症  状 風  邪 インフルエンザ
発  症 徐々に 急激
症状の現れ方 のど・鼻などの局所 全身
進  行 ゆるやか 急激
発  熱 ないか、37〜38度位 40度前後
鼻  水 ひき初めの方がひどい 後からひどくなる
軽い 強い
頭痛・関節痛・筋肉痛 軽い 強い
寒  気 軽い 強い

◆風邪の時の対処法

1. 熱がない場合は「暖かくして、布団に入って汗をかくこと」が一番。ウイルスと闘う免疫細胞は熱がある方が闘う力が増強します。

2. ゾクゾクする寒気をともなう発熱がある場合は、まずは体を温めましょう。

3. ビタミンCには、ウイルスの抵抗力を高めたり、傷の回復を早める作用があるため、果物や野菜を積極的にとりましょう。食欲のない時には、果物100%のジュースでもかまいません。ビタミンCが配合された風邪薬もよいでしょう。

4. ビタミンB1には、関節痛や筋肉痛を緩和する効果があります。風邪の初期には、肩こりやあちこちの関節の痛みがでることもあります。ビタミンB1は、豚肉・小麦胚芽や玄米などの穀類・落花生や大豆などの豆類・種実類・うなぎなどに多く含まれています。食欲のない時にはビタミンB1配合(B2・B6等も含まれていると相乗的に働く)のサプリメントや栄養ドリンクもよいでしょう。


◇ 胃腸薬を選ぶ

胃腸は精神的なストレスに影響を受けやすい臓器といわれています。仕事のストレスなどで胃腸に症状がでてしまったことのある方も多いのではないでしょうか。疲れや心労の原因を取り除き、消化の良い食べ物をできるだけ規則的にとることが重要になります。いろいろな症状に合わせた市販薬がありますので、症状にあった市販薬を選ぶことが大切です。しかし、吐血・下血・激しい痛み・激しい嘔吐・冷や汗・発熱があるときや、市販薬を使っても改善しなかったり、悪化してしまった場合などはすぐに医療機関を受診してください。
二日酔い・暴飲暴食・軽い食中毒など原因がわかっている場合は、市販薬を買う際にそのことを伝えてください。その症状にあった薬を専門家が選んでくれるでしょう。
はっきりした原因がわからなければ症状をできるだけ詳しく教えてください。

☆医療機関を受診して欲しい場合をいくつかまとめてみました
慢性的に起こる胸焼け・胃部不快感・胃部膨満感(食道炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍の可能性が否定できません)

発熱・吐血・血便を伴う

だんだん強くなったり、長時間続く痛み

慢性の下痢(ストレスが原因の過敏性大腸炎であることが多い)

薬の服用をやめるとぶり返す場合

添付文書に記載された期間使用しても症状がよくならない場合

◆市販の胃腸薬を症状別に選ぶとするなら


胃の調子が悪い場合には、大きく分けて次のことが考えられます。

1. 胃腸の機能が低下している

2. 胃酸過多により胃の粘膜が傷ついている

〔症 状 別〕

1. 胃腸機能が低下
消化不良をおこし、胃もたれや吐き気を感じるため、胃の働きを活発にして胃液の分泌を促進させる消化薬や健胃薬・健胃消化薬を飲むとよいでしょう。

2. 胃酸過多
胃酸により、胃の粘膜が刺激されると胸やけや胃の痛み・げっぷなどの症状がでます。胃酸を中和させる制酸薬や、胃の粘膜を保護・修復させる胃粘膜保護薬を選択するとよいでしょう。

3. 原因が胃腸機能低下なのか胃酸過多なのかわからない場合
胃もたれ・胸焼け・げっぷ・食欲不振などの症状が複合的に現れたときは、各種成分をバランスよく配合した総合胃腸薬を選びましょう。胃腸の障害全般に効果があるように成分が配合されています。

4. 激しい胃の痛み
鎮痛・鎮痙剤配合薬・H2ブロッカーを配合した胃腸薬が適していますが、症状が激しい場合は医療機関を受診しましょう。
特に、胃酸の過剰分泌による激しい胃痛・胸焼け・胃もたれには、H2ブロッカ−(シメチジン・ファモチジン・ラニチジン)が効果的です。
H2ブロッカーは第1類医薬品に指定されています。薬剤師の説明にしたがって正しく使用してください。
5. 二日酔いなどで食欲がないとき
滞った胃腸の機能を高める成分、例えば健胃剤(ゲンチアナ・塩化カルニチンなど)が配合されたもの

6. 胃がもたれるとき
消化を助ける消化剤(リパ−ゼ・ビオジアスタ−ゼなど)が配合されたもの

なお、市販薬は、一つの成分が入っているよりも、複数の成分が入っている場合が多く、薬によって成分の割合が異なりますので、目的にあった適切な使用が必要です。

胃の症状とともに、腹痛が起こることもあります。腹痛の原因が、便秘の時は便秘薬を選ぶことになります。便秘にも種類があり、適切な成分を選ぶことが大切です。
便秘薬に関しては、処方せん豆知識第12号「便秘(その1)」処方せん豆知識第13号「便秘(その2)」に詳しくご説明しておりますのでご参考ください。

☆市販の胃腸薬に含まれる成分とその特徴

分  類 成分名 特   徴
制酸薬 炭酸水素ナトリウム・沈降炭酸カルシウム・炭酸マグネシウム・合成ケイ酸アルミニウム・水酸化アルミナマグネシウムなど 胃酸を中和または吸着し、胃内のpHを上昇させ、胃酸が多いために起こる症状を改善します。炭酸水素ナトリウムは即効性がありますが作用時間が短いようです。また、ナトリウム(塩分)摂取制限のある人では服用を避けるほうがよいでしょう。
アルミニウム含有製剤は透析療法を受けている人には使用が禁止されています。(アルミニウム脳症・アルミニウム骨症を引き起こすおそれがあります。)
また、腎臓に障害がある人では、蓄積が起こることがありますので注意が必要です。
いずれの場合にも安易に飲まないで、専門化に相談しましょう。
また、これらの金属は、ある種の薬剤とキレートを形成して、薬の効果を弱めることも知られています。
カルシウム・アルミニウムは便秘が起こりやすく、マグネシウムは下痢を起こすことがあります。マグネシウムは、医療用でも便秘薬として使用されています。

H2ブロッカ−(胃酸分泌抑制薬) シメチジン・ファモチジン・ラニチジン 胃粘膜壁細胞のH2受容体(ヒスタミン受容体の一種)を遮断し、胃酸分泌を抑制することにより胃酸過多の症状(胃もたれ、げっぷなど)を和らげます。
食事の時間に関係なく、症状が現れたときに服用します。副作用に血液障害・肝障害・腎障害・心疾患などがあり、第1類医薬品に指定されています。薬剤師に相談し適切に使用するようにしましょう。
特に夜間は胃酸の分泌が過剰になり、空腹時痛が起こりやすくなります。痛みが何度も繰り返えされるようなら、十二指腸潰瘍や胃潰瘍の可能性も否定できないため、飲んで楽になっても医療機関を受診しましょう。
鎮痛鎮けい薬 ロ−トエキス・ブチルスコポラミン臭化物 胃腸機能を亢進する副交感神経の機能を抑えることにより胃液分泌抑制作用消化管運動抑制作用・鎮けい作用に働きます。
胃の中に食べ物がある場合に服用すると、胃の運動や胃酸の分泌が抑制されるためいつまでも胃の中に食べ物がとどまることになるため注意が必要です。
粘膜保護・修復薬 カンゾウ 生薬の成分で、抗潰瘍作用・鎮けい作用・抗炎症作用などがあります。主成分のグリチルリチンは低カリウム血症や血圧上昇・浮腫などの副作用が知られています。
テプレノン 強い抗潰瘍作用胃粘膜病変改善作用があり、胃粘膜上皮細胞において粘液の合成・分泌を促進することが確認されています。
医療用としても、よく使用されている成分です。
食後に服用したほうが吸収がよいといわれています。
アルジオキサ アラントインと水酸化アルミニウムを結合させたものです。アルミニウムを含有するため、透析患者さんへは注意が必要です。組織修復作用・制酸作用があります。
健胃薬 芳香性:ハッカ・ケイヒ・ウイキョウ 味覚や嗅覚を刺激することで、反射的に唾液や胃液などの分泌を促進し、胃腸の機能を高めます。また、胃粘膜直接刺激による消化管運動の促進効果もあります。十分な効果を期待するには、匂いや味も重要となるため、オブラートなどに包んで飲むことはなるべく避けましょう。
苦味性:ゲンチアナ・センブリ・ホップ
辛味性:サンショウ・コショウ
消化酵素薬 ビオジアスタ−ゼ・タカジアスタ−ゼ でんぷんやタンパク質の消化を助けます。消化剤は、食べ物と一緒になることで働きますので、食後すぐに飲むようにしましょう。
プロザイム タンパク質の消化を助けます。
ジアスメン でんぷんの消化を助けます。
リパ−ゼ 中性脂肪の消化を助けます。

まとめ

みなさんは、セルフメディケ−ションという言葉をきいたことがありますか? 
セルフメディケ−ションとは、「健康を保ち、病気を予防し、病気やけがをしたときに、正しく判断し、正しく対応する。」そういった意味があります。
軽い症状と判断した場合は、市販薬を用いて治すという方も多いのではないでしょうか。ひどくなる前に治したり、医師の診察までの状態をより良い状態に保ったりすることは大切ですが、いくら安全な市販薬といえども使い方を間違えれば体に害になりますし、頼りすぎると病気の発見を遅らせるかもしれません。
また、正しい判断や、正しい薬の選択を自分でするのは難しい場合もあります。そういったセルフメディケ−ションの質問や、薬の選択についての質問があれば、気軽にご相談ください。私たち薬剤師は、医療機関から処方された薬を渡すだけではなく、みなさまの相談相手になることが、これからの「かかりつけ薬局」の大切な役割になるのではないかと感じています。みなさんが、市販薬を安心して使うためのお手伝いができればと考えています。

アルバ局  兵庫駅前店
薬剤師  月見 智哉


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